2016年03月12日

地球外生命


自然科学研究機構編『地球外生命 9の論点』を読む。

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本書は,

自然科学研究機構の連続シンポジウム「宇宙に仲間はいるのか」の第一回目(2010年),

をベースに,地球外生命について,それぞれの立場から,9人の研究者が発言したが,それをもとに,「最新の成果も取り入れて」一冊の本にまとめたものである。内容は,

第Ⅰ部 地球外生命が射るとしたらそれはどのような生物か
 論点1 極限生物に見る地球外生命の可能性(長沼毅)
 論点2 光合成に見る地球の生命の絶妙さ(皆川淳)
第Ⅱ部 正命が誕生し,反映するには何が必要なのか
論点3 RNAワールド仮説が意味するもの(菅裕明)
論点4 正命は意外に簡単に誕生した(山岸明彦)
 論点5 共生なくしてわれわれはなかった
第Ⅲ部 宇宙には生命誕生の条件はどれだけあるか
 論点6 正命の材料は宇宙から来たのか(小林憲正)
論点7 世界初の星間アミノ酸検出への課題(大石雅寿)
第Ⅳ部 宇宙空間に生命を探す
論点8 太陽系内に生命の可能性を探す(佐々木晶)
論点9 宇宙には「地球」がたくさんある(田村元秀)

それに,

序論 「科学」になった地球外生命

を佐藤勝彦(自然科学研究機構長)東大名誉教授,

総説 いまわれわれはどのような地点にいるのか

を,立花隆が,まとめている。このタイトルを見ただけで,心がわくわく踊る。

序論の「科学になった」というのは,二人の先人の考え方から端を発している。ひとりは,アメリカの物理学者,フェルミ。彼の,

フェルミ推定,

によって,「知的生命体は必ず存在し,すでに何度も地球を訪れているはず」と,推定した。しかし,地球外生命体が存在する可能性の高さと一度もそれに遭遇していない事実とのギャップ,

フェルミのパラドックス,

に対する,科学者の答の出し方は,

①地球外生命体は既に地球に来ている(UFO伝説や人間わざと思えない古代遺跡等),
②地球外生命体はまだ地球に訪問できていない(星間距離,平均恒星間約3光年は克服できていない)
③地球外生命体は存在しない,

の三つ,と佐藤勝彦氏はまとめる。もう一人の科学者は,天文学者ドレイク。ドレイクは,

「直径26mの電波望遠鏡で,地球から約10光年離れたくじら座のタウ星とエリダヌス座のイプシロン星に向け,知的生命体が発信する電波信号をキャッチしようとのべ400時間に及ぶ観察を試みた。」

その,「地球外生命体からの通信探査」は,SETI(Search for Extra terrestrial Intelligence)と名づけられ,ドレイクは,フェルミ推定から導き出した,

ドレイクの方程式,

を発表する。それは,

銀河系のなかで,地球外知的生命体による文明がどれだけあるか,を概算する公式である。佐藤氏は,

(公式の中にある)「問題はLです。」

Lは,高度な文明が存続する時間の長さ,である。電波通信技術を手にして,100年しかたっていない。そしてこの文明がどれだけ続くものか。立花氏は,前国立天文台長の海部宣男氏の発言を引用している。文明の寿命を一万年とすると,

「銀貨系内の文明の数は約1000個という答えが出ます。そこで,銀河系内に1000個の文明が均等にばらまかれているとします。すると,文明どうしの平均距離は1000光年となります。1000光年を光で通信するには,1000年かかります。どんなに文明が進んだとしても,1000光年という距離は,それを越えてであえるかどうかという点で非常にむずかしい問題です。」

と。だから佐藤氏は,

「このことは,我々人類の生き方にも関係してきます。つまり,知的生命体に出会いたいと思ったら,まずわれわれ自身が簡単に滅びないことです。」

と,意味深い発言をされている。さて,

地球外生命,

といっても,

そもそも生命とは何か,
その発生の仕組みは何か,
その発生条件は何か,

がわかっていなくては探しようはない。生命の定義は,

代謝,
自己複製,
外界との境界,
進化,

と定義されている。しかも,生命が存在するに必要な,

水が存在すること,

が必要である。

「惑星に水が存在するには,恒星から遠すぎて表面温度が低くなり過ぎない,逆に近すぎて表面温度が髙くなりすぎない」

という条件が必要になる。そういう生命の生存可能な領域を,

ハビタブルゾーン,

という。まさに,地球がそのど真ん中にある。その太陽系外惑星の数は,

2000個

を越えて,どんどん見つかっている。しかし,立花氏は,

「われわれがみれまでできたことは,きわめてプリミティブな方法(ドップラー法,トランジット法など)で,惑星がそこにあるということを発見したことだけで,バイオマーカーや文明マーカーの有無を云々できるようなレベルの解像度がある観測方法をもっていないのはもちろん,そのようなマーカーとして何があるかを議論するに十分な予備知識も持っていないのである。」

とまとめる。今やっているのは,関節観測であり,直截観測ができる望遠鏡の飛躍的解像度のアップには,まだ十年はかかる,と。

生命誕生については,地球自体に探そうとする,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/420205932.html

と地球外に探そうとする,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/423899201.html

とがあり,

地球外生命体については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/393613062.html

で(この著者の長沼毅氏は,本書の論点の著者でもある),太陽系外惑星探索については,
http://ppnetwork.seesaa.net/article/388163034.html

で,それぞれ触れた。


参考文献;
自然科学研究機構編『地球外生命 9の論点』 (講談社・ブルーバックス)



ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

posted by Toshi at 05:17| Comment(0) | 書評 | 更新情報をチェックする
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