2015年11月21日

大宅太郎


「大宅太郎を気取って」というフレーズが野暮天の僕には(現代それが通じる人は稀有かもしれないが)通じない。で,調べる破目に。

こんな一文がある。

「大宅太郎光国、と聞いてピンときた方はハッキリ言ってかなりの妖怪通。実はこの男、あの『がしゃどくろ』のモデルとなったとされる国芳の絵、『相馬の古内裏』に描かれている人物である。」

歌川国芳の「相馬の古内裏(ふるだいり)」は,

相馬の古内裏.jpg


である。相馬の古内裏とは,

「平安時代の武将、平将門が下総国相馬に京都の御所を模して建てた屋敷のこと。」

国芳の『相馬の古内裏(ふるだいり)』の元になったのは,江戸時代後半の山東京伝によって書かれた『善知鳥安方忠義伝(うとうやすかたちゅうぎでん)』。『善知烏安方忠義伝』のあらすじは,

承平天慶の乱(935年-941年)で朝廷に反抗して新皇を称した平将門が討ち取られた後、相馬の古内裏も焼かれて廃屋となっていた。ところが、将門の娘の滝夜叉姫(たきやしゃひめ)が父の遺志を果たそうと妖術を使って仲間を募り、古内裏に夜な夜な妖怪が出没するようになった。大宅太郎光国(おおやたろうみつくに)という勇士がこれを討伐しようとして、滝夜叉姫の繰り出す妖術に苦しめられながらもついに勝利する,

というもの。国芳の『相馬の古内裏』は,

「滝夜叉姫が呼び出した骸骨の妖怪が大宅太郎光国に襲い掛かる場面で、原作では等身大のたくさんの骸骨が現われるところを、歌川国芳は1体の巨大な骸骨として描いている。ヨーロッパの医学書の骨格図に基づいた非常に写実的な骸骨はそれまでの浮世絵には無い凄みを画面に与え本作品を国芳の傑作の一つたらしめている。がしゃどくろと直接の関係はないが、現代におけるがしゃどくろのイメージを方向付けた絵であると言える。」

とある。国芳の絵の,

「左にいるのが姫、中央が大宅太郎光圀、右は姫を守ろうとする荒井丸。」

原作では無数の骸骨に襲われるのを,国芳が巨大な骸骨を一体登場させたことになる。

ここでいわれる,「がしゃどくろ」は,

「巨大な骸骨の妖怪。妖怪通の間では有名な話だが、このがしゃどくろは近年(1970年代)になって創作された妖怪であり、古い時代にそんな妖怪はいなかった。」

と説明がある。ウィキペディアは,こう説明する。

「戦死者や野垂れ死にした者など、埋葬されなかった死者達の骸骨や怨念が集まって巨大な骸骨の姿になったとされる。夜中にガチガチという音をたててさまよい歩き、生きている人を見つけると襲いかかり、握りつぶして食べると言われる。近年になってから創作された妖怪であり、各地の民間伝承などから採取された伝統的な妖怪とは出自が異なっている。漢字で「餓者髑髏」と書く。」

確かに,『古語辞典』にも載っていない。

「1970年前後に刊行された通俗的な妖怪事典の類の中で、その著者らによって創作された妖怪で、柳田國男の著書でも言及されておらず、各地の伝承にも現われていない。」

とかで,

「『世界怪奇スリラー全集2 世界のモンスター』(秋田書店、1968年)での斎藤守弘による記述が初出とされる。後に水木しげるが『妖怪事典』や『日本妖怪大全』で取り上げ、広く知られるようになった。水木が描いたがしゃどくろの姿も、国芳の「相馬の古内裏」が基になっている。」

という。国芳は,べつにがしゃどくろとは名づけていない。水木のがしゃどくろのブロンズ像は,

がしゃどくろ.JPG


境港市水木しげるロードに設置されている。

前置きが長くなったが,大宅太郎は,妖怪を退治した豪傑,ということで,まあ,素戔嗚尊,桃太郎から始まって,岩見重太郎,渡辺綱,源頼光等々と並ぶ,鬼やら妖怪退治の列伝に入る。そういう豪傑を気取った,ということだろう。

因みに,源頼光と坂田金時,渡辺綱らの四天王が退治したとされるのが,大江山の酒呑童子。

「酒呑童子(しゅてんどうじ)は、丹波国の大江山、または山城国京都と丹波国の国境にある大枝(老の坂)に住んでいたと伝わる鬼の頭領、あるいは盗賊の頭目。酒が好きだったことから、手下たちからこの名で呼ばれていた」

とされる。しかし,鬼とか,妖怪は,

化外

つまり,

王化の及ばない所。国家の統治の及ばない所,

渡辺綱.jpg


であり,みちのくといった空間的距離だけを指していない。

「酒呑童子や羅生門の鬼に代表されるように、京の都に出没する鬼は、王権を脅かす政治的な色合いの強い鬼である。天皇が勅命を下し、武将に鬼を退治させる物語―それは、王権が自らの権力を誇示し、その物語を通して王権を称掲する手段にしようとして、つくり出したものではなかったのか。」

という説もある。鬼は,心の影である。それは,亡霊,怨霊とよく似ている。怨霊については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/407475215.html

で書いた。

要は,大宅太郎を気取る,とは,英雄・豪傑を気取る,ということか。

参考文献;
http://www.youkaiwiki.com/entry/2013/07/14/235613
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8C%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%A9%E3%81%8F%E3%82%8D
https://nohmask21.com/oni/densetsu01.html



ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 05:33| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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