2017年01月10日


接頭語の「小(こ)」は,

「体言・形容詞などの上に付く」

が,意味は幅広く,

物の形・数量の小さい意(「小舟」「小島」「小人数」等々),
事物の程度の少ない意(「小雨」「小太り」等々)
年が若い意(「小犬」「小童」等々),
数量が足りないが,ややそれに近い意(「小一里」「小一時間」等々),
半分の意か(「小なから」「小半金」等々」),
いうにいわれない,何となくの意,またその状態表現を憎む意(「小ぎれい」「小憎らしい」「小汚い」等々),
軽んじ,あなどる意(「こざかしい」「小わっぱ」等々)
(体の部分を表す語について)その動作を軽く言う意(「小耳」「小腹」「小腰」等々),
語調を整える意(「夕焼け小焼け」「大さむ小さむ」等々),

等々がある(『広辞苑』)。また,「小」は,「お」と訓ます場合もあり,その場合は,

細かい,小さい意(「小川」),
物事を親しんでいう意(「小里」「小琴」),
少し,いささかの意(「小暗い」「小止みなく」),

となるし(『広辞苑』),さらに,「しょう」と訓む場合も,

ちいさいこと,僅かなことの意(「最小」「小事」「小心」「小計」),
おさないことの意(「小児)),
劣ったことの意(「小人物」「小才」),
自分を謙遜して言う意(「小生」「小社」),
同名のものを区別するため下位または二次的な方に添える(「小楠公」「小西郷」),

等々とある。さらに,これは当て字だが,「さ」と訓む場合,

小百合,
小夜,

等々と「小」を当てる。ただこの場合,『古語辞典』は,「語義不詳」としているし,『大言海』も,

「小夜(さよ),狭衣(さごろも)狭山(さやま)などと書けども,借字(あてじ)にて,ちいさき意はなし。狭き意にもあらず」

としているので,「小」の意味の流れではなさそうに見えるが,たとえば,「狭山」について,『語源辞典』は,

「さ(小・狭)+山」

としているし,「小百合」について,『日本語の語源』は,

「チヒサナユリ(小さな百合)の極端な省略形がサユリ(小百合)・サユル(上代東国方言)である。」

としているので,「さ」も「小」を当てるには,本来は,意味があったのであろう。

いずれにしても,「こ」「お」「しょう」と訓み方は変わっても,この意味の変化は,「小さい」「少ない」という,

状態表現,

が,そのことに価値表現を含めて,貶めたり,蔑んだり,逆にみずからを謙ったり,という価値を加味したも

価値表現,

へと変ったというのは,一貫している。

漢字「小」の字は,「ショウ」と訓み,

https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%B0%8F

小の甲骨文字.png


によると,象形文字で,

低いところに手がある人をあらわす,

とあるが,『漢字源』は,

「中心の丨線の両わきに点々をつけ,棒を削って小さく細く削ぐさまを描いたもの」

とする。漢字自体に,ちいさい(「大小」「微小」),細かい(「細小」),すこし(「小憩」),狭い(「狭小」),ちいさい,つまらないものとして軽んずる(「小視」「卑小」),幼い(「小人」),自分を謙遜する(「小店」),という意味があり,漢字「小」の輸入によって始まった言葉だと知れる。ただ,

「お」と訓む(「小川」),
「こ」と訓む(「小雨」「小一時間」),

使い方は,我が国だけの訓み方,使い方となるらしい。しかし,

小股,
だの,
小賢しい,
だの,
小細工,
だの,
小回り,
だの,
小耳,
だの,
小雨,
だの,
小降り,
だの,

「こ」と訓ませる言葉の方が,これを「しょう」と訓ませるよりも,たとえば,「小才」を,

しょうさい,

と訓むより,

こさい,

と訓む方が,「しょう」では,「商才」か「小才」か区別がつきにくいいという,日本語特有の文脈依存性による読み分け(「市立」を「いちりつ」と訓むように),ということもあるが,生活に根付く中で音韻変化させたもので,生活感があり,生き生きしていると感じるのは,身びいきか。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)


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