2016年08月08日

ふてくさる


「ふてくさる」あるいは「ふてくされる」は,

不貞腐(れ)る,

と当てるが,これは当て字。

捨て鉢になって見せる,不満があって言うことをきかない,
不満があって嫌な振る舞いをする,

といった意味である。語源は,

「フテ(太い)+クサル(腐る,強める)」

で,江戸時代,不貞をフテに当てて使うようになった,とされる。

『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/hu/futekusareru.html

も,同じで,

「ふてくされるの『ふて』は動詞『ふてる』で、『不貞』は当て字。 ふてるは、『すねる』『 投げやりな行動に出る』『強情を張る』という意味の言葉で、『ふてぶてしい』の『ふて』と 同じく、『ふとい(太い)』の『ふと』からと考えられる。 ふてくされるの『くされる』は『腐る』で 、『いばり腐る』『まじめ腐る』というように,相手の動作に対して軽蔑やののしりの気持ちを表す。」

とある。「ふてる」は,

棄てる,

と当て,『大言海』には,

「棄(ふ)てるは,棄(ふ)つ口語」

とあり,

「心太る意か」

として,

「憤りて,命を聴かず,恨み逆らふ,すてばちになる」

と意味が載る。『古語辞典』には,

ふて(捨て鉢になる意),
ふてごと(ふてくされたこと),

という言葉が載る。著聞集の用例が載るところから見ると,古くから使われていたものらしい。

どうやら「棄(ふ)てる」自体が,

ふてくされる,

という意味を持っている。「腐る」は,それを強めている,ということになる。『広辞苑』には,

「(他の動詞の連用形について)人の動作を軽蔑し,にくむ意を表す(主に関西地方で使う。関東では多く『やがる』)」

とある。

いばりくさる,
まじめくさる,

等々で,『大言海』の,

動作を貶める,

という意味を込める。『大言海』は,実態に近い,「やあがる」として,

「アガルは死ぬる意か,魚の死ぬるに云フ。またサガルとも云ふ(出雲にて)。また,クサルとも云ふ(畿内にて)」

と,説明をしている。因みに,「腐る」の語源は,四説ある。

説1は,「草+る」で,草が腐敗する意,
説2は,「臭+る」で,糞と同源。匂って腐る意,
説3は,「朽+る」で,朽ちていく意,
説4は,「クサ(ぐちゃぐちゃ)+る」で,擬態語の意,

『古語辞典』は,「くさる」を,

クサシ(臭)・クソ(糞)と同根。悪臭を放つようになる意」

と,説1を取っている。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ku/kusaru.html

は,

「腐るの語源は、『くちる(朽ちる)』の『くち』や『くたばる』の『くた』などに通じる語と考えられるが、それ以上のことは不明。 動植物が腐ると悪臭を発することから『くさあるる(臭 荒)』とする説もあるが、『くさい(臭い)』は『くさる』が語源なので、前後関係が逆転して いる。『くそある(糞生る)』から『くさる』に転じたとする説もあるが,『くそ』も『くさる』もしくは『くさい』から生じたと考えられるため、この説も採れない。」

と,「朽ち」説を取る。臭い状態,ということなのだろう。『古語辞典』は,

「クサリ(腐り)」「クソ(糞)」「クサイ(臭い)」を同根,

としている。『大言海』は,

「くたる(腐る)と通ず,クタ(朽)の條を見よ」

と,「朽ち」説を取り,「くた」に,

「腐(くさ)ると同根。朽ち,朽つと通ず」

としている。『日本語の語源』は,

「クサはクソ(屎)になった」

と,音韻変化から,屎説をとる。そういえば,

クソ遠い,
とか,
クソ忙しい,
とか
やけくそ,
とか,
クソ度胸,
とか,
くそまじめ,

等々の「くそ」は,「くさる」に通じる,

卑しめる,ののしる,又は強調,

といった使い方だ。いずれにしても,両者は無縁ではない。

結局貶めるのに,

~してくさる,

というとき,

形状や状態,

を見て言っているのか,

臭み,

という感覚で,価値表現で言っているのか,まあ,微妙。その時に応じて使い分けているのかもしれない。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)


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