2016年05月31日


知覚の色については,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%89%B2

色名については,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%89%B2%E5%90%8D

に詳しい。「色」のうち,「あか」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/429360431.html

「あを」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/429309638.html

「しろ」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/438347414.html

「くろ」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/438380876.html

で,それぞれ触れた。そもそも「いろ」とは何か。『語源辞典』には,二つの説が載っている。

説1は,「ウルワシのウル」を語源とする。
「品目のイロ,顔色のイロ,いずれも古くから使われている語です。男女関係の情欲の色は中国語の影響かと思われます。」

節2は,「イロ(族)+わけ」で,階級により衣服の色が変わるのを語源とする。

『古語辞典』は,

「色彩,顔色の意。転じて,美しい色彩,その対象となる異性,女の容色。それに引き付けられる性質の意から色情,その対象となる異性,遊女,情人。また色彩の意から,心のつや,趣き,様子,兆しの色に使う。」

とする。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/i/iro.html

には,

「色の語源は、血の繋がりがあることを表す『いろ』で、兄を意味する『いろせ』、姉を意味 する『いろね』などの『いろ』である。 のちに、男女の交遊や女性の美しさを称える言葉となった。 さらに、美しいものの一般的名称となり、その美しさが色鮮やかさとなって、色彩そのものを表すようになった。」

との別説を記している。『大言海』は,

「うるは(麗)しのウルの轉なるべし。うつくし,いつくし,いちじるしい,いちじろし,」

と,「ウル」の転説をとる。なお,『大言海』は,この「いろ」の他に,

「いろ(色)」

を他に項を立て,

「白粉(しろきもの)の色の義。夫人の化粧を色香と云ふ。是なり」

として,「色を好む」「色を愛ず」の意味と,そこから転じた,「女を愛ずる情」「色好み」の意を載せて区別しているところが見識か。

漢字の「色」の字は,象形文字で,

「かがんだ女性と,かがんでその上に乗った男性とがからだをすりよせて性交するさまを描いたもの。セックスには容色が関係することから,顔や姿,彩などの意となる。また摺り寄せる意を含む」

とある。上記の『語源辞典』のいう「中国語の影響」というのは,漢字の語源から来ている。意味も,「男女間の情欲」から,顔かたち,外に現れた形や様子へとシフトし,いろどり,色彩へと転じている,ように見える。。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1286809697

では,

「色とは、人と巴の組み合わせです。巴は、卩であり、節から来ているといいます。卩・節には、割符の意味があり、心模様が顔に出るので、心と顔を割符に譬えて色という字になったと聞きました。顔色という言葉は、ここからきています。また、巴は、人が腹ばいになって寝ている所を表しそこに別の人が重なる形だとも言われます。つまり、性行為を表す文字です。卩は、跪くことにも通じているようです。いずれにしろ、性行為のことです。」

と,同趣の「色」の字の由来を載せている。いずれも,「性的意味」になるようだ。その上で,

「色は、性の意味で使われましたが、次第に女性の意味としても使われだし、やがて、美しい女性のことをも指すようになりました。最初は、カラーの意味はありませんでしたが、美しい様を色と言うようになり、それが転じて、色彩の意味を持つようになったようです。」

と付記している。なお,

色即是空

でいう「色」は,別系統で,

「『色』は、サンスクリット語ではルーパで、目に見えるもの、形づくられたものという意味で、それらは実体として存在せずに時々刻々と変化しているものであり、不変で実体はなく、すなわち『空』である。『空』は『無』や『虚無』ではなく、存在する宇宙のすべての物質や現象の根源には目には見えないが、エネルギーがあり、宇宙に存在するすべてのものはこのエネルギーが刻々形を変えているものである。すなわちエネルギーが『空』であり、『空』から生み出される形象が『色』と解釈される」

とある。

どうやら,ほんらい「いろ」は,語源はともかく,

色彩,

しか意味していなかった。しかし「色」の字を当てることで,色合い,彩りから,性愛の方へ意味の外延を広げていった。この場合,「色」のもつ含意によって,意味は広がったが,多少下卑たと言えるかもしれない。江戸時代は,『江戸語大辞典』をみると,

色事,

一辺倒になり,

色で逢う,
色で呼ぶ,
色に成る,
色に陥(はま)る,

等々,その類の成句が多い。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%89%B2%E5%8D%B3%E6%98%AF%E7%A9%BA


ホームページ;
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posted by Toshi at 04:49| Comment(0) | ことば | 更新情報をチェックする
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