2015年09月30日
どんでん返し
どんでん返しは,
正反対にひっくり返すこと。転じて,話・形勢・立場などが逆転すること。
「強盗 (がんどう) 返し」に同じ。
とある。強盗返しは,
歌舞伎で、大道具を90度後ろへ倒し、底面を垂直に立てて次の場面に転換させること。また、その仕掛け。どんでん返し。箱天神 (はこてんじん) 。
とある。強盗返しの別の説明では,
「箱天神ともいう。家体あるいは丸物の第一場面の道具がそのまま背後に転倒してその道具の下部に仕込まれた道具が現れ、次の場面になる方法。」
人が龕灯のロウソクのように常に見えていることから。強盗返しというということになる。語源由来辞典,
http://gogen-allguide.com/to/dondengaeshi.html
によると,
「近世,歌舞伎の舞台で大道具を90度後ろへ倒し,底面を立てて,次の場面に転換することや,その装置を『どんでん返し』といったことに由来する。歌舞伎の『どんでん返し』は,中が自在に回転する仕掛けの『強盗提灯(がんどうちょうちん)』に似ていることから,元々は『強盗(がんどう)返し』と呼ばれていた。『がんどう返し』が『どんでん返し』に転じたのは,『どんでんどんでん』という鳴物の音からか,大道具を倒す時の音からと言われている」
とある。ちなみに,強盗提灯とは,
「銅板・ブリキ板などで釣鐘形の枠を作り、中に自由に回転できるろうそく立てを取り付けた提灯。光が正面だけを照らすので、持つ人の顔は見えない。忍び提灯。龕灯(がんどう)。」
のこと。通常,龕灯(がんどう)と呼ばれる。龕灯は,
「江戸時代に発明された携帯用ランプの一種。正面のみを照らし、持ち主を照らさないため強盗が家に押し入る際に使ったとか、目明かしが強盗の捜索に使ったとも言われ、『強盗提灯(がんどうちょうちん)』と呼ばれた。金属製、または木製で桶状の外観をしており、内側には二軸ジンバルにより2本の鉄輪が回転し、内側の鉄輪の中央にロウソクが固定されており、龕灯をいかなる方向に振り回してもロウソクは常に垂直に立って火が消えないような工夫がなされている。」
(http://www.hokusetsu-ikimono.com/kenkyu/syakai/mukashi-dougu/parts/kaichyudentou/gandou-02.JPG)
写真を見ると,真直ぐに立ったろうそくが,二つの輪の回転でどのような向きになってもまっすぐ立つようにくふうされている。その由来は,
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B7%E7%9B%97%E8%BF%94
に詳しいが,
「演劇を行う施設では演劇空間の時空を自在に演出するために外部からの光を遮蔽することが多く、舞台上の照明は一般的には内部照明によってのみ操作する。このため、舞台照明を一瞬だけ消すことで真っ暗闇を実現することが可能となり、この暗転の中で演劇者は衣装を着替えて次の演技の所定の位置に着き、舞台道具は強盗返の仕掛けを用いることで、場所や季節の切り替わり等のシーンの切り替え等を舞台と客席の間の幕を上げ下げをすることなく、観客の目の前で短時間で行うことが可能となる。」
とあり,
「強盗返は横から見ると床と壁が一体化したアルファベットの大文字の「L」の形をしており、床面に置かれた什器備品等の多くは底面である床に固定されている。歌舞伎では一体化した床面と壁面を備品と共に後ろ側に倒すことで、今までは床に見えていた底面部分の裏側に隠れていた壁面が観客の目の前に現れる。この時、歌舞伎では前述の大太鼓の音が「どんでんどんでん」と鳴り響く。」
後に部隊が回る回転式が登場するが,その場合,強盗返と区別するために,盆廻し(ぼんまわし)と呼ぶそうである。
どんでん返しには,
忍者屋敷の扉のからくり。
の意味もあるが,こういう由来を見ると,どうやら比較的新しい言い回しだということがわかる。
ところで,強盗は,現在ふつう,
ごうとう
と訓む。それを,
がんどう
と訓むのは,
唐音
らしい。『古語辞典』には,がんどう(強盗)で載る。辞書(『広辞苑』)によると,古くは,
ごうどう,
と訓んだらしいし,日葡辞典では,
がうだう,
と訓んだらしいので,がうだう,がんどう,ごうどう,ごうとう,という転訛なのだろうか。『大言海』は,
「がんだう」を「がうだう」の転,
とある。『古語辞典』の「がんだう」の項には,強盗返し,強盗提灯のほかに,
強盗(がんだう)打つ 強盗に入る
がんだうづきん(強盗頭巾) 頭・顔全体を包み隠し、目だけを出すようにした頭巾。苧(からむし)頭巾。目ばかり頭巾。ごうとうずきん。
が載っている。「ごうとう」より「がんどう」のほうが,およそ強面でなくなる語感があるが。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm
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