2016年08月04日

呂律


呂律は,

ろれつ,
とも
りょりつ,

とも訓み,また,

律呂(りつりょ)

とも言う。

「呂律(ろれつ)が回らない」で言う,

ろれつ,

である。「呂律が回らない」は,

「酒に酔いなどして言語がはっきりしないさまにいう」

と,『広辞苑』にはある。「呂律」は,

「(リョリツの転)ことばの調子。物を言うときの調子」

とあり,「リョリツ(呂律)」には,

「呂の音と律の音,転じて音階」

とあり,「律呂(りつりょ)」には,

律の音,呂の音,すなわち楽律,
律旋と呂旋,すなわち施法,

とある。つまりは,具体的な呂の音,律の音という音階を言っていたものが,

音階一般,

に転じ,さらに,「ろれつ」と転じて,

ことばの調子,言い方,

にまで変じた,ということらしい。『世界大百科事典』には,「律呂」について,

「中国や日本の音楽用語。呂律(りよりつ)ともいう。本来の字義は,陽陰,天地,甲乙のように,なんらかの集合を二つに分けた場合の名称で,律が標準的なもの,呂がそれに対するものという用い方もあるが,律,呂それぞれに特定の概念があるわけではない。中国では古来音律の意味で律呂の字を用いる(蔡元定《律呂新書》など)。この音律は楽律ともいい,音組織上の音高に関する規定をもさす。〈十二律呂〉という場合は,十二律を六つずつに分けたものをいい,奇数番目の6音律を律,偶数番目の6音律を呂という。」

とあり,どうやら,音階を陰陽になぞらえて,律と呂と区分した,という発想らしい。『語源辞典』をみると,

「中国語で,『ロ(雅楽呂調)+レツ(雅楽律調)』」

とある。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ro/roretsu.html

には,

「『呂律』は,もともと中国から伝わった雅楽の言葉『りょりつ』。『りょりつ』は『言葉の調子』を意味し,『呂(りょ)』と『律(りつ)』という音階が合わないことを,『呂律が回らない』と言ったことから,一般にも広まり,『言葉がはっきりしないこと』を意味するようになった。江戸前期の『男重宝記』には『ろれつがまはらぬは,呂律也』とある。」

とある。これだとよくわからない。むしろ,

http://o-gagaku.com/jiten/onritu.html

で,

「洋楽の長音階、短音階に当たるものです。『呂旋(りょせん)』は長音階、『律旋(りつせん)』は短音階に相当します。唐楽(中国経由で伝わった楽曲)の六調子のうち、『壱越調(いちこつちょう)』『双調(そうじょう)』『太食調(たいしきちょう)』は呂旋、『平調(ひょうじょう)』『黄鐘調(おうしきちょう)』『盤渉調(ばんしきちょう)』は律旋に属します。
 これは蛇足ですが、『ろれつが回らない』という慣用句は、呂と律を吹き分けられない様を指していたのが、転じて現在の意味に用いられるようになったといわれています。」

という説明が,回らない「呂律」の意味を的確に説明してくれている。

念のため,「呂」と「律」の音階,「律旋」と「呂旋」とはどういうものか。『広辞苑』で見ると,「呂旋(りょせん)」は,

「日本の雅楽・声明(しょうみょう)の七音音階の一。下から,宮(きゅう)・商(しょう)・呂角(りょかく)・律角(りつかく)・徴(ち)・羽(う)・律嬰羽(りつえいう)と呼ばれ,洋楽のソラシドレミファに当たる。雅楽の壱越調(いちこつちょう)・双調(そうじょう)・太食調(たいしきちょう)がこれに当たる。」

「律旋」は,

「日本の雅楽・声明(しょうみょう)の七音音階の一。下から,宮(きゅう)・商(しょう)・嬰商(えいしょう)・角(かく)・徴(ち)・羽(う)・嬰羽(えいう)と呼ばれ,洋楽のレミファソラシドに当たる。雅楽の平調(ひょうじょう)・黄鐘調(おうしきちょう)・盤渉調(ばんしきちょう)がこれに相当する。」

とある。ただ,『世界大百科事典』の「旋法」をみると,

「旋法という語は日本の伝統音楽にはなく,明治になって作られたが,雅楽の律と呂ないし半律半呂の関係を律旋(法),呂旋(法)として区別した。これは三分損益の法によって得られた五声(5音音階)を基本音階とし,その第1度(宮)に主音をおく場合を呂旋,第5度(徴)におく場合を律旋としている。」

と,日本語文法と同じく,西洋音楽の思想に合わせて整えた,という類らしい。詳しくは,

http://o-gagaku.com/jiten/onritu.html
http://sky.geocities.jp/stokoji2ooo/gakuri/gakuri.html
http://www.d2.dion.ne.jp/~kaz/gagaku/word/word4.htm

等々に譲るほかない。因みに,「君が代」は,

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1347906033

によると,

「壱越調(いちこつちょう)」

だそうである。雅楽の

呂旋,『壱越調(いちこつちょう)』『双調(そうじょう)』『太食調(たいしきちょう)』,
律旋,『平調(ひょうじょう)』『黄鐘調(おうしきちょう)』『盤渉調(ばんしきちょう)』,

の,呂旋に分類される。

「壱越調を西洋音楽の音階に準じると、構成音は『レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・シ・ド』ということなので、音程関係が教会旋法の「D ミクソリディアン」(ミクソリディアンの主音をDに移調したもの)と同じになります。これは第3音ファ♯が主音レの長三度になるので、長調(長音階)となります。この第三音がファだと主音レの短三度になるので、短調(短音階)になります。ちなみにこの短音階の場合、教会旋法では『D ドリアン』と言います。しかし、六調子にはDドリアンに相当する旋法は無いようです。呂旋は皆ミクソリディアンと同じですが、主音の3種は『レ・ミ・ソ』、律旋は皆ドリアンと同じですが、主音の3種は『ミ・ラ・し』です。」

とある。音楽に疎いので,この程度で。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
http://o-gagaku.com/jiten/onritu.html
http://sky.geocities.jp/stokoji2ooo/gakuri/gakuri.html
http://www.d2.dion.ne.jp/~kaz/gagaku/word/word4.htm
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Toys/8804/onkai.html


ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
【関連する記事】
posted by Toshi at 04:37| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください