2017年04月19日

二の足


「二の足」は,

にばん目の足の意,

つまり,

足の歩みの二歩目,

で,

二の足を踏む,

という言い回しで,

しり込みする,ためらう,

という意で使うが,「二の足」には,

太刀の鞘の拵えのうち,鞘尻の方に近い足,

を指すと,『広辞苑』にある。これだと意味がよく伝わらない。『デジタル大辞泉』には,

太刀(たち)の鞘(さや)の上部にある、帯取りの革緒(かわお)を通す一対の金具。足金(あしがね)。足,

とある。

太刀拵え.gif


http://www.touken.or.jp/syurui/tosogu.html

の「太刀拵の名称」を見ると,よくわかるが,佩刀として腰に差すのではなく帯びる(ぶら下げる)ために,

「佩用のための足金物(あしがなもの)で,を2ヵ所に配置したものもある。足金物の位置は,1個を鞘口筒金の後縁に,他の1個を中間筒金の前縁に接しておくものが多い。」(『世界大百科事典』)

という,その「帯取りの革緒(かわお)を通す一対の金具」の後ろ側,ということになる。これはも「足」の一足,二足から準えた物だろう。

閑話休題。

で,「二の足」である。『古語辞典』には,「二の足を踏む」に,

足を踏み出すのをためらう,

とある。普通,一歩踏み出せば,自然と二歩目はでる。それを二歩目を意識するということは,その二歩目に自分にとって大いに意味がある,大袈裟に言えば,一つの決断をしたことになるから,であると考えられる。それをためらう,その次の一歩の踏み出しを意識せざるを得ないほど,思い煩う,ということになる。それは,確かに逡巡には違いないが,外目はともかく,一歩の踏み出しをスローモーションのように意識する,というときは確かにある。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ni/ninoashi.html

は,

「二の足を踏むの『二の足』とは,二歩目を意味する。一歩目を踏み出し,二歩目を踏み出すのに思い悩んで足踏みすることから,物事を進めるのに思い切ってできないことの喩えとして使われるようになった。」

とある。『由来・語源辞典』

http://yain.jp/i/%E4%BA%8C%E3%81%AE%E8%B6%B3%E3%82%92%E8%B8%8F%E3%82%80

にも,

「『二の足』とは、歩き出して二歩目のこと。つまり『二の足を踏む』とは、一歩踏み出して、二歩目はどうしようかとためらってその場で足踏みしてしまうこと。そこから、思い切って行動することができないの意を表すようになった。」

とある。『日本語源広辞典』は,

「一歩踏み出し,二歩目はタメラウ(躊躇う)」

意とする。その通りだろうが,実に上手い喩えに想える。「踏む」は,

地を踏む,

の意から,「歩く」意である(『広辞苑』)。この場合,「二の足を踏む」は,

二歩目を歩く,

と言っているにすぎない。その限りでは,単なる状態表現に過ぎない。しかし,その状態に意味を見つけたとするなら,「二の足を踏む」が,「一歩を踏む」が,

決断をする,

という意であるのに対して,その決断を,さらに,

肯う,

かどうかという意味になるのではあるまいか。それを「ためらう」とは,そこで,

次を踏み惑う,

ということになる。それを,ただ「二歩目を踏む」を,

「二歩目の足を足踏みする意」(『江戸語大辞典』)

と,裏がえした言い回しは,なかなかおしゃれである。ちなみに,「二度足を踏む」という言い回しについて,調べたものが,

http://kimanity.blog53.fc2.com/blog-entry-443.html

にある。

ちなみに役所は午前中休んでいて、二度足を踏むハメに,
不在時に訪問して二度足を踏むのを避けることができます,
あやうく初代女王ニースの二度足を踏む所であった,

等々があった由だが,「二度足を踏む」という言い方が正しいかどうかは知らないが,これは,二度足を運んだ,というような,

二度手間,

の意に他ならない。つまり,

一度ですむところを,さらに手間をかけること,

である。言うまでもないが,「二の舞」は,同じ轍を踏む,という意で,別である。

参考文献;
http://www.touken.or.jp/syurui/tosogu.html
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

【関連する記事】
posted by Toshi at 05:16| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください