2016年06月24日

斟酌


斟酌については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/439036891.html

で,忖度と慮ると斟酌との微妙な違いを触れたことがある。そこでは,

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1114717086

では,斟酌と忖度を,

「単純に相手の心情を推し量るのが忖度。推し量った上で、それを汲み取って何か処置をするのが斟酌」

と,整理していたのを参考に,慮るは,忖度と斟酌の中間,どうするか思案するプロセス,その結果,配慮(慮りを配る)となる。配慮と斟酌は重なりそうだ,結論とした。

今度は,「斟酌」から,確かめてみる。

「斟酌」の意味は,

「水又は飲料を汲み分ける意から」

と注記して,辞書(『広辞苑』)には,

あれこれ照らし合わせて取捨すること,参酌,
そのときの事情や対手の心情などをこうりょして,程よく取りはからうこと,
控え目にする,差し控える,遠慮,

という意味になる。「程よく取りはからう」とは,この場合,

手加減する,

というか,

鉛筆を舐める,
とか,
手心を加える,

ということになるので,「控え目にする」というのも,そう言う含意になる。『大言海』は,

「事の心を,くみわくること」

とする。忖度と違うのは,

「事の心をくみわくること」

ということだ。そのために,「心事をくみとる」ということになる。語源は,『広辞苑』の言う通り,

「中国語の『斟酌(水,飲料をくみ分ける)』」

で,『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/si/shinsyaku.html

は,

「斟酌の『斟』は分量を探りはかりながら汲むこと、『斟』は柄杓で汲み上げる意味で、斟酌 は酒や水の分量をはかってくみ分けることが原義。 そこから、ほどよく行うという意味や 、相手の意を汲んで行うといった意味になった。 さらに、言動を控え目にすることや,遠慮する意味にも転じた。」

とある。斟酌の同義語とされる,

参酌,

は,辞書(『広辞苑』)には,

照らし合わせて善を取り悪を棄てること,

とあり,『語源辞典』には,

「中国語の『参(てらしあわす)+酌(くむ)』が語源」

とあるので,斟酌に手心を加えるニュアンスに対して,同じくみ取るにしても,「参(參)」の字に,

「入り混じる」

という含意があり,手心というよりは,『大言海』の,

「参(まじ)へて斟酌すること,見はからふこと」

という意味で,何かを参照にしつつ,是非の判断をする,という意味が強くなり,手加減の色合いは薄められる気がする。確かに,

「単純に相手の心情を推し量るのが忖度。推し量った上で、それを汲み取って何か処置をするのが斟酌」

には違いないが,斟酌には,

事情や状況が加味される,

ということ(から勘案される)なのかもしれない。しかし,参酌となると,

参照すべきものに照らし合わせて,判断する,

という色が濃くなる。もっともタテマエ,としてそうしていることにする,というのはあるので,奥底では,斟酌が効いているのかもしれないが。参酌は,

鑑みる,

と重なるのだろう。辞書(『広辞苑』)には,

「カガミルの撥音化。転じて,明治時代の文語文に上二段活用カンガムもおこなわれた」

と注記して,

先例に照らして考える,他と比べ合わせて考える,

と載り,「照らし合わせて」が,

「先例踏襲」

の意味だと知れる。情状酌量するとすると,そう言う先例に倣う,という意味になる。『大言海』は,「かがみる」の項に,

「鏡(かかみ)を活用せしむ(蔭る,曇る,真似る,八重る),映(うつ)し見る意」

とあり,

「事を事に照らし合わせて考ふ。音便に,かんがみる」

と,正確に載る。「事を事に照らし合わせる」鑑みると,斟酌は重なる気がする。この照らし合わせる「事」が前例踏襲という意味では。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)

ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

posted by Toshi at 04:42| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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