2016年01月08日

あほ


「あほ」は,

阿呆
とも
阿房
とも,

あてる。

辞書(『広辞苑』)には,

愚かであるさま,またそのような人,

とあるが,『日葡辞典』にも,

「アハウヲイウ」

とあるらしく,中世末期には既にあったらしい。

『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/a/ahou.html

には,

「あほ. 【意味】 あほとは、愚かなさまや行動、愚かな人。馬鹿と同じ意味で、人を罵る言葉 であるが、関西方面では、馬鹿よりも軽い意味や親しみをこめて使われる。
【語源・由来】. あほの語源は、秦の始皇帝が異常に大きな宮殿『阿房宮』を建てたことからとする説が多い。この説にも,二通りの話があり,『阿房宮』は項羽に焼かれたが,あきれるほど馬鹿でかく,全焼するのに3ヵ月もかかったことから,馬鹿げたことを『阿房』というようになり,『あほ』と呼ぶようになったとする説と,大きな宮殿を建てたが,財政が困難になり,国が滅びてしまったことからとする説がある。しかし,『阿房』の表記はこの語源から充てられたとする見方が強く,当て字とされている。その他,『おこがましい』の語源となる『をこ』が変化して,『あほう』になったとする説で,『馬鹿』の語源説のなかにも『をこ』の音韻変化とする説があり,共通はしているが,共に苦しい音変化である。あほの有力な説として,中国江南地方で,『おばかさん』を意味する方言『阿房(アータイ)』を禅僧が伝え,日本語読みで『あはう』となり『あほう』になったとする説がある。ただしこの説も文献上に出てくるものではなく,この方言によって『阿房』という漢字が充てられたとも考えられ,阿呆の正確な語源は未詳である。また,あほうを,『アホ』や『あほ』と,『う』を省略するようになったのは近世以降のことである。」

とあるが,「あほ」の語源については,「アホ・バカ分布図」に関連して,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/420036187.html

で,触れた。そこで,「あほ(う)」である。語源には,他にも,

五山の禅僧が阿呆(アータイ)の漢語をアハウと読んだという説
関西方言の「アア,ホウカ」の音韻変化した説,応答が「アア,ホウカ(ケ)」としか言えないことを揶揄している。
始皇帝の阿房宮(項羽に妬かれたが,あきれたほど馬鹿でかく全焼するのに三か月かかった)説。

等々があるようだが,はっきりしていない。ただ,『大言海』は,

「元来,あわう,若しくは,あばうなるべし。あわは,狼狽(あわ)つの語幹(狼狽(あわ)を食ふ)あわ坊の約。小狼狽(あわて)を擬人化したる語。とちめんぼう,同趣なり。新竹斎物語に『くだらぬ理窟,あわう口』,続松の葉に『恥を知らぬは,あほう坊』,またあわわの三太郎などもあり,但馬にて,あはあ,駿河にて,あっぱあと云ふ。あわて者は,まぬけ者なり。常に阿房と書くは,秦の始皇帝の阿房宮を,当字にするなり。あほは,約(つづめ)て云ふなり(山椒(さんしょお)をさんしょ,愛相(あいそう)をあいそがつきる)。」

と書き,さすがにその見識を示している。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E5%91%86

によると,「阿呆(あほう、あほ)」は,

「日本語で愚かであることを指摘する罵倒語、侮蔑語、俗語。近畿地方を中心とした地域でみられる表現で、関東地方などの『馬鹿』、愛知県などの『タワケ』に相当する。」

とある。また,「をこ」についても,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/419978918.html

で触れた。

「あほ(う)」は,阿房とも当てるが,阿呆とも当てる。「阿」の字は,

阿兄(アケイ),
阿母(アボ),

等々と,親しみの気持ちを表して人を呼ぶ言葉につく接頭語。

「魏・晋からのち,多く使用された。もと,江南地方の方言」

とある。「呆」の字は,

「子(こども)+∪印(おむつ)」

で,

「幼児をおむつで包んだ姿。何も知らない幼児と同様にぼんやりしている者の意に転じる褓(おむつ)の原字。」

とある。「房」の字は,

「『方』とは,両側に柄の張り出た犂を描いた象形文字。『房』は,『戸(いえ)+音符方』で,おもやの両側に張り出た小部屋のこと。」

とある。そう考えると,「阿房」の当て字は,阿房宮になぞらえてこじつけで,どうせ当てるなら,

阿呆,

がふさわしく,そこには,

「ばかの大足,小足のあほう,ちょうどいい加減がくそだわけ」

というときの,ばかに比べると,どこか,親しみがこもっているように思える(関西圏では違うらしいが)。

参考文献;
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)



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