2016年09月02日

ドイルのメッセージ


三上直子・山川蓮『コナン・ドイルは語る―リセットのシナリオ』を読む。

コナンドイルは語る.jpg


本書は,コナン・ドイルの霊的メッセージをまとめたものだ。たぶん,それだけで引く人がいることが予想できる。ただ,本書を読みながら,多次元宇宙論を思い出していた。超ひも理論では11次元(空間次元が10個、時間次元が1個)が折り畳まれているという説さえある。

ひも理論.png

カラビ-ヤウ空間(時空の余剰次元が6次元(実次元)のカラビ・ヤウ多様体の形をしていると予想されている)


コナン・ドイルについては,

コナン・ドイル.jpg


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%AB

に譲るが,コナンドイルが,第一次大戦後,スピリチュアリズムにのめり込み,大概は揶揄の対象として,

コティングリー妖精事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%A6%96%E7%B2%BE%E4%BA%8B%E4%BB%B6

について語られることが多い。

「1916年7月、妖精がフランシスと一緒にいる写真をエルシーが撮った。彼女たちは妖精が踊っている様子が写っている写真を、1916年から1920年の間に全部で5枚撮影した。写真に写った妖精は、小さい人の姿で、1920年代の髪型をし、非常に薄いガウンをはおり、背中には大きな羽があった。 1枚の写真にはノームが写っていた。そのノームは身長12インチ(約30cm)ぐらいで、エリザベス朝時代の格好をして、背中には羽があった。」

完全な偽造写真に,妖精の実在する証拠として,コナン・ドイルが信じたと言う一件である。ドイルがこれを信じたのは,「少女に偽造写真を作る技術などあるわけがないと考えた」のもあるし,コナン・ドイルの娘によれば,「父はこの事件を完全に信用していたのではなく、二人の少女達が嘘をつき続けているという事が信じられなかった」ということもあるかもしれない。この件で,ドイルとスピリチュアリズムは,揶揄の対象とされてしまった。

しかし,ドイルの霊的メッセージは,第二次大戦を予言したとか,死後も,スピリチュアリズムの世界では,名を成していたらしい。本書は,ホームズの作者としてではなく,

スピリチュアリズムのパウロ,

と呼ばれ,スピリチュアリズムの著作が十冊を超え,他界する直前,

「何より偉大で輝かしい冒険がこれから私を待っています。」

と書いた,スピリチュアリズム普及活動に尽力した側面に焦点を当てながら,生前のメッセージ,死後のメッセージを紹介しつつ,最新のメッセージ,

リセットのシナリオ,

を伝えようとしているものである。もちろん,大真面目である。メッセージのいくつかを紹介してみる。

「私たちが最終的に焦点を当てているのは,〈リセット〉です。霊的循環の回復により,天と地をつなぎ直すことです。そのための素地として,スピリチュアリズムがもたらされ,いよいよその知識を総動員したところで〈リセット〉がいま語られるということです。
 スピリチュアリズムの要点は,あらゆるものに霊は宿り,それらは因果律(因果応報の法則)から逃れることはできない,ということでした。この因果律は,リセットを理解していただくための下地でした。
 現状の認識と,そしてそれがなにゆえそうなったのか,という原因分析がなされないことには,この大転換に際しての人類の大きな学びは見いだせないからです。
 〈リセット〉では,地球の周期にのっとり,それまで人類が行ったことが結果として返ってきます。物質的な見地から言えば,地上のあらゆる文明が破壊される大参事となるでしょう。それはもはや避けられない事態です。
 一方,…〈アセンション〉とは,次元が変わるということにフォーカスした,事態を部分的にとらえた概念です。もちろん次元が変わることを選択する霊もいます。みなさんは実感がないかもしれませんが,この地球,そして宇宙はあらゆる次元にいて存在していますので,霊的に進化した方たちは次の次元という現実の中に生きることも可能なのです。異なる次元にはこれまで消滅したとされる文明も存続していますし,あらゆる可能性の一つ一つが違った現実として同時進行しているという複雑な多次元世界を知覚できるようになれば,その中のどの現実を選択するかもきめられます。」

http://ppnetwork.seesaa.net/article/416694519.html?1428004473

で紹介したように,たとえば,「シュレディンガーの猫のパラドックス」というのがある。

放射性物質と猫を入れて,一定時間後に蓋を開けて中を見る,

「人が蓋を開ける前に猫の生死が決まっているのか(決定論),箱を開けた瞬間に決まるのか(確率論),そのいずれが正しいのかを問う」

というものである。シュレディンガーは,量子論への反対の立場からこの思考実験を提示した。しかし,ヒュー・エベレットの「並行世界説」,多重宇宙論からの解釈では,

「〈生きている猫の宇宙〉と〈死んでいる猫の宇宙〉が〈共存している宇宙〉を考え,その宇宙が観察を繰り返すごとに〈生きている猫の宇宙〉と〈死んでいる猫の宇宙〉に〈分岐〉し,〈生きている猫〉と〈死んでいる猫〉とがそれぞれ〈別の宇宙〉に〈重ね合わせ〉の状態で並存している」(『量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」 』)

というのである。つまり,人間が観察するまでは,〈生きている猫の宇宙〉と〈死んでいる猫の宇宙〉が共存していたのに,観察によって,分岐した,ということになる。しかも,

「観察によって分岐した複数の並行多重宇宙は,互いに関係が断ち切られ影響し合うことがなくなるので,それらの宇宙を観察する人間もまた分岐して複数存在する。」(『量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」 』)

こういう量子の世界が,開く新しい視界と通じるところがあるのである。別のメッセージ(「そのビジョン通り」とドイルが肯定したビジョン)には,

「宇宙の中に左と右の両方の地球が見える。ちょうど真ん中の視点。境界ラインは,画像を二つ並べた時に,その真ん中にうっすらと線があるように感じる。そのような透明な線で左右が区切られている。『左右は何が違うんだろう』と思い,その境界の所に行って,左と右にそれぞれ手を出してみる。比べると,左手は普通の物質性がある手で,右手は霊的な手に見える。ざっくり言えば,左が地(物質世界)で,右が天(霊的世界)のようだ。(中略)右の天で起こることは,左の地に反映されるということのよう。
 ところが境界に灰色の雲がかかりはじめると,それが上手く反映しない。連動できずに地は勝手に動き始める。元々天と地が一体となって,天の意志が通る連動関係だったけれど,その境界が覆われると,天と地が連動できなくなり,バラバラになる。」

あるいは,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/388163082.html

で触れたように,こういう宇宙像ともつながるのかもしれない。

「三次元空間のある領域で起きる重力現象は,すべてその空間の果てに設置されたスクリーンに投影されて,スクリーンの上の二次元世界の現象として理解することができる…。」

のであり,ブライアン・グリーンは,

「ひょっとすると私たちは,今このときも,3ブレーン(ブレーンとは膜braneのこと)の内部に生きているのではないだろうか?高次の宇宙(三次元のドライブイン・シアター)の内部に置かれている二次元スクリーン(2ブレーン)の中で暮らす白雪姫のように,私たちの知るものすべては,ひも/M理論(5つのひも理論を統合するマスター理論の意味)の言う高次元宇宙の内部にある三次元スクリーン(3ブレーン)の中に存在しているのではなかろうか?ニュートン,ライプニッツ,マッハ,アインシュタインが三次元空間と呼んだものは,実は,ひも/M理論における三次元の実体なのではないだろうか?相対論的に言えば,ミンコフスキーとアインシュタインが開発した四次元時空は,実は,時間とともに展開していく3ブレーンの軌跡である可能性はないのだろうか?つまり,私たちの知るこの宇宙は,一枚のブレーンなのではないだろうか?」(『宇宙を織りなすもの』)

と述べている。マルチバース論(多宇宙あるいは並行宇宙あるいは多元宇宙と言われる宇宙論)では,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/416793184.html?1428175950

で触れたように(『隠れていた宇宙』),

・パッチワークキルト多宇宙 我々はそのパッチの一つである
・インフレーション多宇宙 永遠のインフレーションが泡宇宙のネットワークを生む。われわれはその泡宇宙の一つ。
・プレーン多宇宙 ひも理論が行き着いた,一切れの食パンのような宇宙が並んでいる。
・サイクリック多宇宙 プレーンワールド間の衝突がビッグバンをもたらす。いくつもの並行宇宙が始まりうる。
・ランドスケープ多宇宙 ひも理論の余剰次元が,インフレーション宇宙とプレーン宇宙を合体させる。
・量子多宇宙 確立派が具体化されるたびに世界が分岐して並行して存在する。
・ホログラフィック多宇宙 この宇宙は,遠くの境界面で起きていることを映し出しているだけである。
・シミュレーション多宇宙 宇宙のシミュレーションの中の世界でしかない。
・究極の多宇宙 ありうる宇宙はすべて実在するという包括の宇宙

等々想定されており,霊的世界像も真っ青である。そこで,もうひとつ,ドイルのメッセージ。

「文明が破壊される大参事(中略)はどのようにして起こされるのかですが,今のところ隕石が落ちる可能性が高いです。次に地軸が反転するポールシフト。このどちらかもしくはその両方です。」

なおここで言う,ポールシフトは,

「地磁気の磁極は、頻繁に変化していることが観測されている。また、海洋プレートに記録された古地磁気の研究(古地磁気学)によって、数万年~数十万年の頻度でN極とS極が反転していることも知られている。」

ではなく,よくオカルトなどで言われている,

「自転軸上の北極と南極が(何らかの要因で、短時間のうちに)反転する」「自転軸の北極・南極が瞬間的ないし短時間で入れ替わる」

を指しているらしいが,現在の地軸が,原始地球に火星大の原始惑星が衝突したことにより,月ができ,現在の地軸が確定したとする説があるので,(反転かどうかは別に地軸のずれを伴い)両方起きる可能性はある。

大栗博司氏は,「わたしたちが暮らしているこの空間そのものが,ある種の『幻想』」だとして,

「私たちは縦・横・高さという三つの情報で位置の決まる三次元空間を現実のものだと感じていますが,ホログラフィー原理の立場から見れば,それはホログラムを『立体』だと感じるのと同じことに過ぎません。空間の果てにある二次元の平面上で起きていることを,三次元空間で起きているように幻想しているのです。」(『重力とは何か』)

と言っている。どちらが霊的でどちらがリアルかなど区別はつかない。

参考文献;
三上直子・山川蓮『コナン・ドイルは語る―リセットのシナリオ』(地湧社)
ブライアン・グリーン『隠れていた宇宙』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
ブライアン・グリーン『宇宙を織りなすもの』(草思社)
ブライアン・グリーン『エレガントな宇宙』(草思社)
岸根卓郎『量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」 』(PHP)
大栗博司『重力とは何か』(幻冬舎新書)
https://ja.wikipedia.org/wiki/M%E7%90%86%E8%AB%96
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%95%E3%83%88

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posted by Toshi at 05:09| Comment(0) | 書評 | 更新情報をチェックする
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