2017年04月21日

二の舞


「二の舞」は,

人の後にでてその真似をすること,また,前の人の失敗をすること,

という意味(『広辞苑』)だが,

轍を踏む,
同じ轍を踏む,

という意味で使うことが多い。しかし,どうやら舞楽から来たことらしく,

案摩(あま)の舞に引き続いて,案摩を真似て舞う滑稽な舞い,

のことらしい。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ni/ninomai.html

は,

「蔵面をつけて舞う雅楽のひとつ『安摩(あま)』の答舞に由来する。 安摩の舞の後に、『咲 面(わらいめん)』と『腫面(はれめん)』をつけた二人が、わざと失敗しながら安摩の舞を 真似て演じる滑稽な舞のことを『二の舞』といったことから、人と同じ失敗をもう一度繰り返すことをいうようになった。」

とあるので尽きているかもしれない。『日本語源広辞典』には,

[案摩(長方形の白紙に目鼻口を描いた面をつけた)の舞が一の舞で,赤い恐ろしい面をつけ,一の舞の真似をして,わざと失敗で笑わせるのが,二の舞]

とある。『世界大百科事典 第2版』には,

「雅楽,舞楽の曲名。案摩,阿真とも書く。唐楽。壱越(いちこつ)調。二人舞。文(ぶん)ノ舞(平舞)。陰陽地鎮の曲ともいわれる。番舞(つがいまい)は《蘇利古》。左方襲(かさね)装束(常装束とも)に巻纓(けんえい)・緌(おいかけ)の冠,雑面(ぞうめん)をつけ,右手に笏(しやく)を持って舞う。《安摩》だけ独立して舞われることはほとんどなく,《二ノ舞》と続けて舞われ,《二ノ舞》は《安摩》の答舞の型となっている。」

とある。
案摩.png

(案摩の舞)


『由来・語源辞典』
http://yain.jp/i/%E4%BA%8C%E3%81%AE%E8%88%9E

に,

「麻摩(あま)の舞のあと、咲面(わらいめん)と腫面(はれめん)をつけた舞人二人がこっけいな所作でそれをまねてする舞のこと。そのまねがなかなかうまくいかなくて笑いを誘うことから、人のまねをして失敗する意味に転じたもの。」

というので,「二の舞」の,「轍を踏む」の意味の背景が見えてくる。

「腫面」(はれめん)は,老婆のふくれっ面をかたどった面。

腫面.jpg

(腫面)


「咲面」(えみめん)は,老爺の笑顔をかたどった面。

咲面.jpg

(咲面)


「案摩」の舞の内容,装束については,

http://www.d2.dion.ne.jp/~kaz/gagaku/tougaku/ichi/ichi16.htm

にに詳しいが,その由来を,

「林邑八楽の一つ。沙陀調の楽。昔、ある者が竜宮の宝玉を盗もうと思い竜女が好む雀の面をつけてしのび込み、首尾よく宝玉を盗み出す様を舞いにしたものといわれます。楽は天竺の楽で、承和年間(834~848)に大戸清上が改作したといいます」

としている。『大言海』は,「案摩」の項で,

つがひまひ,
答舞(タフマヒ),

とあるのが,この舞の性格を端的に示している。どうやら,「二の舞」は,マルクスが,『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の冒頭で,

「ヘーゲルはどこかでのべている,すべての世界史的な大事件や大人物はいわば二度あらわれるものだ,と。一度目は悲劇として,二度目は茶番として,と,かれは,つけくわえるのをわすれたのだ。」

と書いていたのを思い起こさせる。二度目は,喜劇。とすると,

同じ轍を踏む,

とは少しそのニュアンスが違い,滑稽感がつきまとうのかもしれない。

なお,舞と踊りについては,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/448651477.html

で触れた。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
http://www.shirokumado.net/Bugakuzu/L/Ichikotsucho/Ama/
http://www.narahaku.go.jp/collection/1100-0.html
http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0022955

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

posted by Toshi at 04:58| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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