わりをくう
「わりをくう」は,
割を食う,
と当てるが,
損をこうむる,
不利を受ける,
という意味になる。「わり」は,
割り,
破り,
とも当て,『岩波古語辞典』には,
「固体などに深いひび・すじを入れ,そこから自然にわかれる状態」
とあり,
割れる,
というところから,
くだく,
とか,
取り壊す,
という意味から,意図して,
割る,
となり,
一定の基準にしたがって区分する,
分割する,
となり,その「割り方」「別け方」に焦点が当たっていき,
割合,
割前,
割当,
という意味が出てくる。もうひとつ,「わかつ」ということをメタファにして,
無理に間を分けて押し入る,
という意味で,
割を入る,
という言い方で,
仲裁者を入れる,
という意味で使われる。
割に合う,
とか,
割が悪い,
は,その「割(前)」に合うか,合わないか,という意味から,使われることになる。だから,
割を食う,
は,『日本語源広辞典』の言うように,
「ワリ(割合,ここでは不利な割合)を,食う」
という意味で,
損をする,
ということになる。『語源由来辞典』
http://gogen-allguide.com/wa/wariwokuu.html
には,
「割を食うの『割』は、割り振ることや割り当てることの意味から転じ、役割や分配金、 さらにその損得の具合を意味するようになった語。 得をする場合には『割がいい』や『割に合う』と用い、損をする場合は『割が悪い』『割に合わない』などと用いる。 割を食うの『食う』.は、他からある行為を受ける意で、特に、『肩透かしを食う』『お目玉を食らう』など、好ましくない行為を受ける際につかわれる。」
とあり,『由来・語源辞典』
http://yain.jp/i/%E5%89%B2%E3%82%92%E9%A3%9F%E3%81%86
にも,
「『割』は物事を割り振ること、割り当てること。転じて、割り当てられた役割や分配金、さらにその損得の具合を意味するようになった。『割りがいい』『割に合う』は得をするの意で、『割りが悪い』『割に合わない』は損をするの意。
『食う』は『差し押さえを食う』『手間を食う』など、好ましくないことを身に受けることを表すことから、『割を食う』で損をすることを意味するようになった。」
とある。『岩波古語辞典』には,
割を言ふ(道理を言う,事情を話す),
割を入る,
割を付ける(処置する,仲裁する),
の例しか載らないが,『江戸語大辞典』を見ると,
割が付く(割増がある),
割に這い入る(介入して引き分ける,仲裁する),
割を入れる(仲裁者を入れる),
割を打つ(水を割る,水を加える),
割を為て見る(その割には),
割を付ける(手加減する,手心を加える),
割を言う(理屈をこねる,弁解する),
等々,随分多い言い回しがある。中には,『岩波古語辞典』の意味とずれれているものもある。「割を言う」などは,真反対のに意味になっている。
参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
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