2015年09月20日
一顰一笑
一顰一笑は,
いっぴんいっしょう
と訓む。『韓非子』内儲説から由来するようだ。
顔をしかめたり,笑ったりすること。ちょっとした表情の変化。また人の顔色。機嫌。
という意味で,
一顰一笑に左右される,
一顰一笑に気をつかう,
といった使い方をする。『大言海』は,
憂えては顔を顰め,喜びては笑うこと,
とある。不愉快そうに少し顔をしかめたり,嬉しそうにちょっと笑ったりする顔の表情の変化である。昨今ついぞ見かけない。
http://www.iec.co.jp/kojijyukugo/vo81.htm
によると,
「昔、韓の昭候が、古いい袴を保管するようにお側の家来に命じたところ、『そのような古い袴は、だれかにやってはどうですか』と非難めいたことを家来にいわれました。昭王は『懸命な君主は、部下の前で顔をしかめたり、嘲笑したりする場合でも注意しなければならないものです。袴を下賜することは、もっと重大な意味を持つのですから、誰に与えるのかについて十分に注意しなければならないのです』と言ったとのことです。」
という謂れらしく,原文では,
「吾聞く、明主は一嚬一笑を愛(お)しむと。嚬(ひん)するは為に嚬する有り、而して笑うは為に笑う有り。」
とあり,
「多数の配下を持つ者は、自分の一挙手一投足に注意しなければならないという自制の言葉」
である,という。この逸話から,
「弊袴を愛惜す」
という故事成語もある。
信賞必罰を実行すること,
という意味。上記逸話にあるように,
「はき古したハカマ(袴)を家来が誰かにやったらどうか」
と非難めいたことを言われたのに対して,昭王が,「賢明な君主は眉をしかめたり、笑うことさえ惜しむものだ」という言葉と同時に,
「袴は手柄のある者に与える」
と答えたことにら由来する。つまり,顔の表情一つ,下賜することひとつ,意味がある,ということなのだろう。
「顰」の字は,
しかめる,ひそめる,
といった意味だが,「顰」は,「頻+卑」で,「頻」は,
間隔をつめてぎりぎりに近寄ること,
「卑」は,
ひくい,ひくめる,
で,「卑+頻」は,
眉の間隔を近寄せることを,
あらわす。だから,
眉をひそめる,
とか,
顔を顰める,
という意味になる。因みに,「笑」の字は,会意文字で,「竹+夭」。「夭」は,
細くしなやかな人,
で,元は,細い竹のことを指す。正字は,「口+笑」で,
口を細くすぼめて,ほほと笑うこと,
を指す。それを誤って「咲(わらう→さく)」と書き,略して,「笑」を用いるようになった,という。
わらう,
にも,
哂う(微笑)
嗤う(嘲り笑う)
笑う(喜びて顔を解き,歯を啓く,冷笑は苦笑い)
噱う(大笑い,吹き出す)
とある。一顰一笑の「笑い」は,機嫌のいいときを指す。
相手の顔色の変化に振り回される,というのは,恋しているときはそれ自体が恋だけれど,それ以外は,疲労ばかりが募る。自分の心を外に置いて,相手を伺うのは,その時間が,人生の時間の無駄だからだろう。
逆に言うと,上位に立つものは,下の人はヒラメ状態にあることを慮る必要があるということだろう。というより,そういう状態にある限り,チームとしての体を為していない,というべきかもしれない。
ある意味,おのれの一顰一笑に,メンバーに一喜一憂させるようでは,リーダーとしての在りようがなっていない,というべきだろう。身分社会ではあるまいし,自己開示ができていないか,ジョハリの窓で言う,パブリックができていない,ということだろう。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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