2016年09月23日

こなし


「こなし」は,

熟し,

と当てる。『広辞苑』には,

こなすこと,消化,
自分のおもうままにうまく取り扱うこと,
立ち居振る舞い,特に歌舞伎で,役者の演ずる身振り,しぐさ,
ひどくやっつけること,けなすこと,

とその意味が幅広い。「こな(熟)す」を引くと,

砕いてこまかにする,土などを砕いて柔らかにする,
食物を消化する,
思うままに扱う,
動詞について,その動作を要領よくうまくする意を添える,
思うままに処分する,征服する,
仕事をすませる,処理する,
見下す,軽蔑する,

と,「こなし」の原義らしいものが載る。語源は,

「『コ(細・小)+なす(為す)』で,細かく砕くが本義です。土をコナス。木を倒してコナス。処理する。取り扱う身のコナシ。こなれる(消化)等々も同源です。」

とある。『古語辞典』には,

「『粉(こ)になす』」が原義」

とある。これがわかりやすいが,『大言海』は,

「粉熟(こな)すの義なるべし。粉にする意,自動にこなると云ふ。こねるという語もあり」

とあって,よりわかりやすい。

こなし.jpg


「こなし」というと,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%93%E3%81%AA%E3%81%97

でいう,

「白餡を主原料に蒸して作る主菓子の生地」

を指すが,

「いったん蒸して水分を抜いた白あんに薄力粉をさっと混ぜてしばらく蒸篭で蒸し揚げる。和菓子店によっては強力粉やもち粉を混ぜる事もある。蒸しあがったものをまとめ、シロップを加え固さを調整しながら揉みこなす。『こなし』という名称はこの作業から来ている。」

とあり,「こなす」が単に粉砕するという程度の意味ではないことがわかる。『大言海』に,

「土を掘り起こして,砕き熟(な)れしむ。」

と載せて,

「熟田(なた)は熟し田なり」

とあり,「熟し」は「熟れる」に通じていることがわかる。「な(れ)る」は,

熟れる,

と当てるが,

馴れる,
慣れる,
狎れる,

とも当てる。語源は,「熟(れ)る」で,

「習熟,熟成の意です。常のこととなる状態を言います。ナレル,ナラスは同源」

と,『語源辞典』にはある。

「混ざり合ひて,ひとつになる」

と『大言海』の説明がいい。で,それが常態になれば,「慣れる」と言うわけである。

ここで言うのは,

着こなし,

の「こなし」も,

仕事をこなす,

の「こなす」も,そういう処理のプロセスを経たという含意がある。。

http://ppnetwork.seesaa.net/article/439580963.html

の「しぐさ」で触れたが,立ち居振る舞いの意の「こなし」は,

という意の他に,

立ち居振る舞い,特に歌舞伎で役者の演ずる身振り,しぐさ,

という意味になる。『大言海』が,

着こなし,為こなしの略,

として,「調節」という意味を載せている。確かにその通りだろう。「仕事をこなす」という意味も,

仕事を終わらせる,
仕事を片付ける,

というよりは,

仕事をさばく,
とか
仕事を切り回す,
とか,
仕事を切り盛りする,

という含意がある。ただ「やっける」のとは違うのである。

為遂げる,

ニュアンスがある。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
posted by Toshi at 05:08| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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