瓔珞は,もともとは,
「インドの貴族男女が珠玉や貴金属に糸を通してつくった装身具。頭・首・胸にかける」
ものであったが,それが,
「仏像の装飾ともなった」
とあり(『広辞苑』),
瑤珞,
とも当てる。それが,
「仏像の天蓋,また建築物の破風などにつける垂飾」
へと,意味の適用が広がったもののようだ。仏壇・仏具の検索サイト,
http://www.e-butsudan.com/02_youraku.html
では,
「サンスクリット語で『真珠の首飾り』という意味の『ムクターハーラ』を語源とする瓔珞は、仏像、寺院、お仏壇を飾る荘厳具です。瓔珞の漢字は『瓔』=『珠のような石・首飾り』を、『珞』=「まとう」という意味が込められており、金色の美しい装飾には宝石が編みこまれたものもあります。基本的には一対、もしくはそれ以上の数を用いてお仏壇の内部をきらびやかに装飾します。蓮の花をモチーフに表現したものが多いのですが、密教系の仏像には髑髏や蛇を象った瓔珞もいくつか見つかっています。」
と説明している。さらに,仏像の装飾について,
「菩薩像を見てみると、首や胸部の周囲に美しい瓔珞を身に着けていることがわかります。菩薩は悟りを開く前の王族であった釈迦の姿を表現していることから、王族のみが許された装身具をつけた像で描かれています。それに対して王位を捨て、幾多の修行の後に悟りを開いて如来となった釈迦は一切の装身具を持たず、『衲衣』と呼ばれる一枚の衣をまとった裸に近い姿であらわされています。」
と書く。衲衣(のうえ)とは,
「仏教の出家修行者が着用する衣服のこと。人々の捨てた布を拾って,洗い,縫合せたりして着用したのでこのようにいい,また糞掃衣 (ふんぞうえ) などとも称する。」(『ブリタニカ国際大百科事典』)
で,
人が捨てたぼろを縫って作った袈裟,
である。
「これを着ることを十二頭陀(ずだ)行の一つとしたが、中国に至って華美となり、日本では綾・錦・金襴などを用いた七条袈裟をいう。衲袈裟(のうげさ)。」(『デジタル大辞泉』)
と本末転倒となっている。
『大言海』は。「やうらく(瓔珞)」の項で,
「西域記,二『首冠華鬘 身佩籠絡』頭にあるを瓔と云ひ,身に在る珞と云ふと」
と引用している。
「仏具の一種で、纓珞、纓絡とも書く。梵語(ぼんご)ムクタハーラmukthra、ハーラhra、ケユーラkeyraの訳。古代インドの貴族の装身具として用いられ、とくに首や胸を中心に、真珠・玉(ぎょく)・金属などを紐(ひも)に通したり、つないだりして飾った。仏教では仏像、とくに菩薩(ぼさつ)像などを荘厳(しょうごん)する飾り具として用い、また浄土では木の上からこれが垂れ下がっているといわれているため、日本の寺院では宝華形をつないで垂下させたものを寺堂内陣の装飾に用い、これも瓔珞という。」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』)
という説明で尽きるだろう。いわば,インドの上流層の風習が仏具に反映しているということになる。
漢字の「瓔」の字は,
「玉+音符嬰(エイ)(貝を並べた首飾り)」
でなり,玉をつらねてつくった首飾りの意味になる。「珞」の字は,
「玉+音符絡(つなぐ)の略体」
であり,つないだ玉,という意味になる。だから,瓔珞で,
玉をつないだ首飾り,
となる。
瓔珞については,
http://tobifudo.jp/newmon/butugu/yoraku.html
に詳しい。そこには,
「お経には、咽瓔珞、手瓔珞、臂瓔珞、脚瓔珞と詳細に名前が挙げられています。臂(ひ)は二の腕のことです。ネックレスからアンクレットまで、身に着ける装飾品はすべて瓔珞の範ちゅうとなります。」
「インドでは上流階級の人々は、男女ともに宝石などをちりばめた装飾品を身に着けました。時代によっては、男性のほうが女性よりも積極的に身に着けていました。宝飾品を身に着けることは、力の証でもあったのです。」
とある。宗派によって違うのだろうが,真宗大谷派の我が家の小さな仏壇にもキラキラとして瓔珞がぶらさがっている。背景を考えると不思議な気がしてくる。
参考文献;
http://tobifudo.jp/newmon/butugu/yoraku.html
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%93%94%E7%8F%9E
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
ラベル:瓔珞