2016年10月21日

臍曲り


「臍曲り」というのは,

「性質がひねくれていて,素直でないこと,またそういう人」

と『広辞苑』には載り,

つむじまがり,

とも言う。

臍を曲げる,

という言い方だと,何か特定のことについて,

臍曲りになる,

という意味で,一時的に,

機嫌を損ねる,意固地(依怙地)になる,

という意味になる。つまりは固定していないで,進行形と言うわけだ。

つむじ(旋毛)を曲げる,

も,一時的につむじ曲がりになったという意味で,

区分を損ねて,意地わるく,反対して従わない,わざとひねくれる,

という意味になる。『語源辞典』をみると,「臍曲り(「へそまがり」と表記したほうがいいが)」は,

「櫓ををはめるヘソ(ほぞ)が曲がると,櫓の機嫌が悪くて,漕ぎにくい」

と言うところから来ているらしい。「臍で茶を沸かす」の項で,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/441330515.html

臍について触れたが,臍は,『語源辞典』には,

「ヘソは,『hoso heso』で,改まったとき,『hozo』です。」

とあるが,『大言海』は,

「俗に臍をヘソといふは,ホソの転ずる也」

という『倭訓栞』を引き,「ほぞ」をみると,

「清音にホソ。転じてヘソ。沖縄にてフス」

と載る。どうやら,平安時代末期までは「ホソ」と清音だったらしい。『日本語の語源』は,奥舌母音と前舌母音間の母音交替の例として,

オ(o)→エ(e)間の交替,

として,

ほそ→へそ

を挙げている。因みに,「臍」の,字は,

「齊(セイ・サイ)(=斉)の原字は,◇印がが三つ斉然と並んださま。のちに下に板または布の形を添えた。臍は『肉+齊』で,斉然として人体の中央にある部分」

とある。「臍」をなぞらえた櫓のヘソから,また臍そのものに還って使われている感じである。

「つむじまがり」の語源は,

「『ツムジ+曲がり』です。ツムジは,渦のことです。ツムジ風,カタツムリのツムリなども,同じ語源とされています。頭の渦(旋毛)の位置がずれているという意から,性質がねじけている意で使う。」

とある。まがったり,ずれたりすると,

普通ではない,

と見なされるのか。似た言い方で,

ひねくれ,
ひねくれる,

も,そんな含意だ。「ひねくる」は,

「ヒネ(捻る)+クル(繰る)」

で,さまざまに捻じっていじくりまわす,意となるが,そこから「ひねくれる」は,

よじれ曲がった,

という意になる。しかし,億説だが,「ひね」には,『古語辞典』には,

古・陳,

とあてて,

古臭い,

という意味の言葉があり,動詞の「ひね」で,

古臭くなる,

という意味になる。捻じれる,

捻くれ,

の他に,古くなる,

陳(ひね)くれ,

があり,『大言海』にも,老成と当てて,

ひねる,

が載り,「ひねこびてあり,ふるびてあり」という意味が載る。ついでに,

拈る,

と当てて,例の「ちょっとひねった」という意味の,

一風変わったコトをなす,

という意味もある。同音異義語の「ひねくれ」に古びた,風変わり,という意味の翳がついて回っている気がしないでもない。偏屈は,言い換えると,

一刻(一国),

と当てて,

頑固なこと,人のいうことを聞かず,腹立ち易いこと,

であり,

一国(刻)者,

という言い方をする。語源では,

短時間で事をなそうとする,気短で,頑固な者,

の意とされる。「一刻」には,

激しく急く,

意がある。それは,僕には悪い意味には取れない。とかく,変わり者は,邪魔扱されるが,へそ曲りで,一芸に長ずる者は多い気がする。

臍がらみの,

へそくり,

については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/426549080.html

で触れた。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
posted by Toshi at 05:24| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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