2016年01月18日

小説


小説というのは,

「英: fiction(総称)、novel(長編)、story(短編)、仏: roman(長編)、nouvelle(中編)、conte(短編))とは、文学の形式の一つである。小説とは、散文で作成された虚構の物語として定義される。 内容では、随筆、評論、伝記、史書などと対立するものであり、形式としては詩や戯曲と対立するものである。」

というのが定義だが,そもそも,「小説」という言葉が,日本語ではない。で,辞書(『広辞苑』)をみると,

「漢書(芸文志)『小説家者流,蓋出於稗官,街談巷語,道聴塗説者之所造也』」

とあって,

「市中の出来事や話題を記録したもの。稗史(はいし)」

とある。それを前提に,明治期,坪内逍遥が,

novel

の訳語として,当てた。稗史とは,

「昔、中国で稗官(はいかん)が民間から集めて記録した小説風の歴史書。また、正史に対して、民間の歴史書。転じて、作り物語。転じて,広く,小説。」

を言う。語源を見ると,こうある。

「中国の『稗史』からでたものです。『小(とるに足りぬ)+説(議論)』が語源です。市井の出来事や話題を,書き記したものです。」

ウィキペディアは,

「小説という言葉は、君主が国家や政治に対する志を書いた大説や、君主の命などを受けて編纂された国史に分類される伝統的な物語や説話に対して、個人が持つ哲学的概念や人生観などの主張を、一般大衆により具体的に分かりやすく表現して示す、小編の言説という意味を持たされて、坪内逍遙らによって作られて定着していったものとも言われている。」

と要領よくまとめている。そのせいか,『大言海』には,「小説」は載らない。

日本語では,

物語
咄(囃)

という言葉があったが,両者の違いを,近世の俳人高田幸佐は,例話を挙げて区別しているそうだ。

「首を斬られた盗人が自分の首を懐に入れて逃げ去った話」

は,「世に噂にもまことしからぬ儀」は,「咄とこそいうなれ」と定義する。一方,

「朱雀院の御宇に起きた平将門の乱の折,将門の獄門首が歯がみをなして声をあげた怪異談」

は,「出書正しき物語」の典型としている。堤邦彦氏は,

「ここにいう『物語』とは,史実と認められる出来事や,原拠の明らかな故事をもとに創り出された話」

を指す。従って,

「それらは時・人・所を明示しえる内容でなければならない」

ということになる。逆に言うと,それを明示して見せることで,「噂」ではないかのごとく見せることができる。

辞書(『広辞苑』)に,「物語」を,

「作者の見聞または想像を基礎とし,人物・事件について叙述した散文の文学作品。狭義には平安時代から室町時代までのものをいう。大別して伝奇物語・写実物語または歌物語・歴史物語・説話物語・軍記物語・擬古物語などの種類があり,『日記』と称するものの中にはこれと区別しがたいものもある。」

と,説明する。「物語」は,

「モノガタル(世間話をする)の名詞化」

が語源とされ,語り伝えたこと,世間話,を言うとある。要は,

「特定の事柄の一部始終を語ること、あるいは古くから語り伝えられた話をすること」

ということになる。あくまで,事実らしさ,という現実のへその緒抜きでは,噺も物語も受け入れられなかったのかもしれない。

それが,仮名草子や浮世草子等々に繋がり,江戸の戯作へと,「物語」自体が,独立した世界として成立していく鍵は,なんだったのだろう,と想像する。

怪異譚

が,

怪奇物語,

になっていくのは,その世界自体を,楽しむ精神が必要だ。

怪談噺の名手,三遊亭円朝は,

「幽霊など神経病による妄想に過ぎない」

と,自嘲しつつ,怪談を語り続けた姿勢は,江戸文化の残照を固守した,

「戯作者魂の発露」(堤邦彦)

というところに,物語のもつ力を,確信するマインドを見る。自分がそれを怖れている人には,それは,現実の話なのであって,物語にはならない。

小説は,原義は,稗史であったが,いまや,この言葉は,

別の視界を開いている,

つまり,現実とのへその緒を断って,小説は,ノベルになっている,ということだろう。

参考文献;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E8%AA%AC
堤邦彦『江戸の怪異譚―地下水脈の系譜』(ぺりかん社)



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