確認


前嶋望展

http://gallery-st.net/
http://blog.livedoor.jp/kidailack/archives/1928299.html

長濱恭子展 KYOKO NAGAHAMA
https://www.facebook.com/kyoko.nagahama.10?fref=ts

というふたつを,はしごで拝見してきた。

前嶋望展は,

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1744251015840462&set=pcb.1744251035840460&type=3&theater

個人的な印象だが,いつもながら,全体として動物をモチーフとした作品が多く,とりわけ,

「茜に遊ぶ」

という作品は,案内ハガキにもあった絵で,今回の中で一番目立つし,色遣いの特色がよく出ている。

前嶋.jpg


しかし,僕は,確か,

暑気払い,

と題された(と思う)作品が一番いいと思うし,ここに,個人的には作家のもつひとつの可能性のようなものを感じた。個人の好みだが,僕は,具象よりは,つまり,

現(うつつ)を写す,

のではなく,その現実の世界に紐づけられず,それからどれだけ自由に自分の世界を描くか,に興味をもつらしいのである。だから(タイトルのみメモってきたので,作品とつながらなくて申し訳ないが),

Scene♯29,
もう寝る,
ソヨカゼ,
Shadow,

と題された作品が惹かれる。タイトルを忘れたが,海底に光が差してきた絵柄(「もう寝る」だったか)とタイトルの乖離が,「現」との距離を示していて,惹かれた。

どうやら,僕は,カタチが溶かされていくというところに,関心がある。

人は,個展に行って,何を観るのだろうか。僕は,自分の(好みの)世界を確かめに行く。確かめに行って,そのおのれの世界を(完全にか,部分的にか)突き崩されるような刺激を絵から受けて,そこに顕現した新たな世界観を受容し,自分の世界観を改めて再構築しなおす。先日の速水御舟にもそれを感じた。御舟については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/442867547.html

で触れた。

長濱恭子展でも,同じことを感じた。作家の言葉に,

「今回は樹木や地衣類ではなく、すべて新作の珊瑚と海の作品です。夏に沖縄で約10年ぶりに海に潜り、取材してきました。」

とあるようあるように,

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=891634904269609&set=pcb.891635504269549&type=3&theater

素材となるもものとの距離を測りながら拝見していた。

長濱.jpg


どうやら,ここでも,抽象度の高い,というか,具象の溶ける,感じのものに惹かれる。タイトルだけメモったので,絵と記憶が上手くつながらないが,案内はがきの,

Coral reef♯001,

もいいが,

Eternal sea

と題されたものの,♯002,003が印象に残った。もともと,珊瑚にしろ地衣にしろ,それ自体が,切り取って拡大すれば抽象度は高い。しかし,それ自体の世界として描くには,逆にちょっと飛躍がいるように思う。つまり,現のもつ抽象度からどれだけ離れた世界として顕現させるか,という意味で,ある距離がいる。たとえば(いい例かどうかわからないが),ある目標をブレークダウンしてアクションレベルまでステップダウンするのに,目標の抽象度が高いほどステップ数がいる,というような感じの,ちょうどその逆になる,というイメージだろうか。

その意味では,たぶん,まだ世界として完成させていくステップの途中なのだ,と感じた。前回,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/419428920.html

で触れたような,作家の葛藤のようなものよりは,手探りで世界を作りつつある,という感触があった(失礼…!)。

結局,作家の画こうとするものと,観る側が見ようとするものは,

現(うつつ),

をさしはさんで,向き合っている。しかし,現を上塗りする様な絵よりは,現の向こう側へ突き抜けていく絵が,僕は好きらしい。その意味では,

輪郭,
とか,
カタチ,

の溶けていくものがひとつの象徴に見える。だから,個人的には,

朝まだき,

夕まぐれ,

の,物の翳と地の薄闇が融け合う世界が,好きなのである。結局全く違う(和洋の)画家の絵の中で,僕は自分の見たいものを見,その向こうに突き抜けていく世界を期待していた,ということだろう。その意味で,惹かれたのは,そのきっかけを与えてくれそうに思えたからだろう。

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