2017年01月17日

見目


「見目」は,

目に見える様子,見た感じ,

で,

眉目,

と当てると,

顔立ち,容貌,

という意味になる。ここまでは,一応状態表現に留まる。含意として,好い,という意味がありそうに感じるし,現に,『大言海』は,

女の顔の美(よ)きもの,又人の顔貌の目にみる所。きりょう,まみ,びもく,容姿(カホ)

という意味が載るが,しかし,「器量よし」の場合,

見目好し,

という言い方をし,反対を,

見目悪(わる・あ)し,

という言い方をするので,一応ニュートラルな状態表現としていいが,この「見た感じ」を「好い方」にシフトさせた価値表現になって,

名誉や,誉れ,面目,

と意味が広がる,とみていい。語源は,

「見+目」

で,

「見た感じです。顔立ちのことで,眉目と書きます。容貌,体面,名誉の意を表します。」

とある。類語に,

見場,
見栄え,

というのがある。見場は,

見端,

とも当て,

外から見たさま,外観,見かけ,

という意味で,あくまで状態表現である。「見栄え」は,

見映え,

とも当て,

外から見て立派なこと,

と,「見場」に「好い」という価値を加えた言い方になる。語源は,

「見+映え」

で,

見た感じか映えること,見かけの良いこと,

という意味になる。

実は,「見え(見ゆ)」という言葉(動詞)は,『古語辞典』によると,

「見るという動作が,意志によらずに,自然の成り行きとして成立する意。動作の成立する場所が話し手の相手であるときは,話し手が見せる意となって,話し手の意思となる。」

とあり,主体側から,見える,というだけでなく,

見られる(顧みられる),
見た目に~の様子である,

という意味を持ち,名詞化した「見え」は,そこから,

人目に見える,

という意味から,

(「見栄」と当てる)他人にを意識し,自分をよく見せようとすること,体裁をつくろうこと,
(「見得」と当てる)芝居で,役者が,動作または感情の頂点に達したことをしめすために,ことさら目立つ演技をすること,

というふうに意味が広がる。『大言海』は,その「見え」について,

「見ゆる状,外目(よそめ)の飾り。うわべを飾ること」

とある。その意味で,「見栄え」は,

「見え(見栄)」

を読み替えただけということになる。「見る」の語源は,

「目+入るの音韻変化」
「目+射るの音韻変化」
「メ(目)+ルの転(メはマ(目)の転)」
「ミ(真・精)+る」

等々があるが,『大言海』は,

「目射るの義,目を転じて活用す。手(テ),とる,名(ナ)る,告(ソ)るの類」

としている。

面白いことに,文脈依存だから,「見る」は同時に「見られる」でもあることを意識していたらしいのである。それが,

見栄,

に,見られることを意識した含意を広げて,

見映え,

と転じていく。「見る」こと自体に,見られることを意識させることを自覚していた,ということになる。

参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;
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今日のアイデア;
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posted by Toshi at 05:15| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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