2015年09月02日
当て
前にも書いたが,当てには,結構意味があり,辞書(『広辞苑』)には,
当てる物,あてがうこと(鞘当,膝当て)
見込み,目当て,特に頼みにしている見込み
借金の抵当
者を打ち,切り,削りなどをするときの,下におく台,添える物
会場で,自船の所在やその進路あるいは海中の暗礁を知るために利用する目標(山当て)
酒の肴
等々の意味が載っている(「宛」と当てるときは,割り当て,差出先の意味)。
多く,「当てにする」という言い方で,頼りにする,といったニュアンスから,広がっているように見える。しかし,語源的には,逆で,
「動詞アツ(当ツ)の連用形りの名詞化」
とあり,本来は,
保護する当て布,肩当て,
の意で,そこから転じて,
目当て,目論み,
の意味に広がったとある。具合的な当てものの意味から,敷衍化された,ということなのだろう。そう思って,念のため,『古語辞典』を調べると,
当て(宛て,充て)
には,
アタ(仇・敵)と同根,
とある。そして,
物を狙ったものやところにぶつからせる
その所にぴったり触れる
の後に,
見当をつける,
というのが出てくる。「あだ」を見ると,
「ぴったり向き合って敵対するものの意,江戸時代以降アダと濁音化した」
とあり,どちらが先かは別として,「あて」「あた」は,
一方は頼りになるもの
の意となり,
他方は,それに敵対する
ものの意となった,ということになる。最近,
当てが外れた,
と思うことがあって,それについて,ちょっと調べ出したのだが,そのとき,うろ覚えで,
当てと褌は向こうから外れる,
というような諺が頭に浮かんだ。正確には,
当て事越中褌(もっこ褌)は向こうから外れる,
と言うそうだ。身に付けたことがないので実感はないが,
越中褌が前から外れやすいのと同様,とかく心当てにしている物事は先方の都合や故意から外れることが多い,
という意味らしい。越中褌は
「ふんどしの一種。長さ100cm程度(3尺)、幅34cm程度(1尺)の布の端を筒に縫い、その筒に紐を通した下着」
で,その着装法はも『守貞漫稿』に,
「紐を通したる方を背にし、紐を前に結び、無紐方を前の紐に挟む也」
という。前から外れるわけだ。因みに,「もっこふんどし」の「もっこ」とは,もっこをかつぐの「もっこ」で,最近はめっきり見かけなくなったが,
「なわや竹・蔓つるを編あんで作った土砂どしゃの運搬道具うんぱんどうぐです。人が担かついだり、背負せおったり、手で持ったりして使います。昭和初期までの土木工事では、このもっこに土をいっぱい入れて、棒ぼうで担かついで運んでいました。土木工事は大変な仕事で、ほとんど人の力で行われていました。」
(http://www.cgr.mlit.go.jp/ootagawa/chiebukuro/search/mame/No_174.html)
で,もっこ褌は,
「ブリーフに近い形をしていますが、直線裁断であることがは他の褌と共通です。また本体は紐とは別になっており、横方向にずらすことができるのがブリーフとの違いです。
越中褌や六尺褌と違う点は、締め加減の調整に制限があることです。しかし前垂れがないので、ズボンをはいたときに邪魔になりません。」
もっこ褌は,褌の中では最もパンツに近い形をしており,着用したときの見た目はビキニブリーフのそれに似てるのだそうだ。
http://mama.moo.jp/mokkofundosinotukurikata
を見る限り,実体験がないので,絵柄だけから見れば,外れやすいのは,はるかに越中褌ではあるまいか。まあ,どうでもいいようなことだけど。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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