2016年09月25日

ずたぼろ


「ずたぼろ」は,辞書(『広辞苑』)には載らない。

ズタボロ,

とも表記する。『実用日本語表現辞典』

http://www.weblio.jp/content/%E3%81%9A%E3%81%9F%E3%81%BC%E3%82%8D

には,

「ずたずたのぼろぼろ、を略した表現。切れ切れに切り裂かれてどうしようもなく壊れた様子などを意味する表現。心象などについても用いられる。」

と意味が載る。「ずたずた」「ぼろぼろ」いずれも,擬態語に属する。『広辞苑』は,「ずたずた」に,

寸寸,

を当て,

「細かく乱雑に切り裂かれたさま。寸断。切れ切れ」

とある。

ずたずた斬り,

という言い回しがあるくらいで,擬態としては,

「紙や布などが細かく切れ切れに,乱雑にする様子」

となる。ただ,『大言海』や『デジタル大辞泉』には,

「『つだつだ』の音変化。『ずだずだ』とも」

とある。『古語辞典』には「ずたずた」は載らず,

つたつた,
あるいは,
づだづだ,

で載る。中世末の『日葡辞典』には,

「ヅダヅダニキル」

と載るらしい。「ずたずた」も,

ずだずだ,

とも言う。このほうが,細かく切り刻まれた状態にふさわしい気がしないでもない。『擬音語・擬態語辞典』には,

「『ずだずだ』は,『ずたずた』の切り方よりさらに細かくかつ激しく切り刻む感じ」

とある。「ずたずた」の語源は,

「ズタ(破れ 擬態語)の繰り返し」

で,細かくきれぎれにすること,である。「ぼろぼろ」は,『広辞苑』には,

細かい破片や粒状のものが大量にこぼれ落ちるさま,
ものが風化してもろくなったり使い古されて破れたりしているさま,
比喩的に,隠れていた事柄が次々に現れるさま,

と載る。ものによっては,

水分や粘りけがなく,ばらばらになっているさま,

という意味も加わる擬態語である。『大言海』は,

襤褸襤褸,

と当てて,

「襤褸綿(ぼろわた)より移るか」

と,注記し,

物の散々なること,ほろろげたること,古衣の破れて,はららぎたること,又そのもの」

と,「襤褸」の含意にこだわっている。「ほろろぐ」は,

塊りを崩しわける,ばらばらにする(『『広辞苑』』)

という意味だが,『古語辞典』には,「ほろろげ」で,

「ホロロはホロホロの約。ホロビ(亡)と同根」

とあり,

「かたまっている物を,ばらばらにほぐし崩す」

とある。こうみると,「ぼろぼろ」は,「ほろほろ」と重なってくる。「ほろほろ」は,『広辞苑』には,

木の葉などが散るさま,
人が散り散りになるさま,
着物などがもろく裂け,破れるさま,
涙のこぼれ落ちるさま,
物を食う音。ぼりぼり,
雉や山鳥の鳴声,

等々の意味が載る。「ぼろぼろ」が「ぼりぼり」にも,「ぽろぽろ」にもつながるが,『大言海』は,

「物の散(はららき)き乱るる状に云ふ語,ハラハラ,バラバラ」

と載せて,バラバラ,はらはら,ともつながる。「はららく」は,

散く,

と当て,

バラバラになる,ぼろぼろと崩れ散る,

と,『広辞苑』には載るが,『大言海』は,

ほろほす,ほろほろになる,はらはらす,ばらばらになる,

と意味を載せ,「亡ぼす」との類縁を思わせる。

参考文献;
山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
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