2017年07月16日

ねこ


「猫も杓子も」を,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/451814115.html?1500062074

で取り上げたが,そのついでに,「猫」を調べると,この語源が,またまた百家争鳴。

『広辞苑』は,

「鳴声に接尾語コを添えた語。またネは鼠の意とも」

とあり,『岩波古語辞典』も,

「擬音語ネに接尾語コをそえたもの」

とする。因みに接尾語「こ」は, 『広辞苑』には,

こと(事)の下略,
互いにすること,相競うこと(「かけっこ」「くらべっこ」),
さま,とういう状態表現(「ぺちゃんこ」「どんぶらこ」),
特に意味を持たず,種々の語に付く(「べ(牛)こ」「ちゃわんこ」「ぜにっこ」)

の説明があるが,『大言海』は,「子」「縷」「處」「競」「箇」と当て,それぞれ由来が違う。

「子」は,「父母が,男女子を愛しみて名づけしに起れるなるべし。殊に女は親愛の情深きものなれば,後には専ら女子の名につくるが多くなれるなり」
「子」は,「其物事の體を成さしめ,名詞を形作らしむる語なるが如し。漢語の冊子・帷子・帽子・瓶子・雉子・椅子・茄子などの子と,その意同じ。倭漢暗合なり」
「縷」は,「常に子の字を記す。物の義なる子(すぐ上の『子』)にて,唯数ふるに云ふなるべし(縒り足る糸を一子二子と)」
「處」は,「ところのコ。在処(ありか),住処(すみか)のカに通ず」(「いずこ」「かしこ」「あそこ」)
「競」は,「クラベ,クラの約まりたるなり(クラベ,クラ,コと次第に約まる)」
「箇」「個」は,「箇(か),個(か)の百姓読み。箇(か)に同じ。物を数ふるに云ふ」

とある。これだと「ねこ」の「こ」がはっきりしないが,

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14119070404

によると,

「にらめっこ おにごっこ かけっこ あいこ なれっこ うそっこ かまいっこ ふざけっこ ⇒ すること、しないことを指す

とりかえっこ かわりばんこ あてっこ ⇒ 二人以上で、類似のことを、交互にやることを示す

江戸っ子 だだっ子 ちびっ子 むすめっこ 売り子 縫い子 踊り子 お針子 ⇒ 属性を示す
にゃんこ ⇒ 小さい生き物に親愛を込めた名詞にする
真智子 京子 桜子 珠子 菜々子 ⇒ 女の名前であることを示す
根っこ 端っこ はんこ あんこ すみっこ はらっこ ⇒ 幼児語、俗語 (短すぎてわかりにくくなる語を分かり易くする)
ごっつんこ ぺちゃんこ ⇒ 擬態語を様子や状態を示す用語に転換する
断乎(だんこ) 確乎(かっこ) 茫乎(ぼうこ) 凛乎(りんこ) ⇒ ようすを示す」

の「にゃんこ」と似ているのではないか。「ね」が擬音語なら「にゃん」もそうだ。しかし,「擬音語+こ」は,一説に過ぎない。『大言海』は,その説を採らない。

「ネコマの下略。寝高痲の義などにて,韓国渡来のものか。上略してコマとも云ひしが如し。或いは云ふ,寝子の義マは助詞なりと。或いは如虎(にょこ)の音転など云ふは,あらじ。又タタケ(家狸)と混ずるは,非なり」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B3

によれば,

「日本には奈良時代に倉庫の穀物や経典類の番人として輸入されたことにより渡来してきたものと考えられている」

とあるし,

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1146875076

でも,

「ネコは、経典などをネズミから守る為に奈良時代頃に中国から輸入されたと伝えられてます。」

とあるから,鳴声も「ミャウ」という呉音とともに入ってきたと考えられるのかもしれない。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ne/neko.html

も,

「ネコの語源は『ネコま』の下略という説が多く,猫は夜行性で昼間よく寝ることから『寝子』に『獣』の意味の『マ』が付いたとする説。『ネ(寝)』に,『クマ(熊)』が 転じた『コマ』が付いたとする説。『ネ』が『鼠』、『こま』が『神』もしくは『クマ(熊)』とする説などがある。
 平安中期の漢和辞書『和名抄』に『禰古万』とあり,『ネコマ』が『ネコ』の古称とされていたため考えられた説だが,『ネコ』と『ネコマ』のどちらが古いか定かでない。
 有力な説は,『ネ』が鳴声,『コ』か親しみを表す接尾語というものである。
 『源氏物語』ではねこの鳴声を『ねうねう』と『ネ』の音で表現しており,『猫』の呉音は『ミョウ』『メウ』で鳴声に由来する。
幼児語で,『ニャンニャン』『ニャアコ』,犬を『ワンワン』や『ワンコ』というように,鳴声で呼び,後に『コ』を加える点も共通している。
漢字『猫』は,獣偏に音符『苗』で,『苗』は体がしなやかで細いことを表したものか,『ミャオ』と鳴く声になぞらえた擬声語と考えられている。」

と,「鳴声+接尾語コ」としているが,やはり,

「『源氏物語』ではねこの鳴声を『ねうねう』と『ネ』の音で表現しており,『猫』の呉音は『ミョウ』『メウ』で鳴声に由来する。」

と,猫とともに,「鳴声」の表現を手に入れたというのが妥当かもしれない。『日本語源広辞典』も,「寝子」説を否定し,鳴声説を推す。

猫.jpg


ついでながら,『日本語源大辞典』の,語源説を拾っておくと,

ネは鳴声から,コはヰノコ(豕)などのコと同じ(雅語音声学・日本語源・音幻論=幸田露伴),
ネウクの義。鳴声から(言元梯),
ネコマの下略(南留別志),
ネコマ(寝高痲)の略,あるいはネコ(寝子)-マの略,マは助詞(大言海),
ネコマ(寝子獣)の義(日本古語大辞典),
ネ(寝)コマの義。コマはクマの転。クマは猫の古名(名言通),
ネコマの略。ネは鼠の義。コマはカミ(神)の転(東雅),
ネウネウと鳴くケモノの義。コマはケモノの略(兎園小説),
ネコ(寝子)の義(菊池俗語考・和訓栞),
ネル(寝)をコノム(好)ところから(日本釈名),
ネブリケモノ(眠毛物)または,ネケモノ(寝毛物)の義(日本語原学),
ニフリモノ(睡獣)の略。ケモノの反はコ(円珠庵雑記),
ネはネズミ(鼠)の意。コはコノム(好)の義(和句解・日本釈名・日本声母伝),
ネコマチ(鼠子待)の略か(円珠庵雑記),
ネカロ(鼠軽)の義。鼠にあうと軽々しく働く意(名語記),
ネコ(似虎)の義(和語私臆鈔),
ヌエの頭に似ているところから,ヌエコの略転(橿園随筆)

等々,あきらかに,「ヌエ」のように,「猫」を知ってからのものにこじつけるなど,あやしげなものが多い。異説を述べる『日本語の語源』も,

「ミャーミャーと食べ物をねだってしきりに鳴くので,ナクケモノ(鳴く毛物)と呼んでいたのが,上二音を残してナク・ネコ(猫)に転音した。」

と,さすがに,すこし滑っているようである。

なお,猫については,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B3

に詳しが,

「世界のイエネコ計979匹をサンプルとしたミトコンドリアDNAの解析結果により、イエネコの祖先は約13万1000年前(更新世末期〈アレレード期(英語版)〉)に中東の砂漠などに生息していた亜種リビアヤマネコであることが判明した。」

そうである。ここまでくると,「いぬ」も調べてみたくなる。

参考文献;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B3
http://www.necozanmai.com/zatsugaku/origin-%22neko%22.html
https://peco-japan.com/13943


ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

ラベル:ねこ
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