2016年07月02日

えげつない


「えげつない」は,『広辞苑』には,

元関西方言,イゲチナイ・イゲツナイの転」

として,

人情味や同情心に欠けている,
あくどい,露骨でいやらしい,

という意味を載せる。語源としては,『大辞林』も同じ説を取っている。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1210102502

も,

「近世の、主に上方で使われていた『いげちなし』が後に『えげつない』に転じたという説があります。『いげちなし』は漢字で書くと『意気地無し』です。しかし、この『意気地無し』は現在の『いくじなし』とは意味が違います。『いげちなし』の意味は、
1、いたわしい、かわいそうだ。
2、情けない。
3、貪欲だ、厚かましい。
このうち3の意味の『いげちなし』が『いげつない』『えげつない』と転じたものです。つまり『えげつない』で一つの単語です。『きたない』と同じです。」

確かに,『古語辞典』には,

いげちなし,

として,

意気地無し,

と当て,「近世上方でいう語」として,

いたわしい,かわいそうだ,
情けない,むごい,むごたらしい,
どん欲だ,厚かましい,

という意味が載る。『古語辞典』を見る限り,「いちげなし」の意味の過半は,

えげつない,

に重なる。『江戸語大辞典』には,「いちげなし」は載らず,

いくじなし(意気地無し),

が,

甲斐性なし,ふがいなし,

の意味を載せる。「意気地(いくじ・いきじ)」自体が,気概とか気力という意味で,それがない,というだけの意味でしかない。

http://yuraika.com/egetsunai/

は,残酷という意味でも江戸時代使われた,

えぐい,えごい,

を語源とする説,

いかつい,

から派生したとする説を載せている。なお,「えぐい」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/439546716.html

で触れた。

『語源辞典』は,二つの説を載せる。ひとつは,

「『厳ついの変化』です。イカツナイ→エカツナイ→エゲツナイ→イケツナイ→イゲチナイ。ナイはいずれも,『甚だしい』の意味です。牧村説。あくどくていやらしい無遠慮である。薄情だ,金銭に汚い,どん欲だ,濃厚すぎる味,低劣だ,など多角的な意を表します。」

いまひとつは,

「『エグイ+ナイ(甚だしい)』→エグッケナイ→エゲツナイ,西垣幸夫氏の語源説で,傾聴すべき説。」

とする。「いげちない」は「いかつい」から派生したとするなら,

えぐい,

か,

いかつい,

の二説に集約できるようだ。「えぐい」は,すでに,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/439546716.html

で触れたので,「いかつい」を調べておく。語源は,

「イカツ(厳)+イ(形容詞化)」

で,

ごつごつしていかめしく頑丈,

という意味になる。『大言海』は,「厳つい」を,

厳強いの略,

としているが,いずれにしても,これだけだと,「えげつない」につながらないが,『古語辞典』には,

厳つ,

の,「いかめしい」という言葉の関連で,

厳つがましい,

という形容詞化表現を載せ,

傲慢である,
居丈高である,

という意味を載せる。これだと,近づいていなくもない。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)



ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

posted by Toshi at 04:48| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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