2017年02月15日

ばつ


「ばつ」は,

ばつが悪い,

ばつを合わせる,

の「ばつ」である。『広辞苑』には,

「場都合略という」

とある。「ばつが悪い」は,

その場の成り行き上,きまりが悪い,具合が悪く恥ずかしい,

という意味が載り,「ばつを合わせる」は,

調子を合わせる,話の辻褄を合わせる,

という意味になる。『語源辞典』には,二説載る。

説1は,「場+都合」で,その場の調子具合が悪い,意。

「この説が有力ですが,都合をツと約す例は,こじつけのように思います。」

と『語源辞典』は言う。

説2は,「跋(つまずく,ころぶ)」で,中国の詩経にある語。

「語源が忘れられ,日常語になった語のように思います。老いた狼が,進めば胡(顎の下のたれ肉)を踏み,退けば尾につまずくと,進退に窮する意です。」

として,「跋」説が,

ばつ(つじつま)を合わせる,
ばつが悪い(きまりが悪い),

の二例とも,「跋を語源として合理性がある。」と,している。「跋胡」という言葉自体が,

進退に窮する,

意で,上記は,

狼跋其胡,載疐其尾,

で,

「老狼に胡あり,進めば則ち其の胡を躐(ふ)み,退けば則ち其の尾に跲(つまず)く,よりて進退自由を得ざるに踰ふ」

と。『大言海』は,

場都合の略,

として,

「其の場の都合を,程よく取りつくろふこと,又,工合,調子」

とする。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ha/batsugawarui.html

も,

「『ばつ』はその場の具合や調子を意味し,『話の辻褄を合わせる』『調子を合わせる』の意味で,『ばつを合わせる』とも用いられる語である。
 『ばつ』の語源には『跋』の意味からとする説と,『場都合』の略とする説がある。『跋』は書物の後書きや結びを意味する語で,これらの意味から『具合』や『調子』の意味が派生することは,強引ではあるが考えられなくもない。しかし,単に具合や調子を意味しているのではなく,『その場』という時間的な要素を多く含んだ言葉であるため,『場都合』の略説が有力と考えられる。」

としている。『江戸語大辞典』は,

跋か,一説に場都合の略とも,

と載せ,

工合,都合,調子,また,結末,つじつま,

の意味を載せ,

「ばつを付ける」

のみ載せ,

結末を付ける,

という意味とする。

「貴君(あなた)の御料簡で,ばつは何様(どう)お付けなさる積りです」(安政成・春色玉襷)

の例を見る限り,



が有効に見える。「場都合」では,

つじつま,
結末,

の意味が出にくい。

帳尻を合わせる,
平仄を合わせる,

と類語なのではないか。「跋」の字は,

「犮(ハツ)は,犬の後足に/印をつけて,犬が足を跳ね上げることを示す指事文字。ものをはねのけて,二つにわけるという基本義を持つ。跋はそれを音符とし,足を加えた字で,草をふみわけ,はねのけて進むこと。足を跳ね上げることから,ふみにじる,乱暴にふるまうの意を生じた。」

とある。なお,「ばつをあわせる」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/416843124.html

で触れた。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
簡野道明『字源』(角川書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
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