2016年10月01日
オッカムの剃刀
よく使われる,
オッカムの剃刀,
について,ちょっと調べ直してみた。『広辞苑』には,
「ある事象を説明するとき,その事象が必然的に要求する以上に多くの原理を立ててはならないという原理。これにより,オッカムは,無用な形而上学的思考を排除しようとした。」
とある。
「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」
とする指針とされ,もともとスコラ哲学にあり,それをオッカムが多用したことで有名になった「剃刀」という言葉は、説明に不要な存在を切り落とすことを比喩しており,
思考節約の原理,
思考節約の法則,
思考経済の法則,
科学的単純性の原則,
ケチの原理,
等々とも呼ばれ,英語だと
Occam's razor
と表記されるらしい。因みに,オッカムは,中世イギリスのスコラ哲学者,
だが,『日本大百科全書(ニッポニカ)』に,
「William of Ockham(1280/1285―1349)
イギリスのスコラ哲学者。オッカムのウィリアムともよばれる。イングランドのオッカムに生まれる。若くしてフランシスコ会の修道僧となり、オックスフォードに学び、やがて神学を講じたが、異端の嫌疑をかけられ、修道会の貧困の教説と教皇権の問題も加わって、破門されつつも教皇ヨハネス22世およびベネディクトゥス12世Benedictus (在位1334~1342)に抵抗した。彼の哲学と神学には論理学的観点が貫かれており、『論理学大全』Summa Logicaeに代表されるその立場は唯名論と目される。彼は、ことばを文字、音声、概念に区別したうえで、普遍は概念としてのことばであるとする。音声および文字が取り決めによって成立した記号であるのに対し、概念は理解の働きとして事物の自然的な記号である。「人間」はあくまでも個物の記号であるが、かならずしも個物を代表する(指す)とは限らず、「人間は名詞である」においては音声を、「人間は種である」においては概念を代表する。実在は個物のみであり、個物を認識する直覚知notitia intuitivaこそが明証的知識の基礎となる。この考えは、多くの神学的命題を信じられるべきものとし、これと経験的知識との分離を促し、近世の自然科学的思想の先駆となった。「オッカムの剃刀(かみそり)」とは、彼が議論にしばしば用いた「必要なしに多くのものを定立してはならない」という規則のことである。」
と詳しい。オッカムの剃刀は,もともと,
Entities should not be multiplied beyond necessity.
で,
「必要が無いなら多くのものを定立してはならない。少数の論理でよい場合は多数の論理を定立してはならない。」
と訳されているのも,オッカムの剃刀に反する。
不必要な仮説を立てるな,
ということだろうか。たとえば,矮小化した言い方になるが,過去の日本の行動を,
侵略だったのか,
と問われて,侵略の定義ははっきりしていないだの,事実関係がどうだの等々と,そのために援用する理窟を繰りだすのを,
冗語法(Redundancy),
というらしい。
「ある概念を説明するのに、必要以上の言葉を使うこと」
である。その例を,
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%89%83%E5%88%80
冗語と剃刀を当てた後を対比していて,明快である。使い方はいたって簡単である。
余計な言葉を探す,
オッカムの剃刀を当てる,
であるらしい。ただし,
http://kagaku-jiten.com/ockham.html
にあるように,
「オッカムの剃刀を説明するための一つの例として、『2つの競合する理論がある場合、よりシンプルなものの方が正しい可能性が高い』というものがある。ここで重要なのは『正しい可能性が高い』というだけであって、どちらの理論が正しいかを確認する判定則ではないと言うことである。」
で,分子の存否を巡る,
ルートヴィッヒ・ボルツマンとエルンスト・マッハの論争,
で,マッハが,
「誰も見たことも触れたこともないものなんて説明に不要。そういう不確かな物を抜きにして科学は説明されるべきだ。」
として,
「運動の説明に得体のしれない概念である『力』はいらない。排除するべきだ」
「分子は直接検出できない。ならばそれは思弁的モデルだから要らない」
と,ボルツマンらを執拗に攻撃したのに対し,それを証明した後,アインシュタインが,
「理論はできるだけ単純にしろ。ただし、それにも限度はある。」
と言ったとされる。
参考文献;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%89%83%E5%88%80
http://kagaku-jiten.com/ockham.html
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%89%83%E5%88%80
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%89%83%E5%88%80
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
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