2015年10月04日
その場
そ(其)の場とは,辞書(『広辞苑』)には,
ある物事があったところ,その場面,
その席上,即座,
という意味が載っていて,
その場限り(その場だけで後に関係のないこと),
その場ぎり(仝上),
その場凌ぎ(その場を取り繕って切り抜けること),
その場逃れ(その場限りの取り繕い,一時遁れ),
等々,総じて,糊塗,言い抜け,間に合わせ,誤魔化し,と言った,あまりいい意味で使われていない。
「将来的なことを考えずに、その時だけをうまく切り抜けるために何かを行うことにいう。『逃れ』と『しのぎ(=耐えること)』の相違があるが、実際には、かなり近い意味で用いられる。」
という説明があった。
その場をかわす,逃げ出すため,という心理(という受身)
か,
その場を「言い抜ける」「切り抜ける」「捌く」という心理(という積極的)
か,
の違いはあっても,その場でことに向き合うためではなく,その場でごまかそうとしていることに変りはなく,本人にとっては,結構大違いかもしれないが,その場に立ち会っている相手方からすれば,どっちだって変らず,その場をテキトーにごまかそうとしているのに違いはない。
似た言葉に,
当座逃れ,
当座しのぎ,
一時逃れ,
一時しのぎ,
一寸延ばし
一寸逃れ
というのがあり,
その場,
当座,
一時,
一寸,
と使い訳はあっても,結局,肝心要の,
その場,
を逃げることしか考えていない,ということなのだろう。だから,「一時」いやいや「一寸」,つまり,そのいっとき,一瞬,だけを切り抜けようとする,と見えるのだろう。「当座」は,「その場」が,より限定されている。
居合わせている座,その場,その席上,
その場ですぐ,即座,即刻,
という意味で,確か,
http://ppnetwork.seesaa.net/article/409638012.html
にあったと思うが,嘘を見抜くには,相手の予行演習を崩す,その場で即答させるのが効く,とあったと思う。だから,相手に余裕であしらう暇を与えないと,本音が露呈せざるを得ない,
その場,
をつくることが必要なのだろう。「場」については,
http://ppnetwork.seesaa.net/article/400626564.html
でも触れたが,「場」という字は,
昜(よう)は,「日+T(高く上がる印)+彡(さん 飾りや模様をあらわす記号 影・彩・形などに使われる)」で,太陽が彩美しく昇るさま。「土」を加えて,日光のあたる高めの開けた地」
を指す。だから,漢字の「場」は,
広く開けた地,
平面より一段高く開けた地,
人の集まる広いところ,
を指すが,わが国では,
その物事が行われている所,時間,場合,
を限定する。だから,芝居の「場」という使い方につながる。その意味では,
「その場」
には,肝心要の,大事な,
そのとき,その場,
というニュアンスがある気がする。大袈裟に言えば,
そこで,どうそれに立ち向かうか,どういう対処をするか,
で,その人そのものの在りようが問われるような,
正念場,
というか,
切所,
なのではないか。だから,
「あとのことは考えずに、その場だけをとりつくろうこと。また、そうした態度・口実。一時しのぎ。」
と何とか取り繕う,と本人が思っているのと,周囲が見ている眼とは違っている。
間に合わせ,
応急処置,
ですむことと済まないことがある。
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