2016年08月27日
かな
かなは,
仮名,
あるいは,
仮字,
と当てる。本来,
カリナ,
と,訓んでいたものが,音便化し,
カンナ,
となり,カナとなった。『大言海』は,「かんな」で載る。「かりな」→「かんな」の変化を,
「残りの雪,のこんのゆき,尾張,をわんぬ」
と同趣で,さらに,「かんな」→「かな」の変化を,
「案内(あんない),あない,本尊(ほんぞん),ほぞん」
と,例を挙げる。
「かな」は,漢字を真名と訓んだ,その対で,
「正式な文字とされた漢字に対して,私的な仮の名」
の意味である。「名(な)」とは,『大言海』に,
「名の義と云ふ」
とあり,文字の意味。周禮,春官篇「外史,掌達書名於四方」の注に,
「古曰名,今曰字」
を載せる。
「仮名(かな)とは、漢字をもとにして日本で作られた文字のこと。現在一般には平仮名と片仮名のことを指す」,
とあるが,『広辞苑』は,
「漢字から発生した,日本固有の音節文字」
として,広義には,
万葉仮名,
草仮名,
平仮名,
片仮名,
を指し,狭義には,
平仮名,
片仮名,
を指す,とする。万葉仮名は,
「上代に日本語を表記するために漢字の音を借用して用いられた文字のことである。『万葉集』での表記に代表されるため、この名前がある」
で,草仮名は,万葉仮名の草 (書) 体をいう。「草 (そう) の仮名」ともいう。
片仮名は,
「カタ(片・一部)+仮(仮の)+名(字)」
で,漢字の一部を取って表したから,この名がある。
平仮名は,
「ヒラ(普通の)+仮名」
で,片仮名の「カタ(一部分)+仮名」に対照して使われるが,
漢字を音で表記した万葉仮名を崩した草仮名を更に簡略化した」
ものということになる。『大言海』は,
「真名(漢字)の音,又は訓を取りて,国語の音を写すに,仮り用ゐる字の義なり。人を,比止と書き,瓶を加女など書くが如きを云ふ。…即ち仮借字にて,これを真名書きと云ふ,是れ仮名なり。奈良朝の頃までは,すべて真名書(万葉仮名)なりしに,其の字の画の多くして,書くに難渋なるの因りて,平安朝の初期に至り,婦人の用に,比止,加女などの草書の體を,甚だしく崩して,ひと,かめ,などと書き取ることとなりて,草仮名とと云ひ,女手(おんなで)とも云ひ,遂に,此草仮名を,専ら,単に,かな,かんな,と云うふやうになり(後にひらがなの称,起こる)」
云々と説明する。片仮名は,由来が異なり,
「片仮名の起源は9世紀初めの奈良の古宗派の学僧たちの間で漢文を和読するために、訓点として借字(万葉仮名)の一部の字画を省略し付記したものに始まると考えられている。この借字は当初、経典の行間の余白などにヲコト点とともに使われていた。それが小さく素早く記す必要から字形の省略・簡化が進んだ結果、現在見る片仮名の原型となり、ヲコト点に成り代わって盛んに訓読に利用されるようになった。片仮名はその発生の由来から、僧侶や博士家などによって漢字の音や和訓を注記するために使われることが多く、ごく初期から漢字仮名交り文に用いた例も見られる。後には歌集や物語をはじめ、一般社会の日常の筆記にも使用範囲が広がったが、平仮名で書かれたものが美的な価値をもって鑑賞されるに至ったのと比べると、記号的・符号的性格が強い。」
とあり,尺八などの邦楽の譜面に用いられているような,一種の記号として使われていたようだ。『大言海』には,
「真名(漢字)を手短く書き取るためにできたるものなり。カタとは,真名の伊の字の偏のみ取りて,『イ』に作り,呂の字の上部のみ取りて『ロ』に作れるなどにて,其の真名の偏方(かたへ)なる意なり。其の初めは,村を寸,岐を支,…など省き記せるに起こり,遂に菩薩を『ササ』,縁覚を『ヨヨ』と,其の一片を取りて,速記の用としたる,抄物書きに成れるなり。されば,古き片仮名には,『乀(キ)』『卩(ミ)』…などの種々なりき」
とあり,
「当初は字体に個人差・集団差が大きく、10世紀中頃までは異体字が多く見られ、時代を経るに従って字体の整理が進み、12世紀には現在のそれと近いものになった。」
のだそうだ。いまでは,片仮名は,外国語や擬態語と,使い分けているが,
「平仮名と片仮名の使い分けは長年に渡って統一されなかったが、第二次世界大戦後あたりから、文章の表記には原則として平仮名を用い、片仮名は外来語など特殊な場合に用いるスタイルとなった。」
というのは,意外である。
参考文献;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%AE%E5%90%8D_(%E6%96%87%E5%AD%97)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E4%BB%AE%E5%90%8D
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E4%BB%AE%E5%90%8D
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
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