2016年06月05日

七将


三池純正『大坂の陣 秀頼七将の実像』を読む。

秀頼七将の実像.jpg


取り上げている七将は,

真田信繁,
長宗我部盛親,
毛利勝永,
後藤基次,
明石全登(たけのり),
木村重成,
大野治房,

である。多分馴染みが一番薄いのは,大野治房かもしれない。大野治長は有名だろう。その実弟である。また,大坂城落城後,脱出し生き延びたことが確かなのも,治房のみである。

木村重成.JPG

木村重成像(東大阪市)


七将の中で,最も若く,この冬の陣が初陣なのが,木村重成である。夏の陣で,戦死したが,わずか二十二歳である。秀次事件に連座して父常陸介切腹したのが三歳の時,以後,母の宮内卿局とともに淀君に引き取られ,母は秀頼の乳母となり,重成自身秀頼の小姓として,秀頼とともに成長,慶長十年(1605)に秀頼が右大臣になるとともにね重成も,諸大夫長門守に任じられ,初陣ながら,冬の陣では,三千の兵を率いた。

基次の家臣,長沢九郎兵衛の『長沢聞書』には,

「秀頼公と木村長門守は同年にして乳兄弟」

とある。

冬の陣では,重野・今福の戦いで,佐竹義宣に柵を占領され,その応援に駆け付けた重成は,佐竹隊を押し戻して追撃,鴫野からの上杉景勝隊の援護で分断され,孤立した際,救援の後藤基次に,交替を申し出られ,

「初陣の今日,途中で戦場を引き渡しては何の面目がたちましょう。」

と,言い切ったと言われる。夏の陣では,若江で,井伊直孝隊と激突,終に討死する。もともと討死を覚悟で,髪に香を焚いておいたとされる重成は,唯一,家康の首実検が行われた武将だが,重成の首からも微かに項の香りがした,という。著者は,家康が,

「大阪にも,見事な心がけを持った武士がいたものか。重成は稀代の勇士である」

といったという言葉を伝える。

天王寺の戦いで,家康本陣に突入し,二度本陣を突き崩して,あと一歩まで迫った真田信繁については,有名だが,最後数名にまで追いつめられ,安居神社で,松平忠直の配下,西尾仁左衛門に打ち取られる。それについて,細川忠興は,

「信繁は負傷した上,疲労して倒れていたところを討たれただけで,何の自慢にもならない。」

と書き,島津家には,

「真田日本一の兵(つわもの),いにしへよりの物語にもこれなき由」

と絶賛されている,という。まさに,死して名を残す,である。

真田信繁.jpg

上田市立博物館所蔵


後藤又兵衛画像.jpg

後藤基次像(福岡市博物館蔵)


後藤又兵衛については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/438599575.html?1464982607

で触れた。

明石全登.jpg

太平記英勇伝五十三:明石儀太夫秀基(落合芳幾作)


明石全登は,キリシタンとして有名だが,宇喜多家のお家騒動直後,多くの家臣が去った後の宇喜多家を支え,関ヶ原では八千の大軍を率いて福島正則と対峙,小早川秀秋の秀家の裏切りで敗北した後,主君秀秋が戦場を離脱するまで敵兵を一身に受けて,踏みとどまり,秀家の離脱を見届けて,脱出した。

大坂入城に際しては,二千人のキリシタン武士とともに,七人の神父も大坂城に入ったとされる。夏の陣では,生国魂辺りから,精兵三百とともに押し出し,藤堂孝高虎隊を撃破,その後方の水野勝成隊,松平忠直隊を突き崩して,家康本陣に突入を試みるが,阻まれて,包囲を破って城東へ退いて行った,とされる。。諸説あるが,全登の行方は分からないままである。

毛利勝永は,関ヶ原で西軍につき,改易された。土佐の山内一豊に預けられたが,秀頼の要請を受けて,息子勝家ともども,密かに土佐を脱出,入城した。夏の陣では,真田信繁とともに,家康本陣に迫った。最後は,本丸に戻り,秀頼の介錯をし,嫡男勝家とともに,自刃する。

これら七将の中心にいるのは,豊臣秀頼である。秀頼については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/408642088.html

で触れた。家康は,豊臣家に大坂城から退城を促し続けた。

「少なくとも,秀頼の母淀殿や秀頼の側近大野治長らは,最後は家康の意向を汲み,大坂城を出ることで,豊臣家の存続を目指そうとしていた」

が,それを拒み,家康に挑んだについては,秀頼の強い意志が,一貫して貫いている。

秀頼.jpg

豊臣秀頼像(養源院蔵)


参考文献;
三池純正『大坂の陣 秀頼七将の実像』(歴史新書)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E9%87%8D%E6%88%90
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E7%9F%B3%E5%85%A8%E7%99%BB
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E8%97%A4%E5%9F%BA%E6%AC%A1
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E7%94%B0%E4%BF%A1%E7%B9%81
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B1%8A%E8%87%A3%E7%A7%80%E9%A0%BC


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posted by Toshi at 04:37| Comment(0) | 書評 | 更新情報をチェックする
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