2015年08月01日

奇妙奇天烈


奇妙奇天烈は,

奇妙を強めていう語で,「奇天烈」という字を当てることもあり,

何とも奇妙なさま,ひどく不思議なさま,なんとも変なさま,

の意と,辞書にはある。「きてれつ」は,意味不明のようだが,江戸時代に用例がある。

非情に奇妙なこと,
珍妙,

と,辞書にあるが,むしろ,奇妙を強調する語呂合わせに思える。

では,「奇妙」は,というと,

珍しいこと,説明できないような不思議なこと,
ふだんと変わってすぐれていたり,面白みのあること,

とある。前に触れた,「面白い」が,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/415405652.html?1426018728

に書いたように,滑稽の方へシフトしたり,「をかし」が,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/418220586.html

と,「可笑し」に変じていくのと同じように考えると,奇妙も,元は,

面白みのある,

といったニュアンスだったりのではないか。語源は,中国語で,

「奇(珍しい)+妙(すぐれる)」

で,

予期せぬ不思議さ,

という。「奇」という字の「可」は,

┐印で,くっきり屈折したさま,

で,「奇」は,「大+可」で,人の体がくっきりしてかどばり,目立つさま,また偏る,という意を含む,とある。「奇」は,

珍しい,
とか
あやしい,

という意味がある。「くすし」というか,普通ならざるすぐれもの,という意味で,



というニュアンスがある。

「妙」の字の「少」は,

「小+ノ(けずる)」

の会意文字。小さく削ることを表す。「妙」は,「女+少」で,女性の小柄で細く,なんとなく美しい姿を示す。細く小さい意を含む,という。「妙」は,

精巧善美を極める,
とか
極致
とか
神秘

という意味がある。その意味でも,「奇妙」は,本来は,

不思議にめずらし
めずらしくすぐれる

と,漢和辞典に意味が載る意味だったのだろう,と思う。漢和辞典には,奇妙とは別に,

奇奇妙妙

が載っており,この繰り返しは,「々,ゝ,〱,ゞ」について,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/422553516.html

で触れたように,強調の意図があり,

極めて不思議,
甚だしく奇妙,

という意味となり,古語辞典も,「きめう」として,

不思議窮まること,世にも珍しいこと,
並みはずれてすぐれていること,

という意味しか載せない。これが,『大言海』になると,

奇しく妙なること,珍しくすぐれたること,

の他に,

常に異なりて,面白きこと,

を載せ,意味が,微妙にずれる端緒を示している。

奇奇怪怪

も,奇怪の強調で,

極めてあやし,

という意味になるが,

奇妙奇天烈摩訶不思議,

と重ねると,その摩訶不思議さが倍増する。「摩訶」は,

(梵)mahāの音写。大・多・勝

の意で,非常に不思議と,不思議を強調してる。言葉遊びのきらいがなくもない。

因みに,奇妙というと,奇妙丸という,織田信忠の幼名を思い出す。確か,

奇妙丸

といったと思う。真偽は知らないが,

「生まれたばかりの信忠を見た信長が『なんか変な顔だ』と思ったからだとか」

というらしいが,二男の信雄は,幼名が,茶筅丸,三男信孝は,三七(3月7日生まれだったためとも),四男秀勝は,於次,五男勝長は,坊丸,六男信秀は,大洞,七男信高は,小洞,八男信吉は,酌,九男信貞は,人,十男信好は,良好と,いい加減な名が多い。幼名に「お捨て」とか「捨丸」などと,縁起を担いだりしないらしいところが信長らしい。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
簡野道明『字源』(角川書店)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)








今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 04:40| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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