ゆきたけ


「ゆきたけ」(「いきたけ」ともいう)とは,

裄丈,

と当て,

衣服のゆきとたけ,

の意味で,それをメタファに,

物事の都合,前後の関係,

の意味にも転じている(『広辞苑』)。例えば,膂力,が,腕力を意味するのに,広く,力技を指すようなものである。

「裄」と「丈」は,

http://kimonoo.net/yukitake.html

に詳しいが,

「和服で、背中の中心となる縫い目からそで口までの長さ」

を指す。要は,肩幅にそで幅を加えた寸法で,肩ゆきとも言うらしいが,洋服でもいうことがあり,その辺りは,

http://www.ozie.co.jp/base/

に詳しい。

「裄」は『大言海』をみると,

「裄行などの意」

とあり,

「丈に対する」

とある。で,転じて,

「物の程度,高」

とあり,さらに転じて,

「ゆきたけ」

の意味となり,

「ゆきたけの知れたる身代」

という用例が載る。その意味で,『広辞苑』とは異なり,「ゆきたけ」の広がった意味は,単に「脈絡」という意味だけではなく,ものたの奥行,広がり,といった意味にまでなっているらしい。

裄丈.gif


幅.gif


上記の,

http://kimonoo.net/yukitake.html

を見ると,

「きもののサイズを表すものとしては、…特に重要なものとして、裄、丈、幅があります。
裄(ゆき)というのは、首の下の背中の中心から手の先までの長さ(つまり、「手を水平に伸ばした時の長さ」割る『2』にほぼ等しい)。丈(たけ)と言うのはその名の通り、きものの縦の長さです。
幅というのは、…前幅、後幅、おくみ幅と分かれますが、普通は 全て足した物を言うことが多いようです。」

とある。

「丈」は,『語源辞典』によると,

「身の丈などのタケも,タカ(高・竹)と同じ語源」

とあり,

「長く(タク)は,高さがいっぱいになることの意で使います。時間的にいっぱいになる意のタケナワも,根元は同じではないかと思います。春がタケルも,同じです。わざ,技量などいっぱいになる意で,剣道にタケルなどともいいます。」

とある。『広辞苑』にも,「たけ」は,

丈,
長,

の字を当て,

「動詞「たく(長く)」と同源」と載る。『大言海』には,

「高背(タカセ)の約。長(タケ)の義」

とあり,意味は,

上に長きこと,立てる高さ,
転じて,長さ,
十分の程,あるかぎり(あるたけ),

と意味の変化が載る。

ある意味で,裄丈は,

天地左右の寸法,

といっていい。文字通り,メタファとしての意味だが。念のため,漢字に当たると,

「裄」の字は,

「衣+行」

で,どうやら,「ゆき」の採寸法自体が,中国由来だと知れる。

「丈」の字は,

「手の親指と他の四指とを左右に開き,手尺で長さをはかることを示した形の上に+が加わったのがもとの形。手尺の一幅は一尺とあらわし,十尺はつまり一丈を示す。長い長さの意を含む。」

どうやら,採寸方法だけでなく,長さの単位まで輸入物らしい。

参考文献;
http://kimonoo.net/yukitake.html
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

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