2016年08月07日

青天


「青天」とは,

青天の霹靂,

青天白日,

の「青天」で,辞書(『広辞苑』)には,

晴れ渡った青空,蒼天(そうてん),晴天,

と意味が載る。しかし,「青天」と「蒼天」とは微妙に違う。「蒼天」は,

青空,大空,蒼空,
春の空,
天の造物主。天帝。上帝,

といった意味があり,確かに,「青空」には違いないが,そこに別のメタファが込められている。因みに,

青天,

晴天,

は,

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q118362091

に,

「晴天は晴れた空で多少の雲が有ってもかまわないでしょう。
青天は晴れ渡った青い空の意味で雲は見えない空のことでしょう。」

とあり,気象学的には,

「快晴と晴れと曇りの違いは空を占める雲の割合で決まります。」

とある。『広辞苑』は,「古くはセイデンとも」として,

晴れ渡った空,
天気の良いこと,

とある。『大言海』は,「晴天」は,

「雨天,曇天に対す」

とある。そういういみの「晴れ」である。漢字から見ると,「青」と「蒼」の差は,「靑」は,

「『生(あおい草の芽生え)+丼(井戸の中に清水のたまったさま)』で,生(セイ)・丼(セイ)のどちらかを音符とかんがえてもよい。あお草や清水のようなすみきったあお空」

で,「蒼」は,

「『艸+音符倉』で,倉(納屋)に取り残された牧草(または新穀)の色」

で,「蒼」は,

「干した青草のような色,くすんだあお色」

になる。因みに,「碧」は,

「『玉+石+音符白(ほのじろい)』。石英のようなほの白さが阿国ひそむあお色。サファイア色」

であるらしい。「紺碧」と使うと,

やや黒味を佩びた青色,

となるらしい。やはり,「青天」でないと,「霹靂」とはならない,か。

「青天の霹靂」とは,

(青天ににわかに起こる雷の意)突然起きる変動,急に生じた大事,

という意味で,陸游(りくゆう)の,

「九月四日鶏未鳴起作」

に,

「青天に霹靂を飛ばす」

とあるのが出典らしい。『語源由来辞典』に,

http://gogen-allguide.com/se/seitennohekireki.html

「『青天の霹靂』の『青天』は雲ひとつない澄んだ青空,『霹靂』は突然雷が鳴ること。青天の霹靂の由来は,中国南宋の詩人,陸游(りくゆう)が『九月四日鶏未鳴起作』の中で,『青天,霹靂を飛ばす』と表現したことによる。『青天,霹靂を飛ばす』は,病床に伏していた陸游が突然起き上がり,筆を走らせた勢いを雷に喩えたもので,本来は筆の勢いを表した言葉であった。」

とあるのが正確な謂れである。

http://melma.com/backnumber_43686_4338744/

に,陸游「四日夜鶏未鳴起作」が載っている。

放翁病過秋 忽起作酔墨
正如久蟄龍 青天飛霹靂
雖云堕怪奇 要勝常憫黙
一朝此翁死 千金求不得

放翁(ほうおう)病(や)みて秋を過ぎ
忽ち起きて酔墨(すいぼく)を作(な)す
正に久しく蟄(かく)るる龍の如く
青天に霹靂を飛ばす
怪奇に堕すと云うと雖も
要は常の憫黙(びんもく)に勝(た)えたり
一朝此の翁(おきな)死すれば
千金求むるも得ず

たしかに,『語源由来辞典』の説くとおりである。放翁とは,陸游の号。陸游の背景は,

http://melma.com/backnumber_43686_4338744/

に詳しい。

「『放翁』とは『放埒な振る舞いをする翁」の意です。世間の人々が陸游を放埒だと誹(そし)るのを逆手(さかて)にとり、諧謔を込めて、五十二歳の年から自らそのように名乗った』」

とある。なかなかのへそ曲がりである。

なお,

青天白日

とは,

よく晴れた日和,

という意味だが,それをメタファとして,

心中包み隠すところの全くないこと,
とか,
無実であることが明らかとなる,

という意味で使われる。『韓愈・崔群与書』に,

「青天白日は、奴隷も亦其の清明を知る」

とあるのに基づく,という。手元の『四字熟語辞典』には,『朱子全書』の,

「孟子の如きは,則ち,青天白日の如く,垢の洗うべきものなし」

を出典とするが,韓愈が元のようである。

参考文献;
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
http://melma.com/backnumber_43686_4338744/
http://kanbun.info/koji/seitenheki.html

ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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