2017年09月13日

てんぱる


「てんぱる」は,という言葉は,手元の辞書には一切載らない。『日本語俗語辞典』

http://zokugo-dict.com/19te/tenparu.htm

には,「テンパる」という表記で,

「テンパるとは、焦る、いっぱいいっぱいになる(余裕がない状態になる)こと。」

と載り,平成になってから一般に使われ出したようである。そして,

「テンパるとは麻雀用語で『あと一枚で上がれる状態』を意味する『聴牌(てんぱい)』に俗語でよくある動詞化する接尾語『る』をつけたもので、もともとは『聴牌になる』という意味の麻雀用語だった(この場合、受動態の「テンパった(聴牌になった)」か過去形で使用されることが多い)。ここからテンパるは『準備万全の状態になる』や『目一杯の状態になる』という意味を持つようになる。更に2000年頃から後者の『目一杯の状態になる』が『余裕がなくなる』という悪い意味を持ち、『あわてて動揺する』『焦る』『のぼせる』『薬物で混乱する』など様々な余裕のない場面で使われるようになる。」

と解説する。どうやら,当初の「上がる直前」の状態表現の,

準備万全の状態になる→目一杯の状態になる,

から,その状態を評価する価値表現へと転じ,いまでは,価値が転倒し,

一杯一杯,

の状態,つまり,

ぎりぎりの極限状態,

を示す,いわば,

頭が真っ白な状態,
極度の緊張状態,
思考停止状態,

等々を示す,価値表現になっている。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/te/tenparu.html

も,

「テンパるは、元は麻雀用語。 麻雀で、あと一つの牌が入れば上がれる状態になることを 『テンパイ(聴牌)』といい、『テンパイ』に動詞化する接尾語『る』が付いた語が『テンパる』 である。 一般にも、準備が整った状態、余裕を持って対応できる状態を『テンパる』というようになり、物事が成就する直前であることを表すようになった。『直前の状態』『ぎりぎりの状態』という部分的な意味から,テンパるは『切羽詰る』『余裕がなくなる』といった悪い意味に転じて使われるようになった。」

としている。さらに,

https://www.fleapedia.com/%E4%BA%94%E5%8D%81%E9%9F%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/%E3%81%A6/%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B/

では,

「テンパるとは、緊張感やストレスが高まって余裕がなくなっている状態をいう。語源は麻雀用語の聴牌(テンパイ)。聴牌とは、麻雀のゲームにおいてあと一枚牌が揃えば上がり(勝ち)という状況を意味し、すべて準備が整ってあとは上がるのを待つだけなので、期待感が高まってワクワクすると同時に、緊張によりのどがかわいたり、顔がひきつったりするストレス症状が表れる。現実社会でこの『テンパる』という言葉を使う場合は、重要だけれどもいやな大仕事が直前に迫って準備に追われていたり、締め切り間近で上司からどなりまくられているというような、『もう少しで最高の結果が待っている』という期待は抜け落ち、ストレス症状だけがクローズアップされている状況で用いられることが多いようだ。」

と,より具体的だ。

「『もう少しで最高の結果が待っている』という期待は抜け落ち、ストレス症状だけがクローズアップされている状況」

という説明はわかりやすい。いい意味でも悪い意味でも,極限の心理状態をピンポイントで,トリミングした言い回しというのが正しいのかもしれない。

「テンパる」の同義語は,

頭の中が真っ白になる,
思考停止する,
一杯一杯,

になるので,

予想だにできない出来事に遭遇して,一時的に何も考えられなくなってしまう,
まるで心に余裕がないさま,

を指すが,「いっぱいいっぱい(一杯一杯)」は,「いっぱい」

http://ppnetwork.seesaa.net/article/453330532.html

で触れたが,

https://www.fleapedia.com/%E4%BA%94%E5%8D%81%E9%9F%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/%E3%81%84/%E3%81%84%E3%81%A3%E3%81%B1%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%A3%E3%81%B1%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B/

にあるように,

「いっぱいいっぱいとは、容器などにものが限界まで満たされている状態を意味する『一杯(いっぱい)』を重ねた言葉で、今風にいえば『超いっぱい』といったような意味であり、自分の処理能力を超えた量の仕事を押しつけられたり、アクシデントが次々と起こったりして、精神的にまったく余裕のない状態を表現している。つまり、本日中に仕上げなければならない集計データを作成している最中にクレームの電話に出てしまい、そのクレームの原因となった商品説明書を探しまわっていると上司が『出したところにちゃんとしまっておかないからあわてることになるのだ』などととんちんかんな説教をしはじめるという、そんなばか上司に対して『おまえが電話に出ろ』と今にも叫んでしまいそうな切羽詰まった精神状態が『いっぱいいっぱい』である。」

と,まさに,「テンパる」状態そのものである。「パニックになる」状態を表現する,

パニクる,

も似ているが,どちらかというと,心理状態よりは,

周章狼狽する,
落ち着きをなくす,
大混乱になる,
バタバタする,
ドタバタする,
てんやわんや,

といった行動,振る舞いといった外部に顕れた混乱状態を表現している,と見ることができる。

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

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posted by Toshi at 05:08| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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