2016年05月16日

曲尺


曲尺は,

かねじゃく,

と訓む。まあ,知っている人にとっては,常識かもしれないが,なぜ,「かね」なのか。「かね」を引くと,

矩,

と当てて,

かねじゃく,

の意味が載る。その他,

直線,直角,
基準となるもの,

の意味がある。「矩」の字は,「さしがね」の意味があるが,

「巨は,かぎ型の定規に取っ手のついたさまを描いた象形文字。矩は「矢(昔は,物の長さを矢で測った)+音符巨」で,かくどゃ長さを測るかぎ型の定規」

を意味する。因みに,「定規」と「物差し」は違うらしい。

「定規」は, 直線や曲線を引くときに用いる器具。三角定規・雲形定規・T 定規など,
「物差し」は,物の長さを測る道具,

ただ,、「定規」には, 「物事を判断するときの基準・尺度。ものさし」の意味があるが。

五寸法師.jpg


さて,「曲尺」を引くと,辞書(『広辞苑』)には,

矩尺,

とも当てるのである。でもって,「曲尺」は,

金尺,
大工金(だいくがね),
曲がり金,
差し金,
かねざし,
かね,
きょくしゃく,
指矩,
指金,
尺金,
指がね,
指しがね,
矩尺,
曲り差,

等々とも呼ばれている(『世界大百科事典 第2版』には,「古く中国では矩(く)といい,帯状の薄い金属板を直角に曲げた形に作ってあり,これに目盛をつけたものであり,かねざし,曲り尺ともいい,矩尺,鉄尺などとも書いた」とある)。

女媧.jpg

中国の伝説では、右の伏羲氏が指矩を持ち、左の女媧氏がコンパスを持っているとされている


『大言海』を見ると,「かねざし」は,

鐡差,

と当て,鐡尺とも当て,「まがりがね」を見よ,とある。「まがりがね」は,

曲尺,矩,

を当て,

「曲鐡の義,裁縫の尺(たかばかり 竹量)に対す」

として,「たかばかり」つまり竹で作った,裁縫用の物差しに対していったものらしい。で,

「元は,方形の板の周囲に刻みをつく。後に,二面を用ゐて,常の物差しに枝ががあるが如し,故に名があり」

とする。「曲尺」の他に,

鯨尺,
呉服尺,

等々,というのがあるらしい。「物差し」は,

「物+さし(あてる棒)」

から来ているが,「さし」は,

「サス(二つの間をサシワタス)の連用形名詞化」

である。物差しを意味する。『大言海』をみると,

「古語は,タカバカリ,略してサシ」

とある。さらに,

「曲尺の一尺二寸(今は一尺二寸五分)を,一尺とするを呉服尺(ごふくさしとも云ふ)と云ひ,専ら布帛を度るに用ゐる。又,曲尺の一尺二寸五分(或いは,一尺一寸七分三厘六毫)を一尺とするを,鯨尺(くじらざしとも云ふ)と云ふ。其の他高麗尺,念佛尺など種類多し」

とある。高麗尺というのは,「古への大宝令の大尺」といい,支那尺,唐尺を小尺,と訓んだらしい。『日本大百科全書(ニッポニカ)』には,

「用途によってよばれるものも多い。文(もん)尺は足袋(たび)の文(もん)数を計るもの、呉服尺は呉服用、酒造尺は酒の仕入れ桶(おけ)の中の酒の量を液面の位置を計って出すもの、溢引尺(あびきざし)も酒造尺の一種である。地面、布、電線などに沿ってローラーを回し、その回転数から長さや料金を出すものも、物差しの一種であるが、計量法ではこれらを回転尺とよんでいる。伊能忠敬(ただたか)が測量に用いた量程車や現在のタクシーメーターもこれに属する。」

とある。この「曲尺」も,

http://8ninriki.jp/archives/5825

によると,

「この差し金は中国で生まれたものらしく、日本に持ってきたのは聖徳太子とのこと。
聖徳太子は大工の守り神様とも言われ、私の住む地域の大工さんは、毎年2月に太子講といって聖徳太子のおまつりを今でも行っています。」
とある。

http://www.misyuku-suzuki-kanamonoten.com/sasiganekajisi2.html

には,

「奈良時代(710~794)には曲尺の文字がすでにあり、平安時代の899年に書かれた辞書『新撰字鏡』では、曲尺を(まがりかね)と読んでいます。中世時代になると、番匠が曲尺を使っている絵が描かれています。
この曲尺は、飛鳥時代(550~710)の始めに、仏教伝来と共にその寺院建築のために、朝鮮半島から渡来した工人たちが寸法を測る道具として持ち込まれました。このとき伝来した曲尺は、木製乃至竹製とも言われています。」

とある。こんなところだろうか。なお,

「曲尺は、古代中国の神話に出てくる最初の皇帝である伏羲(ふくぎ)が曲尺を持つ姿が描かれていたり、また紀元前6世紀の中国の春秋戦国時代に、工聖と呼ばれる伝説的な大工の魯班が作ったとも伝承があるように、大変古い歴史を持っています。」

と付記されている。日本の曲尺の最大の特徴は,

「裏目にあります。曲尺の長い方(長手)を持って、短い方(妻手)が左になる目盛が裏目です。この裏目に、角目と丸目があります。角目は、表の√2倍の目盛で、直角三角形の斜辺が計算しないで求められ、建物の隅を墨付けするのに大変役立ちます。
 この角目は、平安時代の末期に曲尺に記されたとの説や、隅を複雑に組み合わせる醍醐寺五重塔が建てられた平安時代の中期との説もありますが、角目の発明によって隅の屋根材の複雑な組み合わせを解決する方法である規矩(きく)術が、飛躍的に進歩しました。」

ということらしい。さて,曲尺は,昭和34年メートル法改正で尺貫法が禁止された折,危うく消える所を,永六輔らの活躍で,寸目盛の曲尺が残り,いまでもアマゾンなとで購入できる。たとえば,

五寸法師 5寸×2.5寸
三寸法師 3寸×1.5寸

と表示されている。この「法師」の意味が分からないのだが,勝手に想像するに,

一寸法師,

からの洒落なのだろうか。

参考文献;
http://8ninriki.jp/archives/5825
http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kokufu/math/kanejaku.html
http://www2u.biglobe.ne.jp/~tyouken/sumigi/sasigane.htm
http://www.misyuku-suzuki-kanamonoten.com/sasiganekajisi2.html



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