2016年12月01日


「月(つき)」は,『古語辞典』に,

「古形ツクの転」

とある。語源は,三説ある。

説1は,「毎月,光が尽きる」の尽きが語源,
説2は,「日につぐ明るさ」の次ぎが語源,
説3は,「トキ(時)」と同じ語源。満ち欠けが月という「単位時間」を表すツキ,

である。しかし,「とき(時)」の語源は,三説あり,

説1は,「月の音韻変化」説。月の満ち欠けによって,時の動きを示すという説,
説2は,「解ける・溶けるのトキ」語源説。溶けていく過程に時間の移り行きを示すという説,
説3は,「疾き」説。早く過ぎ去るを示すトキ(疾き)で,時間の進行を示すという説,

「とき」の説1が,「つき」の説3と同じ説ということになる。

『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/tu/tsuki.html

は,

「太陽に次いで光り輝くことから「つぎ・つく(次)』の意味とする説や、月に一度輝きが 尽きるところから『つき(尽き)」とする説がある。 月は信仰の対象で、特に満月が信仰 されていたことから、『尽き』の説は考え難い。 語源は未詳であるが、古くから太陽と対をなすものとされており、夜に光輝き、生活面にも影響があったことから、『つぎ・つく(次)』の説が有力である。』

としている。

http://www12.plala.or.jp/m-light/Derivation.htm

も,「月の語源」を,

「『つき』の語源については、明るさが太陽の次ぎだから『次(つぎ)』の意味とする説や、月は一ヶ月に一度欠けて無くなってしまう事から、光が『尽きる』と言う意味の語源説があります。ウサギが餅をついているという語源説もあります。『ゲツ』の方は月が満ち欠けする『闕(ケツ)』(欠けるの意味)から来ています。」

『大言海』も,

「次の義。光彩,日に亞(つ)ぐの意」

と,「次ぎ」説を取る。「ゲツ」については,

「年月の月に云ふ,下に,熟語としてのみ用ゐる」

と述べるにとどまるが,『語源辞典』に,

ゲツの音は,満ち欠けの「「闕(欠)」からとしていが,『漢和辞典』では,

「げつ」

の訓みは,我が国のみというのも傍証になる。漢音で,「ガツ(グワツ),呉音で「ゴチ」なので,訛ったものだろう。

「月」の字は,象形文字で,

「三日月を描いたもので,まるく抉ったように中が欠けていく月」

という。

では,「ひ(日)」はというと,『語源辞典』には,「ヒ」を突き詰めると,

「ピカピカのピ。古代音ピィが,フィ,ヒと変化した語」

とある。さらに,

「ヒナタは,『日・太陽+ナ(の)+タ(方角)』で,太陽の当たる側です。転じて,日の出から日没までの間を意味します。」

ともある。

『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/hi/hi_day.html

には,

「元々『太陽』を指し、太陽が昇り沈むことから『一日』も表すようになった言葉である。『太陽』は燃え盛っているもので、『名義抄』には『日、陽、火 ヒ』とあるので、『火』もしくは『火』と同源と考えることができる。しかし上代特殊仮名遣いで、『日』の『ひ』は『甲類』、『火』の『ひ』は『乙類』であることから、『火』の『ひ』は別語で語源は未詳である。漢字の日は、太陽を描いたもので、『にち』と読むのは呉音、『じつ』と読むのは漢音である。」

とある。『古語辞典』にも,「ひ(火)」の項に,

「古形はホ。ヒ(日)とは別語。」

とある。「日」の字は,象形文字,

「太陽の姿を描いたもの」

というが,別に,

「○+黒点(、)」

とするものもある。「陽」の字は,

「昜(ヨウ)は,太陽が輝いて高く上がるさまを示す会意文字。陽は『阜(おか)+音符昜』で,明るい,はっきりしたの意を含む」

とある。だから,

日の当たる丘,
とか
山の南側,

の意がある。漢字の「月」と「日」の成り立ちについては,

http://japanknowledge.com/articles/kanji/column_jitsu_01.html

に詳しい。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)


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