2015年08月24日

眼と目






はどう違うのだろうか。まずは,日本語「め」の語源は,

メ(見る器官)

の意で,「見る」と同根。「芽」と同根という説もある。『古語辞典』では,

古形マ(目)の転。メ(芽)と同根とある。で,「見る」を見ると,「み(見)」の項に,

マ(眼)と同根。眼の力によって物の存在や相違を知る意,

とあって,結局「マ」「メ」は転訛しやすかったというしかない。語源的には,

「目+入る」あるいは,「目+射る」の音韻変化(『大言海』)

「ミ(真・精)+る」

の二説あるが,『大言海』は,「見射るの義」として,

目を転じて活用す。手(て)る,とる,名(な)る,告(の)る,

と例示している。本来,「ま」が「め」に転じたとすると,それを分解して,「み+る」ではなく,「み」のみで語源を考えないとおかしいのではないか,と素人は思う。

で,日本語の「ま」か「め」に漢字の「眼」「目」を当てたのだが,この違いは何だろう。

「目」は,

モク(呉音),ボク(漢音)

と発音し,日本語で「ま」とか「め」と訓む。これは,

めを描いた象形文字。瞼に覆われている「め」のこと,

を言う。ただし,別のところに,

「目の形にかたどり,それを縦に書いたもの。黒い眼球、まなこ」

とあるので,「目」の象形であるとしても,異説はある。でないと,漢字「目」の意味に,

めつき,
とか
あな,
とか
見なす,
とか
目印
とか
格子の目

といった意味が出てくる意味がよく見えない。

一方,「眼」は,

ゲン(呉音),ガン(漢音),

と発音し,「まなこ」と訓む。「眼」は,

つくりの艮(こん)は,「目+匕首(ひしゅ)の匕(小刀)」の会意文字で,小刀でくまどった「め」,または小刀で彫ったような穴にはまっている「め」。一定の座にはまって動かない意を含む。「目+艮」で艮の原義を表す,

とある。意味は,こちらははっきりと,

まなこ,
とか
目玉,

と限定されている。そう考えると,「目」は,カバーする意味が広いのかもしれない。

しかし,「目」と「眼」は,どう使い分けているのだろうか。

http://www.weblio.jp/phrase/%E7%9B%AE%E3%83%BB%E7%9C%BC%E3%83%BB%E7%9E%B3_1

その他等々を見ながら,挙げていくと,目は,

一目瞭然
面目一新
満目蕭条
夜目遠目
一目十行
面目躍如
長目飛耳
眉目秀麗
飛耳長目
鳶目兎耳

等々と使い,眼は,

紅毛碧眼
千里眼
近視眼
開眼供養
酔眼朦朧
眼高手低
雲煙過眼
眼光炯炯
眼光紙背
着眼大局

等々。どうもはっきりと使い分けている。当然,両者を混同しない。

開眼
とは言うが,
開目
とは言わない。

「目」は,全体,「眼」はまなこ,を指すと考えると,意味がある。あるいは,

着眼

というのと,

着目

というのとを比べてみると,辞書では,それぞれ互いの意味に載せているが,同じ

めのつけどころ,

にしても,微妙なニュアンスの差がある。別に,「着眼」が視野が広く,着目が狭い,などとは思わないが,『語感辞典』には,「着眼」について,

目のつけ方の意,
「着目以上」にふだん人の気づきにくい点に注目する場合に使われる傾向が強い,

とある。で,「着目」は,

ある点に眼をつけて,注意深く見る意,

とある。「目」と「眼」の違いからすると,「着眼」の方が,眼をつけているそのことを指していて,「着目」は,眼をつけることを広く指している,と取れるが,僕の個人的な語感では,

着目

が,個々の目の付け所,眼のつけ方,を指し,

着眼

が,それを束ねたものの注視のことを総称しているような印象である。漢語の「着眼」に対して,「着目」の和語ふうの語感からくるものかもしれない。しかし,

眼目

という言い方をするのだから,単なる印象に過ぎないのかもしれない。しかし,

果たし眼(まなこ)
天眼(通)
眼光
観察眼
活眼

等々という使い方から見ると,眼の方が,目より鋭く,特異性が高そうである。ただ,目に関わることわざは,

生き馬の目を抜く
壁に耳あり障子に目あり
岡目八目
目から鼻へ抜ける

等々,いずれも,ほとんど使い分けていないところをみると,和語としては,目と眼の区別はあいまいになっているような気がする。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
中村明『日本語語感の辞典』(岩波書店)







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posted by Toshi at 05:16| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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