2015年11月02日

ろじ


「ろじ」には,

露地
路地
露路

の字があてられる。別に,

路次

というのもある。辞書(『広辞苑』)には,「露地・路地」として,

(「露地」と書く)として,

屋根などの覆いがなく,露出した地面,
分納を離れた境地。法華経の火宅喩に基づく,

と二つが載り,つづいて,

草庵式の茶室の庭園。石灯籠・蹲踞・飛び石などを配する。外露地・内露地に区分,
門内または庭上の通路,
人家の間の狭い道路,

とある。僕の意識では,「人家の間の狭い道路」を「ろじ」と思ってきたので,その幅の広さにちょっと愕然とする。無知と言えば無知。しかし,別の辞書では,

(露地)屋根などがなく雨露がじかに当たる土地。
(路地・露路)建物と建物との間の狭い道。
(路地・露路)門内や庭内の通路。
(露地・路地)草庵式茶室に付属した庭。腰掛け・石灯籠 (いしどうろう) ・飛び石・蹲踞 (つくばい) などを配し、多くは外露地と内露地とに分けられる。茶庭。

と,使い分けを整理していた。「路」と「露」の字,「路」と「地」の区別は,後で見るとして,『大言海』は,「露地」と「路地」を別々項目を立てている。

「ろぢ(路地)」として,「ミチスヂにて,屋根なき地かと云ふ。路次(ろじ)の条をもみよ」とあり,

門内,庭上の通路,
東京にて,市街の人家の間の狭き路,京に途子(づし),

とある。いわゆる「路地裏」の「路地」は,地域限定なのか,という感じである。因みに,「路次(ろじ)」をみると,辞書(『広辞苑』)には,「古くは『ろし』」といったとある。確かに,『古語辞典』には,「ろし」で載る。『大言海』には,

みちすじ,またはみちのついで,道すがらなること。行路,

とあり(辞書(『広辞苑』),『古語辞典』にはこの意味のみしか載らない),その他に

庭園(にわ)の称(多く茶亭に云ふ)。露地。
人家の間の細き路(露地,路地,露路などと書くは仮名遣いたがへり)

とある。「路次」は「ろじ」と「露地・路地・露路」は「ろぢ」(『古語辞典』によると,「上方では,「ろうぢ」と発音する)であることを指している。

で,『大言海』は,「露地(ろぢ)」については,「みちすじにて,庭に通ふ處か」として,

屋根などの覆いなき地。青天井の地。
路次の意味(庭園(にわ)の称(多く茶亭に云ふ)。露地。)
三界の火宅を離れたる境に譬へて云ふ語。

とあり,どうやら,先ずは,

「路次」

「路地・露路」

の区別,つまり,「道筋の途次(みちすがら)」という「路次」か「道筋(通っている道)」の「露路・路地」の区別があり,これは,「じ(し)」と「ぢ」で使い分けられていた。

「露路」

「路地」

の違いは,「覆いの有無」になる。「露路栽培」とは言うが,「路地栽培」とは言わない。しかし,いずれも,道筋,それも細い道筋を示した言葉であった,と想像がつく。「露路」は,『古語辞典』に,

「露わな土地,露出した地面」

とある。それが意を十分示している。そこから,特別に道を指すようになった謂れは,後に回して,語源を見ると,

「露路」は,(中国語で)「露(むき出し)+地(地面)」

で,

「路地」は,「路(みち)+地(地面)」

とある。

漢字を見ると,「路」は,連絡の路という意味らしい。「各」は,「夂(足)+口(堅い石)」で,脚が石につかえて,転がしつつ進む,意と言う。狭いと同時に,未整備の感じであろうか。「地」は,平らに延びた土地を意味し,「露」は,さらす,とか,透ける,という意味がある。

本来は,覆いの有無の違いの「ろぢ」に,特別な意味を持ちこんだのは,

千利休が茶庭を露地と呼んだ,

ことにはじまる。どうやら,「三界の火宅を出で露地に坐す」の仏語から取ったものらしい。しかし,

「露地は、本来は『路地』と表記されたが、江戸時代の茶書『南方録』などにおいて、『露地』の名称が登場している。これは『法華経』の『譬喩品』に登場する言葉であり、当時の茶道が仏教を用いた理論化を目指していた状況を窺わせる。以後禅宗を強調する立場の茶人達によって流布され、今日では茶庭の雅称として定着している。」

とあるから,もともとは「路地」と表記していたのかもしれない。

露路.JPG


路地については,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B7%AF%E5%9C%B0

露地については,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%B2%E5%9C%B0

に詳しい。しかし,上記には,

「小間の茶室に付随する簡素な庭園は、広大な敷地を持つ寺院などではなく、敷地の限られた都市部の町屋において発達したと考えられる。こうした町屋では間口のほとんどを店舗にとられていたため、『通り庭』と呼ばれる細長い庭園が発達していたが、さらに茶室へと繋がる通路、『路地』が別に作られるようになった。」

とある。まさに,「ろぢ」のもつ,小径と道筋のふたつの意味が含意されていることがわかる。やはり,ろじは,路地である。


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posted by Toshi at 05:29| Comment(0) | 文化 | 更新情報をチェックする
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