2015年11月17日

極楽蜻蛉


極楽蜻蛉とは,最近あまり使わないが,

うわついたのんき者を罵って言う語,

とある。手元の辞書には,載っていないので,ネットの,日本語俗語辞典

http://zokugo-dict.com/10ko/gokurakutonbo.htm

には,

「極楽とんぼとはどんな場面でも呑気に過ごす楽天家のことで、そういった人を嘲う言葉として江戸時代から使われている。池や水田の上空を優雅に飛ぶトンボの姿は、見ようによっては何も考えず、呑気に飛んでいるようにも見える。」

とてある。同じく,『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ko/gokurakutonbo.html

には,

「極楽とんぼの『極楽』は安楽で何の心配もない場所や境遇。『とんぼ』は昆虫のとんぼのことで,のんきに生活しているもののことを,極楽を飛ぶとんぼのようなものとたとえた言葉である。…同じ意味の言葉に『極楽とんび』もある。『とんぼ』や『とんび』がこのような喩えに使われるようになった由来は,上空を舞うように飛ぶ姿からである。とんぼの中には,極楽とんぼの喩えには向かない素早く飛ぶ種も多いが,ここでのとんぼはアキアカネのことと思われる。」

とある。アキアカネは,

「普通の赤とんぼ」

のことである。これに関して,こんな記述もあった。

「日本の古名に『あきつしま』というものがあります。『あきつ』とはトンボの古名ですから、日本のことをトンボの島と呼んでいたことになります。それほどトンボは重要な虫だったわけです。
さて、この『あきつ』は赤とんぼのことだと思われます。赤とんぼは夏の間は山の上で暮らし、秋になると大群となって麓におりてきます。現在では余り見かけなくなりましたが、昔は稲刈りの頃に空が赤く見えるほどの大群でやってきて、害虫を食べてくれました。赤とんぼは豊作を象徴する虫だったのだと思います。
『あきつ』は『秋の(虫)』という意味かと想像します。トンボは『飛ぶ棒』が語源だろうと言われています。」

赤とんぼ.jpg


あきつは,

秋津
あるいは
蜻蛉

とあて,古くは,「あきづ」と訓み,平安以降「あきつ」と訓むようになった。とんぼの語源は,

「飛ン坊」で,飛び回る昆虫,

という説と,

「飛羽,トビハの音便」で,飛ぶ羽をもつ昆虫,

で,必ずしも蜻蛉を指していない。『古語辞典』には,

とんばう(蜻蛉),

として,こういう例が引用されている。

「此の国の形とんぼうに似たり。故に此の虫の形になぞらへて,蜻蛉国と云へり。蜻蛉とは東方といふ虫也。此の虫は,あづまの方より出で来る故に,東方と云ふなり」(古今序注)

『大言海』には,「とんばう」として,

蜻蛉
蜻蜒

を当て,こう注記する。

「飛羽(とびは)の音便延。(縫物(ヌイモノ),ぬんもの。追物射(オヒモノイ),おんものい。布衣(ホイ),ほうい。牡丹(ボタン),ぼうたんと同趣)。今トンボと云ふは,却って本語に近きなり。昔蜻蜒をゑばと云ひき(これがゑんばとなり,やんまとなる。)」

極楽は,言わずもがなだが,

「阿弥陀仏の居所である浄土。西方十万億土を経たところにあり,まったく苦患(くげん)のない安楽な世界で,阿弥陀仏がつねに説法している。極楽浄土。安養浄土。西方浄土」

で,これが転じて,

「きわめて安楽な場所や境遇」

を指すようになる。それにしても,

極楽蜻蛉
と書くか,
極楽とんぼ
と書くか,
極楽トンボ
と書くか,

で,ずいぶん印象が変わる。お気楽という意味では,

極楽トンボ,

が合う気がする。類語は,

楽観的な
のんきな
楽天的な
呑気な
希望的観測

とあるが,僕は,

能天気・能転気(脳天気)

が一番近い気がする。辞書(『広辞苑』)には,

軽薄で向う見ずなさま,
生意気なさま,
物事を深く考えないさま,

とある。ずいぶん幅がある。能天気にしているのが,向う見ずに見えたり,生意気に見えたりするということか。

類語は,極楽蜻蛉と重なるが,

http://zokugo-dict.com/25no/noutenki.htm

に,こんな記述があった。

「能天気とは呑気で軽薄なことや安直なこと。またはそのような人をさす。更にそれが転じ、生意気な人を指しても使われる。能天気が普及したのは古く、江戸時代の書物には既に使われている。のうてんきには実に様々な表記があるが、一番多く使われるのは能天気。以下、脳天気、能転気、のーてんきがある。更に最近ではノー天気という表記もあるが、どれも意味は同様。脳天気という表記は昭和時代後期から使われるようになったもので、小説家の平井和正が広めたといわれている。」

そう,「ノー天気」という表記がぴたりかもしれない。能天気の類語は,極楽蜻蛉と重なるが,

お気楽
安直

が加わるところが,違うが,極楽とんぼにそれがない理由がむしろわからない。



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