2017年04月16日
はな
「はな」は,
花,
華,
と当てる。漢字「花」(漢音カ(クワ),呉音ケ)は,
「化(カ)は,たった人がすわった姿に変化したことを表す会意文字。花は『艸(植物)+音符化』で,つぼみが開き,咲いて散るというように,姿を著しくかえる植物の部分」
とある。漢字「華」(漢音カ(クワ),呉音ゲ(ケ))は,
「于(ウ)は,|線が=線につかえてまるくまがったさま。それに植物の葉の垂れた形の垂を加えたのが華の原字。『艸+垂(たれる)+音符于』で,くぼんでまるくまがるの意を含む」
とある。「はな」という和語だけでは,
花,
なのか,
鼻,
なのか,
端,
なのか,
の区別はつかないが,つかなくて支障はなかった。文字をもたないのだから。『語源由来辞典』
http://gogen-allguide.com/ha/hana.html
は,
「花の語源は、美しく目を引くことから物の突き出た先の部分を意味する『端(はな)』とする 説、開く意味の『放つ』の『はな』とする説、『葉』に接尾辞の『な』が付いたとする説、『早生 (はやくなる)』の意味、『春成(はるなる)』の意味など諸説ある。 植物学的に花は葉と茎の変形したものであり、特に目を引くのが葉の変形した花びらであることから、『葉』に接尾辞の『な』が付いたとする説が有力と思われ、これに『はな(端)』の意味が加わっていることも考えられる。平安初期まで花は主に梅の花を言い、平安時代後期から桜の花を言うようになり、以降、日本を代表する花は桜となっている
漢字の『花』は、つぼみが開き咲いて散るという、植物の部分の中でも著しく姿を変える部分であることを表して、草冠に化けると書く。漢字の『華』は芯がくぼんで丸まった花を表したもので、元は別字であったものが混同され、花と同様の意味で用いられるようになった。『豪華』や『華がある』など、『花のような』といった形容詞的な意味を含んで用いられることが多くなったことから、現在では漢字を使い分けするとすれば、『花』を植物に対して用い、『華』を形容詞的に用いるのが一般的となっている。」
と,
「『葉』に接尾辞の『な』が付いたとする説が有力」
とする。しかし「は」といっても,
葉,
だけとは限らない,
端,
もあるし,
羽,
もあるし,
刃,
もあるし,
歯,
もある。「葉」「歯」「羽」は,ともに,
ヒラ(平),
と関わるとする説がある。擬態語,
ひらひら,
とつながるのではないか,という気がする。つまり「は」=葉という前提で解釈するのはいかがかと思う。『大言海』は,「はな(花)」について,
「端(はな)の義。著しく現れ目立つの意」
とする。そして,「はな(鼻)」も,
「端(はな)の義」
とし,「はな(端)」つにいて,
初,
とも当て,「物事の最も先なるところ。まっさき。はじめ」と意を載せる。『古語辞典』も,「鼻」と「端」を同源としている。
『日本語源広辞典』は,「はな(花・華)」について,二説挙げている。
説1は,「著しく目立つの意のハナ」です。端・鼻と,同じ語源という説が有力です。
説2は,ハ(映)+ナ(和・心慰むもの)」説です。
とし,「はな(鼻・端)」は,ともに,
「著しく目立つ意の,ハナ」
で,顔の真ん中で著しく目立つ,ところからとする。それが転じて先端の意となる,とする。『日本語源大辞典』でも,「はな(端)」が,
鼻の義(言元梯),
とされるほど,端と鼻は,ほぼ同源とされている。で,「はな(花)」の項を見ると,
著しく現れ目立つ意で,ハナ(端)の義,
とするほかに,
根元でなく上に咲くものであるところから,ハシニナルの義(日本声母伝),
実に先立ち早く咲くところから,ハヤクナル(早生)の義(日本釈名),
ヒラヌサ(平幣)の反。ヒラはハラビラの義。ヌサは神に手向ける幣の義(名語記),
ハルナル(春化)の義(和訓栞・言葉の根しらべ),
映々として和やかな貌であるところから(日本語源),
ハナヤカの略か(滑稽雑談),
ヒラナリ(平生)の義か(名言通),
ハッと開いてナヨナヨとやさしい意(本朝辞源),
ホナ(秀名)の義(言元梯),
花が開くの意のハナツ(放)からか(日本釈名・国語の語幹とその分類),
ハ(葉・端)の異形で,ハ(葉)に接尾語ナが付いた形(語源辞典),
等々あるが,鼻→端→花,の流れを超えるとは思えない。
参考文献;
http://kanji-roots.blogspot.jp/2012/10/blog-post_26.html
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
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