2017年04月18日


「は」は,

端,
羽,
刃,
歯,
葉,

と漢字に当ててみなければ,それだけでは(文脈においてみないと)意味を聞き分けられない。「はな」

http://ppnetwork.seesaa.net/article/449051395.html

の項で少し触れたが,「葉」「歯」「羽」は,ともに,

ヒラ(平),

と関わるとする説がある。擬態語,

ひらひら,

とつながるのではないか,という気がする。順次見ていくが,『大言海』は,「歯」は,

「平(ヒラ)の約。端の義」

とあり,「羽」は,

「平(ヒラ)の約。扇(はふ)る意」

とし,「葉」は,

「平(ヒラ)の約」

「刃」は,

「歯の義」

とする(『広辞苑』もそれを取る)。そして「端」は二項立て,一つは,

「邊(ヘ)に通ず」

として,「はた,はな,へり,つま」の意を載せ,いまひとつは,

「或いは云ふ。半(は)の音かと」

として,「はした,はんぱ」の意を載せる。どうやら,

「刃」と「歯」
「葉」と「歯」

とが関わるように見える。そして,

「端」

の翳がどの言葉にも見え隠れする。

葉.jpg


『日本語源広辞典』は,「刃」について,二説挙げる。

説1,「薄く平らな,切り離すもの」が,ハで,「葉」と同源。
説2,「噛み切るところから,歯と語源が同じ」

にわかれる。「刃」は,「葉」にも「歯」にもつながる。『日本語源大辞典』は,

物を断つところから,ハ(歯)の義(名言通・和訓栞・言葉の根しらべ),
ハ(端)の義(国語の語幹とその分類),

とする。さらに,「端」にもつながる。

「歯」については,『日本語源広辞典』は,

「『口にくわえるものが,ハ』で,ハ(喰)む,口にハさむのハです。散り落ちる歯と抜け落ちる歯とを同一語源た゜とする説は,信を置くことがでくません。」

とする。『日本語の語源』も,

「ハム(食む)の語幹が独立した語」

と見なす。『日本語源大辞典』は,

ヒラ(平)の義(名言通・国語本義・名語記・大言海),
ハ(葉)の義。抜け落ちる様子が,秋の落葉に似るところからか(和句解・玄同放言・言葉の根しらべ),
ハ(端)の義(国語の語幹とその分類・日本語源),
ハ(刃)の義(言元梯),
ハム(喰)の義(日本語原学),

と,「刃」とも「端」とも「葉」ともつながる。

「葉」は,『日本語源広辞典』は,

「見た感じの『ひらひら』もしくは『はらはら』が語源にかかわっている」

と見なす。『日本語源大辞典』は,

薄くたいらであるところから,ヒラ(平)の反(名語記・国語本義・和訓栞・言葉の根しらべ・国語の語幹とその分類),
落ちて再び生ずるところから,ハ(歯)にたとえたもの(九桂草堂随筆)
ヒラヒラしているところから,ヒラの義(名言通・日本語原学),
ハラハラしているところから(日本語源),

と,「歯」と「ひら」「はら」という擬態語と関わらせる。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ha/ha_syokubutsu.html

は,

「薄く平たいことから『ヒラ(平)』、ヒラヒラしていることから『ヒラ』、ハラハラしていることから『ハラ』、落ちて再び生ずることから『歯』に喩えたものなど諸説ある。 一音の語の 語源を特定することは難しいが、枝や茎から出る『葉』と歯茎から出る『歯』は類似して おり、関係があると思われる。ただし語源が『歯』という訳ではなく、『歯』と同源であろう。『は』の音には、『生じるもの』の意があり、『は(生)ゆ』の『は』ではないだろうか。」

と,「はゆ(生)」説をとる。僭越ながら,逆に思われる。「葉」や「歯」が認識されて初めて,「は(生)ゆ」が意識される。むしろ,「は(生)ゆ」は「歯」「葉」の動詞化という方がいいのではないか。そう思って「はゆ」を調べると,『大言海』には,

「延(は)ふに通ず」

とある(『古語辞典』には「ハヤシ(林)・ハヤシ(早・速)の語根ハヤを活用させた語。物が勢いを得る意」)。百歩譲っても,「芽」ならわからないでもないが,「葉」では,「はゆ」は,異和感がある。

「羽」は,

「ヒラヒラしたもの。『ヒラ』の変化」

と,『日本語源広辞典』にある。『日本語源大辞典』は,

ヒラ(平)の約(名語記・大言海・国語の語幹とその分類),
ヒラケ(平気)の下約(日本語原学),
ハル(張)の義(名言通),
ハル(発)の義(言葉の根しらべ),
ハ(葉)の義(言元梯),
フワフワしているところから(国語溯原),

と,載せる。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ha/hane.html

は,

「羽の語源には、『ハヤノヘ(速延)』の反や、跳ねるところからとする説もあるが、漢字で『羽根』とも表記するように、『ハネ』は『ハ』という不安定な一音節を避けるため、接尾語『ネ』を付けたものである。『ハ』の語源には、『ヒラ(平)』『ハル(張・発)』『ハ(葉)』などの意味とする説があり、一音節からなる言葉の由来を特定する事は難しいが,広がりのあるものを表す語には『h』の音で始まる語が多く、擬態語に似た表現が元になっていると考えられる。」

とする。「広がりのあるものを表す語には『h』の音で始まる」は,「葉」「歯」「刃」「羽」「端」すべてに当てはまるので意味がない。しかし,『大言海』が,

「刃」と「歯」
「葉」と「歯」

と語源を大まかに分けたのが近いのではないか。そして,億説だが,「端」が共通の語源であるように思える。『日本語源広辞典』は,

「ハシ,ハタ,ハシタと同言語」

とする。『日本語源大辞典』は,

ハシの義(和訓栞),
ヘ(辺)と同源(古代日本語文法の成立の研究),
ハタ(端)の反(名語記),
撥ねる音パチパチから出た語。撥ねて距離を生じる意から(国語の語幹とその分類),

とする。「端」も,擬態語ではないか,という気がしてならない。考えられるのは,

ひらひら,

である。「ひらひら」は,

薄い物やちいさい物が翻るように面を変えながら空中を漂う様子,

の意である。「ひらめく」「ひらめかす」等々は,「ひらひら」から派生した語である。「ひらめく」は,

きらめく,

意であり,

ひらひらとする,

意である。いずれも,「葉」「歯」「刃」「羽」「端」に通じる。

参考文献;
山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%89

ホームページ;
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posted by Toshi at 06:05| Comment(0) | 古代史 | 更新情報をチェックする
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