2015年12月18日

序の口


序の口というのは,

物事の始ったばかりのところ,発端,
相撲の番付の最下段に記名される地位,

の意味だが,当然,謂れは,相撲から来ていると想像される。語源は,

「序(順序の始め)+口(物事の始め)」

で,物事の発端,という意味になる。「序」の字は,

「予は,機織りの杼(ひ)を描いた象形文字。杼は,糸を押し伸ばす働きをする。抒(のばす),舒(のびのびする)と同系。序は,「广(いえ)+予(よ)」。おもやの脇にのび出た脇屋。また,心の中の思いを押し延ばして展開する意」

とある。で,意味は,脇屋の意味の他に,

ある基準による決まった並べ方,順序,

とある。「口」は,

「人の口や穴を描いたもの。その音がつづまれば谷(穴の開いた谷),語尾が伸びれば孔(あな)や空(筒抜けのあな)となる。いずれも中空に穴の開いた意」

とあり,口の連想からか,

入り口,

という意味をもつ。

『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/si/jyonokuchi.html

には,

「序ノ口は番付に初めて記されるくらいなので,『上り口』という意味から古くは『上ノ口』と表記されていた。『上ノ口』が『序ノ口』と表記されるようになったのは,『序』には『序盤』などのように物事の初めや最初の意味があるからだが,一番下の位であるのに,『上』と書かれる意味がわかりづらかったのも理由のひとつであろう。物事が始まったばかりを意味する『序の口』は相撲の序ノ口に由来する。」

とあり,相撲では,

序ノ口

と表記される。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BA%8F%E3%83%8E%E5%8F%A3

にもあるように,

「元々は、番付の上り口という意味で『上ノ口』と表記したが、『上』は上位と紛らわしくなるため、『序ノ口』が用いられるようになった。」

ということらしい。ところで,「すもう」は,

相撲
とも
角力
とも

書く。語源は,

「すま(争)ひ」

から来ている。「すまひ」は,

拒ひ,

と当て,

相手の働きかけを力で拒否する意,

で,

「相手の力に負けまいとして抵抗すること,手向かうこと」

とある。従って,相撲,角力は当て字。

「古くは,武術で,打つ,殴るなどの技もありました。用例として,スマイナヤム(争い悩む,断りかねてどうしたらよいか困る),スマイ牛(前に進もうとしない牛)」

と載る。『大言海』には,「すまひ」の項に,相撲が載る。

「争(すま)ふの名詞形。争(すま)ひの義。戦場の組打ちの慣習(ならはし)なり。源平時代の武士の習いしスマフもそれなり」

とある。相撲の謂れの詳細については,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E6%92%B2

に詳しいが,『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/su/sumou.html

には,

「『争う』『負けまいと貼り合う』を意味する動詞『すまふ(争ふ)』が名詞化して『すもう』になったか,『すまふ』の連用形『すまひ』がウ音便化したと考えられる。平安時代の辞書『和名抄』に『相撲 須末比』とあるように,古くは『すまひ』と呼ばれていたが,ウ音便化されたという確定的な文献がないため,『すまふ』と『すまひ』のどちらであるかは断定できない。古代の『すまひ』は蹴りなども行われる力比べで,細かなルールはなかった。『日本書記』の垂仁紀七年にる野見宿禰(のみのすくね)と當麻蹶速(たいまけはや)の対決記事があり,これが相撲の始まりとされる。現代の相撲の基本様式は,平安時代に宮中で行われた『節会相撲(せちゑすまひ)』が恒例化したものであり,室町時代末期に娯楽観覧のための職業相撲が発達」

とある。序ノ口は相撲用語から来ているが,相撲用語

http://deliciousway.sakura.ne.jp/sumo/shiryou7.htm

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E6%92%B2%E7%94%A8%E8%AA%9E%E4%B8%80%E8%A6%A7

は,一杯あるが,一般化している言葉は,意外に少ない気がする。将棋や囲碁から来ている言葉の方が圧倒的に多いのは,一般の人が,それをする機会が多いせいかもしれない。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
小谷野敦『日本恋愛思想史』(中公新書)


ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 05:36| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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