こむら返り


こむら返りというのは,

「ふくらはぎ」や「足の裏」などが激しくつって痛む状態のこと

である。医学用語では,

「『有痛性強直性筋痙攣』といいます。主に腓腹(ひふく)筋でおこるので、『腓腹筋痙攣』とも呼ばれています。腓腹筋とは、ふくらはぎのことです。」

とされるようだ。「こむら」は,



と当てる。辞書(『広辞苑』)には,

「脛の後方のふくれたところ」

を指し,

ふくらはぎ,
こぶら,

とも言う,とある。だから,こむら返り(腓返り,こむらがえり)は,

こぶら返り

という言い方をすることもある。要は,

「(足が)攣(つ)る」

というやつである。他にも指・首・肩などもこの症状と類似した状態になる場合がある,という。そう言えば,脛が攣ったことがある。いわゆる,

弁慶の泣き所,

という箇所である。症状は,

「筋肉の意識しない持続的な強直性収縮である筋の攣縮を示し、有痛性である。こむら返りを生じている筋は硬く収縮しており、局所の筋が硬く膨隆しているのがわかる。筋攣縮の持続は数秒から数分であることが多く、特に激しい運動の後や、水泳後、睡眠中に見られることが多い。特に睡眠中は眠気が吹き飛ぶほどの激痛が襲うものの、寝起きで早急に対処ができない為、起床後にふくらはぎの筋肉痛や寝不足が残ることがある。
原因は神経でなく、筋肉固有の問題があるといわれ、下位運動神経終末部での過興奮によるのではないかと考えられているが、特定には至っていない。」

とされ,原因としては,

・筋肉の疲労
・運動不足
・水分不足及び体液中の電解質の異常

等々され,一過性ではなく、頻繁に繰り返し起こる場合は,

・椎間板ヘルニア、糖尿病、動脈硬化、甲状腺異常などの疾病
・降圧剤、抗高脂血症剤、ホルモン剤などによる副作用
・妊娠中

等々が考えられる,とされる。自分の経験では,

運動による疲労,

運動不足による過負荷(急な負荷)

等々によって生ずると思ったが,病気で薬を飲んでいるとき,その副作用で起こることもある,と警告された。事実,上記の脛の攣りは,その最中に頻繁に起きた。ふくらはぎなら,揉むなり伸ばすなり,なんかなだめる方法があるが,脛は,延ばしようも,揉みようもなく,ひたすら全身固まって,激痛の痙攣が去るのを待つしかなく,小一時間かかった記憶がある。

いずれにしても,健全な状態でないから起きるのだろう。せんだって,落語会へ行って,噺家が,噺の最中に中腰のまま噺を続けて,変だなと,思ったが,後で,その噺家が,途中で足が攣ったと打ち明けた。どこで起こるか予測できないから,確かに困る。

「こむら」の語源は,

「コ(小)+ムラ(叢・群)」

で,脛の背面の,筋肉のふくれた部分を指す,とある。「腓」は,ふくらはぎをあらわす漢字なので,これを当てた。『和名抄』には,

「腓,古無良,脚腓也」

との説明があるらしい。『大言海』は,

「小叢肉の義か」

とある。「肉叢(ししむら)」ということばがあり,「肉のかたまり」という意味で,「小叢肉」とは言い得て妙かもしれない。

「こむら返り」について,語源由来辞典

http://gogen-allguide.com/ko/komura.html

には,

「平安時代以降から見られる語」

とあり,

「平安末期の漢和辞書『類聚名義抄』に『転筋 コムラガエリ』とあり,こむら返りは,ふくらはぎの筋肉がひっくりがえったような感じから名づけられたと考えられる。」

とし,

「『こむら』や『こぶら』の語源には,隆肉の意味で『瘤(こぶ)』に接尾語『ら』で『こぶら』になったとする説や,肉のかたまりを『肉叢(ししむら)』と言ったことから,『股(もも)』に対して小さな肉のかたまりなので,『小叢(こむら)』の意味とする説などがある。近世に『ふくらはぎ』という言葉が生まれ,主に『ふくらはぎ』が用いられるようになったため,江戸後期には『こむら』お『こぶら』の語は用いられなくなった。」

とある。「こむら(こぶら)返し」の中にだけ,「腓(こむら)」が残ったということらしい。「こむら返し」には,古代のにほひがする,というわけだ。

参考文献;
http://komura.eek.jp/turu/
http://www.itaikomura.com/





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