2017年04月30日

いたちごっこ


「いたちごっこ」は,本来は,

二人互いに相手の手の甲をつねって自分の手をその上に載せ,「いたちごっこ,ねずみごっこ」と唱え,交互に繰り返す子供の遊び,

とある(『広辞苑』)。それが転じて,

双方が同じことを繰り返すばかりで無益なこと,

の意になった。要は,原意は,

同じことを繰り返して埒の明かない,

という意に準えるような遊びだったということになる。『江戸語大辞典』には,もう少し詳しく,

「甲乙二童が向かい合い,『いたちごっこ,ねずみごっこ』と唱えながら先ず甲童の差し出す左手の甲を乙童が左手でつまみ,その上を甲童が右手でつまめば乙童が同様に右手でつまみ,それを繰り返して手を延ばし切ったところでやめる。『ねずみごっこ,いたちごっこ』また『いたちごっこ』ともいう。文化五年・柳歌留多『いが栗を鼬こっこでつまみあげ 錦鳥』」

とある。これだと,

「手を延ばし切ったところでやめる」

のだから,キリはあることになるが,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%94%E3%81%A3%E3%81%93

には,

「いたちごっこは、江戸時代後期に流行った子供の遊び。」

とあり,

「二人一組となり、『いたちごっこ』『ねずみごっこ』と言いながら相手の手の甲を順につねっていく。両手が塞がったら一番下にある手を上に持っていき、また相手の手の甲をつねるという終わりの無い遊びなので、転じて『埒があかず、きりがない』ことも指すようになった。現在では双方が同じことを繰り返して物事の決着がつかないことをいう。」

これによれば,確かに,飽きるまで,いくらでも続く。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/i/itachigokko.html

によると,

「いたちごっこは、相手の手の甲を交互につまみ、手を 繰り返し重ねていく子供の遊びに由来する。 この遊びは素早くつまみ合うため、イタチや ネズミの素早さと噛み付く様子に似ているから、『いたちごっこ、ねずみごっこ』と唱えられた。」

と,

「素早くつまみ合うため、イタチや ネズミの素早さと噛み付く様子に似ている」

と,遊び名の由来に言及している。『日本大百科全書(ニッポニカ)』には,

「『いたちごっこ・ねずみごっこ』ともいう。AB2人が向かい合って、『いたちごっこ、ねずみごっこ』と唱えながら、Aが右指で自分の左手の甲をつまみ、Bは左手でAの右手の甲を、右手で自分の左手の甲をつまむ。このようにしてかわるがわる次々とつまんでいくことを果てしなく繰り返す遊びを、『いたちごっこ・ねずみごっこ』とよんだ。川柳(せんりゅう)『柳樽(やなぎだる)』に、「いが栗(ぐり)をいたちごっこでつまみあげ」という句がある。遊びと限らず何事でも双方が同じことを繰り返しているのを、いたちごっことよび、いまも日常のことばとして使われている。いまは幼い子供の遊びであるが、同じ遊びを『一がさした、二がさした』と繰り返し、八つ目には『蜂(はち)が刺した』、九つ目には『熊(くま)ん蜂が刺した』といって強くつまんで終わる遊びがある。」

とある。いずれにしても,いまは絶えているようだ。

「いたちごっこ」の「ごっこ」は,

ある物事のまねをする遊戯,

を指す(『広辞苑』)。たとえば,電車ごっこ,鬼ごっこ。

『日本語源広辞典』には,

「ごと」の音韻変化,

とあり,方言に,

goto,goku,gokko,

の変化がみられる,とする。『大言海』は,

「カケックラ(驅競)の語原を見よ」

とあり,「かけっくら(驅競)」には,

「カケクラベの略轉。約めて,カケッコとも云ふ。にらめっくら,にらめっこ。遣りっくら,やりっこ。皆同じ。相競ひてすることなり。轉じて,互いにすることの意となり,相子(あひこ),出しっこ(だしあひ),代わりごっこ,鬼ごっこ,いたちごっこ,などと云ふ」

と,どうやら,「ごっこ」は,競うところからきたものらしい。

https://www.fleapedia.com/%E4%BA%94%E5%8D%81%E9%9F%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/%E3%81%93/%E3%81%94%E3%81%A3%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AF-%E6%84%8F%E5%91%B3/

にも,

「ごっこは、子どもの遊びを言い表すさいに、『鬼ごっこ』『チャンバラごっこ』などと接尾語として用いる。もとは、『せいくらべ』や『うでくらべ』などの『くらべ(競べ)』から来ているようで、要するに『競争』の意味。『くらべ』が『こくら』または『ごくら』と変化し、『ごっこ』になったものらしい。『鬼ごっこ』『チャンバラごっこ』などの使用例は『競争』の意味あいが強いが、『お医者さんごっこ』『電車ごっこ』などは『競争』というより『シミュレーションゲーム』である。」

とあるが,しかし,

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1412748949

には,

「ごっこは、『交互』または『事』から変化したものと言われています。同じ『ごっこ』でも意味が2種類に分けられます。『いたちごっこ』『鬼ごっこ』は、交互のほうの意味で、いたちがかみつく真似として相手の手の甲を指でつまむのを交互にやっていく遊びがいたちごっこ、鬼の役と逃げる役を交互に入れ替えながら続ける遊びだから鬼ごっこ。『電車ごっこ』『お医者さんごっこ』はそのつもりになって行なう遊びですね。」

とある。「こと」つまり,

真似事の「こと」

「かけっこ」の「っこ」

たとえば,

goto,goku,gokko
と,
kkeko→kko→tto→gokko

の変化の二系統が,遊びという領域で,重なり合った,ということなのだろうか。ただし,『デジタル大辞泉』には,「ごっこ」に,

「[接尾]名詞に付いて、二人以上のものがその動作・行為をすることを表す。
1 いっしょにある動作のまねをすること、特に子供の遊びについていう。『鬼―』『プロレス―』
2 交代して同じような動作をすることにいう。ばんこ。」

とあり,交替という意味の「ばんこ」は,

代わりばんこ,

の「ばんこ」である。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ka/kawaribanko.html

は,「かわりばんこ」で,

「かわりばんこは『代わり番』の話し言葉で,取り替えることを『取り替えっこ』というのと同じく,『代わり番』に接尾語の『こ』がついたご。」

と説明している。「こ」は,「事」の接尾語である。とすると,「ごっこ」は,もうひとつ,

ばんこ→ごっこ,
あるいは,
こ(事)+(っ)こ,

という由来が加わるのかもしれない。

因みに,「いたち(鼬)」の語源は,

「イタ(いたずら,悪戯)+チ(接尾語)」

と,『日本語源広辞典』にはあるが,『大言海』には,「語源,解せられず」とし,

「気立(いきたち)の義,気を吹くが,自ら火と見ゆるを,鼬の火柱と云ふと云ひ,又,イタチノミチキリと云ふより,行断(イキタチ)ならむなどと云ふ。何れも付会なり」

と切り捨てて,語源ははっきりしないとする。

にほんいたち.JPG

(ニホンイタチ)


ただ,『日本語の語源』は,

「その行動が俊敏なためイタトキ(甚敏き)毛物といった。とき[t(ok)i]の縮約でイタチ(鼬)になった。」

としている。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%81

ホームページ;
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posted by Toshi at 05:03| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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