2017年01月05日

そそっかしい


「おっちょこちょい」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/445524884.html?1483475336

で触れた。類義語に,

そそっかしい,

がある。『広辞苑』には,

「『そそかし』から」

と注記し,

程度や性質などがおちつきがない,
粗忽である,

と載る。他の辞書(『デジタル大辞泉』)だと,

落ち着きがなくあわて者である,
不注意で,とかく失敗をしがちである,
軽はずみである,

という意味が加わる。しかし,

あわただしい,

落ち着きがない,

あわて者,

軽はずみ,

は,似ていても意味が少し乖離するのではないか。「あわただしい」からといって,粗忽とは言えない。粗忽だからといって,あわて者とは限らない。『類語例解辞典』は,

慌て者(あわてもの),

おっちょこちょい,

そそっかしい ,

を対比して,

「慌て者」は、すぐ慌てる人、よく考えもせずにすぐうろたえる人。
「おっちょこちょい」は、深く考えずに軽率に物事をするさま。また、そういう人。
「そそっかしい」は、態度や行動に落ち着きがないさま。軽率で不注意なさま。

と整理して,

「慌て者」 私は慌て者で失敗ばかりしている,
「おっちょこちょい」 約束の時間を聞き違えるとはおっちょこちょいだね,
「そそっかしい」 靴を間違えるようなそそっかしい人

と,使い分けて見せている。粗忽だから,あわてることになり,軽はずみなことをしかねない,という因果で結んだとこだろうか。しかし,現象としての,

あわてる,

という状態表現と,

おっちょこちょい,
粗忽もの,

という価値表現とは,一定の乖離がある。しかし,

そそっかしい,

には,その両義が含まれているらしい。手元の『語源辞典』は,

「ソソク(事を急ぐ)の形容詞,ソソカシの変化」

とし,「そそくさい」も,

「ソソ(急ぐ)+クサイ」

で,同源とする。「そそくさ」という言葉があるが,これも,

「ソソ(そわそわ)+クサ(落ち着かぬさま)」

としている。「そそくさ」は,一見,擬態語に見えるが,

「せわしなくする意を表す古語の『そそく』『そそくる』と関連する」

と,『擬音語・擬態語辞典』には載る。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/so/sosokkashii.html

も,

「そそっかしいは、『そそかし(い)』を促音化し、強調した語である。『そそかシ』は、『取り急ぎ事をする』という意味の自動四段動詞『そそく』が形容詞化した語で、『そそく』は 、『慌てる』『そわそわする』という意味の自動四段動詞『いすすく』に由来する。 そそっかしいは落ち着きないさまが本来の意味であるが、そこから発展し、『不注意だ』『軽率だ』という意味も含まれるようになった。
 古くは、そそっかしいと同系列の形容詞『そそこし』『そそかはし』などがあった。」

とするし,『由来・語源辞典』

http://yain.jp/i/%E3%81%9D%E3%81%9D%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%84

も,

「『せわしく何かする』を意味する四段動詞『そそく』の形容詞『そそかし』が変化したもの。本来はせかせかと落ち着きのないさまを表したが、そこから発展して『不注意だ・軽率だ』という意味も示すようになった。」

とある。『大言海』に,「そそく」について,

「ソソクは,噪急(そそ)くの義。イススクの上略転」

としている。『古語辞典』は,「そそき」に,

噪き,

を当て,

「ソソは擬態語。そわそわ・せかせか・ざわざわなどの意。キは擬音語・擬態語を受けて,動詞を作る接尾語。カカヤキ(輝)・ワナナキ(震)のキと同じ。ソソキ(注・灌)とは別音の別語。」

としている。どうやら,擬態語,

ソソ,

から,

ソソキ,

が生まれ,

そそっかしいとなったものらしい。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
posted by Toshi at 05:14| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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