2016年03月07日

文身


文身は,よく,

ほりもの,

とルビを振る場合があるが,辞書(『広辞苑』)によると,

「(『文』は模様の意)身体にほりものをすること,また,そのもの,入墨」

とある。入墨は,他に,

紋身(もんしん)
倶利迦羅紋々(くりからもんもん)
紋々(もんもん)
彫り物(ほりもの)
刺青(いれずみ)
タトゥー

等々と呼ばれる。

確か,『魏志倭人伝』に,

「皆黥面文身」

とあり,男子はみな顔や体に入れ墨し、墨や朱や丹を塗っていた,とされる。

「黥面文身」は,

http://www.geocities.jp/ydna_d2/geimenbunshin.html

に詳しいが,

「『アイスマン』や、世界中で発掘される古代人のミイラからはほぼ例外無く、『刺青』が彫られている」

らしく,倭人伝に,

「夏の王の少康の子が、會稽に封ぜられた時、断髪して入墨をし、蛟(みずち)の害を避けたという。今、倭の漁師も好んで水にもぐって魚や蛤を捕り、身体に入墨をして大魚や水禽を避けていたが、後には飾りになった。」

とあるように,多く

「大魚(サメ)や水禽(ウミヘビ)からの被害を避ける為」

という,一種魔よけというか,まじない,のようなものだが,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/421311554.html

で,「くりからもんもん」について書いたが,男伊達を競う意図と同時に,そこには,

「(梵語krkara黒龍と訳すと云う)岩の上に立てたる剱を,黒龍の,巻きめぐりて,其の切先を呑まんとし,其の背に,火焔の燃えあがる象を図したるもの。剱は不動明王の三摩耶形(さんまやぎょう)にて,右手に持てる降魔の剱,龍は,左手に持てる縛の索(なわ)にて,龍の剱を巻くは,即ち不動の化身の像なりと云う。勇肌の火消,鳶の者などの,その背に,此図を文身(ほりもの)にしたるを,倶利伽羅もんもんと云う。燃え燃えを火焔の勢いに因みて,勇ましくはねて云うなるべし」

と『大言海』で,「倶利伽羅」を説明するように,勇肌の火消,鳶の者にとってのまじない,験担ぎの要素があったに違いない気がする。

文身について,『大言海』は,

「身をもどろくること。身體にほりものをなすこと。いれずみ。ほりもの」

とある。「もどろくる」というのは聞きなれないが,

班・文・紊

の字を当て,

「斑になす,また,身に箚青(ほりもの)をす」

という意味とする。「箚青」とは,「青を箚(さ)す」,まさにに入墨である。『大言海』は,つづいて,

「後漢書,又は三国志に,本朝の伝に,文身被髪の事を記せり,文身は後にも搢紳家に残り,被髪は宮女に残れり」

と付記する。因みに,搢紳(しんしん)家とは,

「《笏(しゃく)を紳(おおおび)に搢(はさ)む意から》官位が高く、身分のある人。」

を意味し,搢紳は,

縉紳,

とも当てる。被髪は,

「髪を結わないで、ばらばらに乱していること。」

とある。浅学にして,わからないが,被髪はわかるが,「文身は後にも搢紳家に残」ったというのは,どういうことなのだろう。

総じて,入墨となるが,どうも,入墨というと,

「古代から中国に存在した五刑のひとつである墨(ぼく)・黥(げい)と呼ばれた刑罰にまで遡るとされる」

など,どうも刑罰の含意が出るが,

文身,

と書くのと,

入墨,

と書くのとでは,由来が違うのではないか,という気がしてならない。倭人伝では,

入れ墨の位置や大小によって社会的身分の差を表示していた,

とされるし,

「2,500年前のアルタイ王女のミイラは、腕の皮膚に施された入れ墨」

があったとされる。「文身は後にも搢紳家に残」ったというのはこのことを指すのかもしれない。

「文」の字は,象形文字で,

「もと,土器につけた縄文のもようのひとこまを描いたもので,こまごまとかざりたてた模様のこと。のち,模様式に描いた文字や生活のかざりである文化の意となる」

とある。「もじ」の意だが,

「象形文字や指事文字のように,事物や模様のように描いたもじのこと」

である,ともある,だから,模様の意でもある。「あや」と訓むわけである。論語に

「小人の過つときは必ず文(かざ)る」

とある。

参考文献;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A5%E3%82%8C%E5%A2%A8
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)



ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

posted by Toshi at 05:09| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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