2016年01月25日

つる


つるは,



のことだが,和語で「つる」というのと「鶴」とは,同じなのだろうか。

落語に「つる」という噺がある。八五郎が,ご隠居に「鶴の謂れ」を聞く。

「昔は『首長鳥(くびながどり)』と呼んでいたが,鶴と言われるようになったのは,鶴が唐土(もろこし)から飛んで来た際、『雄が「つー」っと』、『雌が「るー」っと」飛んで来たために『つる』という名前になったと教えられる。それを外で吹聴しようとしたが,、『雄が「つるー」っと』と言ってしまったために困り果てる。 一旦ご隠居のところへ戻って再び教えてもらうが, 今度は『雄が「つー」っと来て「る」と止まった』と言ってしまったため、苦し紛れに『雌は黙って飛んで来た』と言う。」

まあ,これは根多だが,「つる」の語源は,

「連ル」

とされる。「連れだって飛来する鳥の意」で,鶴の古名は「タヅ」だが,これも,連れの意,とし,

「蔓を語源とし,蔓のように伸びた首だという説もありますが,疑問」

とする。『古語辞典』には,

「万葉集には,助動詞ツルという箇所に『鶴』の字を宛てた例があるから,当時ツルという語はあったと思われるが,歌の中ではすべてタヅと詠んで,ツルと詠んだ例はない。タヅが歌語であったからだとされている。古今集以後は,歌の中にもツルを用いるが,やはりタヅの方がずっと多く使われている。朝鮮語(turumi 鶴)と同源。」

とある。因みに,「タヅ」は,

田鶴,
とも
鶴,

とも,当てる。しかし『大言海』には,

「声を以て名とす。古今集注(顯昭)に,鶯,郭公,雁,鶴は我名をなくなりとあり。朝鮮語つり」

とあり,語源は鳴声らしい,と分かる。ここでも,「つる」という呼び名は,朝鮮語由来で,本来の和語は,

たづ,

らしいと推測できる。『大言海』は,やはり,

「鳴く声かと云ふ」

とする。朝鮮では,「つる」と聞こえ,われわれには,「たづ」と聞こえたということか。

「歌詞に多く用ゐらる。ツルよりは,古き語なるが如し。又,古へには,鵠(くくひ)をも,鶴(おほとり)をも云へり」

とある。辞書(『広辞苑』)にも,

「鳴声を写したもの」

とあるので,語源は,どうやら鳴声だが,

ツル
とも
タヅ

とも聞こえる,ものらしい,と思えるが,念のため,



の語源を調べると,

「ツ(連・銃)+ル」

で,二説あるらしい。

ひとつは,「他の植物に巻きつくもの(連ル)

いまひとつは,「長く連なったひとまとまりのもの(銃ル)

である。しかし,この語源説でいけば,「蔓」も「鶴」も,

「連ル」

で,同源となる。『大言海』は,「蔓」について,

「古言,ツラの転,連の意,朝鮮語つる」

とある。『古語辞典』は,

「ツラ(弦・蔓・列)・ツリ(釣)・ツレ(連)と同根」

とある。鳴声節よりは,「連ル」の方が,言葉的な意味がある気がする。

http://www.nihonjiten.com/data/45825.html

には,

「鶴。鳴声に由来する説、群れて飛ぶ様子から『連(ツラ)なる』からとする説、朝鮮語で鶴を指す『ツルミ』から転じた説、首が長いことから『ツツラ(蔓)』が転じた説などがある。なお、連なる様から『蔓』と『鶴』は同語源ともされる。漢字表記『鶴』の音符「隺(カク)」は、高く至るの意で、鶴が天まで至るように高く飛ぶ様を表したとされる。」

とある。で「鶴」の字を調べると,

「隺(カク)は,鳥が高く飛ぶこと,ツルそれを音符とし,鳥を加えた字。確(堅くて白い石)と同系なので,むしろ白い鳥と解するのがよろしい」

とある。そうしてみると,中国人の見る「鶴」と,朝鮮人の見る「つる」と,古代の和人の見る「タヅ」は,同じだったのだろうか。

因みに,「蔓」の字は,

「艸+音符曼(おおいかぶさってのびる)」

「弦」の字は,

「玄は,『幺+‐印』で,幺(細い糸)の先端がわずかに一線の上にのぞいて,よくみえないさまで,糸の細いこと。弦は,『弓+音符玄』で,弓の細いいと。のちに楽器につけた細いいとは,絃とも書いた。

「釣」の字は,

「『金+音符勺(液体のなかの一部を高く取り上げる)』で,水の中の魚を金ばりでつって,高く水面上に抜き出すこと」

とある。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)


ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm



posted by Toshi at 05:37| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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