2017年08月14日

横浜トリエンナーレ2017


横浜トリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」

http://www.yokohamatriennale.jp/2017/

に伺ってきた。三年前の,2014年のトリエンナーレについては,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/407311875.html

で触れた。今回は,前回のような,全体が一貫した物語になっていない。今回のコンセプトは,

「接続性」と「孤立」から世界を考える,

で,こうある。

「 世界は今、従来の枠組みを超えて様々なネットワークが拡大する一方で、紛争や難民・移民の問題、保護主義や排外主義、ポピュリズムの台頭といった課題に直面し、大きく揺れています。また人間の処理能力を大幅に超える量の情報が氾濫し、高度に複雑化する環境の中、SNSなどのコミュニケーションツールの急速な発達により、ネット上の小さなコミュニティやグループの中だけに身を置くような世界観の島宇宙化が進んでいるようにも見受けられます。さらには、これまでの大国や中央集権の論理に抗うかのような様々な小規模共同体の動きも活発化しています。
 このような従来の社会の枠組みや価値観が大きく揺らぎつつある今日、ヨコハマトリエンナーレ2017では、「島と星座とガラパゴス」というタイトルのもと、世界の「接続性」と「孤立」の状況について、アートを通じて様々な角度から考察します。そして、相反する概念や現象が複雑かつ流動的に絡み合う世界や、独自性・多様性の在り様について、さらには先行きの見えない時代に、人間の持つ勇気と想像・創造力が、未来に向けた新たなヴィジョンやグランド・デザインをどのように導き出し得るのか、思索を巡らせます。」

僕は,「島と星座とガラパゴス」を,

孤の深掘りが不変に通ず,

と読んだ。昔,誰だったか,

私を掘り続けることで世界(普遍)に通ず,

というような意味のことを言っておられた。「ガラパゴス」とは,そういう意味か,と。例えば,ほぼ世界から孤立していた江戸時代の,

浮世絵,

が,世界の最先端の印象派と通底したように。

展覧会場は,

横浜美術館,
横浜赤レンガ倉庫1号館,
横浜市開港記念会館,

とばらけ,世界各地からの約40組のアーティストたちの「多種多様なメディアの作品」が展示される,のだが,ひとつひとつは,どう見ても,連関してもいないし,リンクもしていない。言ってみると,

ひとりひとりが,おのれを掘り下げて,世界へと通じよう,

と表現している,と見た。入口にあるのは,アイ・ウェイウェイ「安全な通行」。横浜美術館の外壁と柱に、救命ボートと難民が実際に使用した救命胴衣を用いて、難民問題に関する大型インスタレーションである。

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(アイ・ウェイウェイ「安全な通行」)


会場には入ると,ジョコ・アヴィアントの,注連縄(しめなわ)から発想して2000本のインドネシアの竹を独自の手法で編み上げた巨大な造形。

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(ジョコ・アヴィアント)


その意味で象徴的だったのは,70歳になられる木下晋の巨大な鉛筆画だ。

「孤独を生きる人のことを知りたい」

として,

「孤独を受け入れながら尊厳を失わない人びとに見れせられてきた」

と案内バンフにある通りの,元ハンセン病患者の横顔,「視る人」(2011),「掌握」(2011),「起つ人」(2017)もいいが,

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(「視る人」2011 鉛筆,ケント紙)

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(「掌握」2011 鉛筆,ケント紙)

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(「起つ人」2017 鉛筆,ケント紙)


やはり,正面の壁いっぱいの「合掌・懺悔」(2015)が圧倒する。

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(「合掌・懺悔」2015 鉛筆,ケント紙)


言ってみれば,ただ糞リアリズムの極致のように,手や足を拡大して描いているだけだ。しかし,改めて,それを見る時,われわれが,肉体をいかにおろそかにし,詳らかにそれを視ることを怠ってきたかを思い知らされる。その手と足の皺の隅々に,生きてきて,使いこなしてきた証が,くっきりと鮮やかに刻印されている。顔を見れば,その人の人生が見える,というが,手足を見れば,その人の,

生きざま,

が,顕現している。やはり,

ガラパゴス精神,

恐るべしだろう。

マーク・フスティニアーニの,「別の場所」へといざなう「無限への一節」も興味深いが,既視感が伴う。自然の穴でよいのではないか,こんな仕掛けではなく,手近の庭の穴,山の洞穴で。「ジャックと豆の木」の豆の木が誘うように。

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(マーク・フスティニアーニ)

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(マーク・フスティニアーニ)


参考文献;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E4%B8%8B%E6%99%8B
http://www.yokohamatriennale.jp/2017/highlight/index.html

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

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posted by Toshi at 05:19| Comment(0) | 展覧会 | 更新情報をチェックする
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