2017年10月06日

茶目


「茶目」は,「お茶目」という言い方をする。

子どもっぽい,滑稽じみたいたずらをすること,またそれの好きな人やそうした性質,

をいう。

茶目っ気,

とも言う。「おちゃめ」の由来について,

http://www.yuraimemo.com/933/

は,

「『お茶目』の由来は漢字も絡めて諸説があるようです。
一つ目は、『茶』は『おどけること。いいかげんなことをいうこと。』を意味する茶であり、『め』は『めかす』などの略、(『やつめ』などの接尾語『め』という説もあり)漢字『目』に関しては当て字。…『茶』に、おどけるやいいかげんなことを言うといった意味があるなら信憑性が高く感じます。
もう一つは、漢字はすべて当て字説。こちらは平仮名の方に由来があるようで、『おちゃめ』の『お』は丁寧語。『ちゃめ』は『ちゃりめ』の略であり、『ちゃり』には『おどけた、ふざけた』の意味があり、『め』は『女』とのこと。
…『ちゃり(茶利)』は、動詞『ちゃる(茶)』の連用形。意味は、滑稽な文句や身振り。おどけること。冗談など。人形浄瑠璃における、笑劇的な滑稽な演技・演出のことも言うそうです。また、歌舞伎の滑稽な場面は『ちゃりば』と言われるそうで、おどけた声のことを『ちゃりごえ』、もみあげのことは『ふざけた毛』の意味で『ちゃりげ』と言ったりするとか。そんなことから、「おちゃめ=ちゃりめ」「おどけた女」の意味となるのだそうです。」

と詳しい。また,

http://www.lance2.net/gogen/z141.html

も,同様に,

「1つは、『茶』という文字に『おどける』とか『いいかげんな』というような意味があって、『目』は当て字なんだけど意味としては『おめかしする』なんていう意味があるという説だよ。もう1つは、『お茶目』の『お』が丁寧語で『ちゃめ』というのは『ちゃりめ』という言葉の略だという説だよ。『ちゃりめ』っていうのは、『おどけた』とか『ふざけている』なんていう意味があって『め』っていうのは『女性』の事を意味しているんだよ。この場合、茶という漢字も目という漢字もどちらも当て字だと考える事ができるね。」

としている。だから,「お茶目」は,

「本来可愛らしく、無邪気におどける様子の女の子のこと」

を言うことになる。「茶々を入れる」の項,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/440686901.html

で触れたように,

「茶」の字自体は,

「もと『艸+音符余(のばす,くつろぐ)』。舒(くつろぐ)と同系で,もと緊張を解いてからだをのばす効果のある植物。味はほろ苦いことから,苦茶(くと)ともいった。のち,一画を減らして茶とかくようになった。」

とあり,この字には,からかう含意はない。『古語辞典』には,

ちゃり,

という動詞が載り(『広辞苑』では「茶利」と当てる),

ふざける,

という意味だが,その名詞は,

滑稽な文句または動作,ふざけた言動,おどけ,

という意味が載る。どちらが先かはわからないが,あわせて,

(人形浄瑠璃や歌舞伎で)滑稽な段や場面,また滑稽な語り方や演技,

という意味が載る。歌舞伎や人形浄瑠璃から出て,「ちゃり」がふざける意になったのか,ふざける意の「ちゃり」を,浄瑠璃などで転用したのかは,ここからはわからない。『大言海』は,「茶利」を,

「戯(ざれ)の転」

として,

洒落,おどけ口,諧謔,又おどけたる文句,

という意味を載せる。しかし,『江戸語大辞典』は,

操り・浄瑠璃用語。滑稽,道化,

と載る。どちらが先かは,つかめない。

茶利語り,
茶利声,

は,そういう滑稽な語り口や声を指す。なにはともあれ,ともかく,「茶」には,

ふざける,

含意がつきまとうらしい。『江戸語大辞典』は,「茶」の項に,

遊里用語,交合,
人の言うことをはぐらかすこと,
ばかばかしい,

という意味が載り,それを使った,

茶に受ける(冗談事として応対する),
茶に掛かる(半ばふざけている),
茶に為る(相手のいうことをはぐらかす,愚弄する),
茶に成る(軽んずる,馬鹿を見る),
茶を言う(いい加減なことを言う)

等々という使われ方を載せていて,

ちゃかす(茶化す),

はその流れにある。

茶化すは,

「茶にする」

と同じで,語源は,

「『チャル(戯る・ふざける)+カス(接尾語,他に及ぼす)』です。

とされる。

ちゃらかす,

とも言う(「おちゃらかす」とも言う)。『江戸語大辞典』には,「茶る」という項が載り,

「茶の動詞化」

として,

おどける,ふざける,

の意味が載る。どうも「ちゃり」も「茶る」も,

「茶」

に込められた含意から来ている。あるいは,「ちゃる」に「茶」の字を当て,「茶」自体にそういう含意が込められるようになったのか,この前後はよくわからない。

こう考えると,「臍で茶を沸かす」

http://ppnetwork.seesaa.net/article/441330515.html

「茶々を入れる」

http://ppnetwork.seesaa.net/article/440686901.html

等々で触れたように,「茶」を使った背景は,存外奥が深いようだ。

この流れで見る限り,「お茶目」の「茶目」は,

ふざけている目,

と取るのが自然で,「め」を「女」とする謂れはなさそうに見える。

『日本語源広辞典』が,あえて,

「茶色の目で,いたずらっぽい色」

を語源としているのは,「茶色の目」に,「茶」の独特の戯れる含意があったからなのだろうか。

「茶」の目(つき),

と見ると,いたずらしようとしてその目の輝く様子と見えなくもない。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)


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posted by Toshi at 05:01| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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