2016年04月10日

荒唐無稽


荒唐無稽は,辞書(『広辞苑』)には,

言説や考えが,とりとめなく,根拠のないこと,でたらめ,

とある。因みに,「とりとめ」は,

取り留め,

とあて,

「おさえとどめる」

意で,「とりとめがない」とは,

「押さえどころのない話」

ということになる。荒唐無稽は,『語源辞典』によると,中国語で,

「荒(むなしい・うそ)+唐(大言・とりとめなし)+無稽(証拠なし・でたらめ)」

とある。

『故事ことわざ辞典』

http://kotowaza-allguide.com/ko/koutoumukei.html

には,

「『荒唐之言』と『無稽の言』とが一緒になり出来たことばで、『荘子』には『荘周その風を聞きてこれを悦び、謬悠の説、荒唐の言、端崖の無きの辞を以てす(荘子はその説を学んで共鳴し、実情を伴わない広遠な説、判断できない根拠のない説、糸口がとらえられない言葉を使って述べた)』とある。また、『書経』には『無稽の言は聴くこと勿れ(根拠のない話には耳を傾けるべきではない)』とある。『無稽荒唐』ともいう。」

とある。

こういう場合,漢字で見てみるのがいい。「荒」の字は,

「亡(モウ・ボウ)の字は,ない,何も見えないの意。荒の(クサカンムリ艸の)下部の字(音コウ)は,何もみえないむなしい川,荒はそれを音符とし,艸を加えた字で,みのりの作物がなにもない,むなしい,の意」

とあり,「荒唐」で,中身がなくて,出鱈目という意味の用語らしい(「老来事業転荒唐 老来事業転タ荒唐ナリ」(蘇軾))。

「唐」の字は,会意文字で,

「『口+庚(ぴんとはる)』で,もと,口を張って大言すること。その原意は,『荒唐』という熟語に保存されたが,単独ではもっぱら国名に用いられる。『大きな国』の意を含めた国名である。」

とあり,「荒唐」(大言する)の熟語となっていることが知れる。「無」の字は,形声文字で,

「原字は,人が両手に飾りを以て舞うさまで,後の舞(ブ・ム)の原字。無は,『亡(ない)+音符舞の略体』。古典では,无(ブ・ム)の字で無を表すことが多く,いまの中国の簡体字でも无をもちいる。」

とある。「稽」の字は,

「もと『禾(作物)+音符耆(キ 長く貯える)』で,久しく留めおいた収穫物。のち計(あわせてはかる)に当て,次々と考えあわせること。」

とある。

大口をきくだけで,根拠のないほら話,

という意味になろうか。

大言壮語,

に近いと言えば近いか。敢えて言えば,荒唐無稽は,

ひとごと,

についてであり,大言壮語は,

わたくしごと,

ということになろうか,どちらも,根も葉もない,ほら話に過ぎないが,大言壮語が,

喇叭を吹く,

のに対して,荒唐無稽は,

絵空事,

を描く。しかしいずれも,

見かけ倒し,

で,

眉唾,

なのは同じかもしれない。因みに,「壮(壯)」の字は,

「爿(ショウ)は,寝台にする長い板を縦に描いた象形文字で,長い意を含む。壯は『士(おとこ)+音符爿』で,堂々とした背丈の長い男のこと。また堂々とした体格の伸びた意から,勇ましい意を派生する」

とある。ついでに,「言」の字は,会意文字で,

「『辛(切れ目をつける刃物)+口』で,口をふさいでもぐもぐいうことを音(オン)・諳(アン)といい,はっきりかどめをつけて発音することを言という。」

さらに,「語」の字は,

「吾(ゴ)は,『口+音符五(交差する)』からなり,AとBが交差して話し合うこと。のち,吾が我(われ)とともに一人称を表す代名詞に転用されたので,語がその原義を表すこととなった。」

とある。「大」の字は,象形文字で,

「人間が手足を広げて,大の字に立った姿を描いたもので,おおきくたっぷりとゆとりのある意。」

とある。その大きさはあくまで身の丈を指している。孔子ではないが,

「約を以て失(あやま)つもの鮮(すく)なし」

である。因みに,「約」の字は,会意文字。

「勺(シャク)は,一部を高く組み上げるさまで,杓(シャク ひしゃく)や酌(くみ上げる)の原字。約は『糸+勺(めだつようにとりあげる)』で,ひもを引き締めて結び,目立つようにした目印」

で,つづめる,とか,つづましい,という意味になるが,ここでは,

「控え目」

と,貝塚注にある。あるいは,

「不遜ならんよりは寧ろ固(いや)しかれ」

と,「固(いや)しい」よりもまし,とも。

参考文献;
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
貝塚茂樹訳注『論語』(中公文庫)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)


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posted by Toshi at 05:08| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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