2017年09月27日

色と形


「隅田あい夏~網のうつわ」個展(報美社主催)に伺ってきた。最終日に,ぎりぎり間に合った。

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いつもながら,独特の色遣いで,会場全体が,何となく温かい雰囲気を醸し出しているのは,喧噪をドア側の後ろに置き残して,別世界に入ったという感じがする。このところ,混雑した美術館で観るときの癖で,ざっと一巡してしまう。そして,気になったところに立ち止まる,あるいは戻る,という観方が身についてしまった。一番最初に立ち止まったのは,「スティングレイシティ」と題された作品。

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作家が言われるように,バックが濃い緑色のせいかもしれない。瞬間,

カタチが溶ける,

と思った。あるいは,

輪郭が溶ける,

という方が正確かもしれない。次に立ち止ったのは,「ひきとめる」と「すぎるもの」と題された,二点セットの作品。

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たぶん,この順序なのは,入日とその後,ということだと思うが,このとき,おやと思った。ひとつは,少しタイトルをひねっている,と感じたことと,いまひとつは,昨年は,こんな入日の絵の大きい絵があったはずと,振り向いて,並んだ大きい絵が目に入り,そちらへ移動してしまった。「そろそろ明日へかえるよ」(左)と「ふたご座クルーズ」(右)。

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「そろそろ明日へかえるよ」は,「ひきとめる」は似た構図だか,圧倒的に,「そろそろ明日へかえるよ」がいい。この図柄は,ちまちま収めるには,ちょっと荷が重い。広々とした海原に差す,光の残照が大きさを求めている,と見た。入日の図柄を観ると,いつもゴダールの『気狂いピエロ』のラスト,ベルモントが慌ててダイナマイトの導火線を消そうとするシーンが退いて,入日の海原を背景に,

また見附かった,
何が,永遠が,
海と溶け合ふ太陽が。

というランボーの詩(小林秀雄訳)が,映し出されたのを思い出す。そこには時間の停止を感じさせる何かがある。やはり大きさがいるようである。

で,また戻って,「ブナの森」を見,

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「言わざる たなびく」(左)と「サーディンラン」(右)(?ちょっとはっきりしない)に出会う。

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この流れで見たせいもあるが,僕は,「言わざる たなびく」が,今回の中で一番良いと感じた。「ブナの森」は,まだ輪郭に色が負けている。しかし,「言わざる たなびく」と「サーディンラン」は,色が輪郭を呑みこんでいる。というか,色に,カタチが溶けていく。特に,「言わざる たなびく」がいいのは,作家の言われたように,「緑色」が効いているのかもしれない。で,お話を伺っているうちに,「季節を運ぶ」が目に留まった。

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ちょうど,「ブナの森」よりも,もう少し色がカタチを溶かそうとしているように見えた。この先,色だけが,流れるように描かれる時,「言わざる たなびく」に辿り着く,というように。

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posted by Toshi at 04:58| Comment(0) | 個展 | 更新情報をチェックする
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